SHOH's LIVE REPORTS

Clannad (Oct 28,1996, Lafore Musium Harajuku, Tokyo)


19:00開場、20:00開演というのは、ちょっと中途半端かも。コンサートの前に食事をするにはあわただしいし、終わってからでは遅過ぎるし。でも、ミュージシャンにとってはベストなのかもしれませんね。とりあえずビューリーズでギネスとダブリンコドルをお腹に入れて会場に向かいました。

予約したときにも念を押されたし、チケットにも全席立ち見と書いてあったので、当然オールスタンディングだと思っていたのですが、なんと入ってみたらちゃんと椅子がありました。

MARY BLACKのときと同様、後ろのほうに椅子席、前3列くらいが座布団を敷いて床に座る方式。こういうときの常で、意外に前のほうの席がポカッとあいてたりするものですから、いきなり最前列をチェックしました。案の定、最前列中央に1個だけ空いた座布団が。隣の人に「ここ、どなたかいらっしゃいますか?」と聞くと「いいえ、空いてるみたいですよ」

ラッキー!

喜びいさんで腰を降ろしたところに、右隣の人がやってきました。「あ、SHOHさんっ!」「なんだ、あなたか」 こういうものなんですねえ。結局、知り合い3人で最前列に並んで見ることになりました。

モイアは紺のベルベットのドレスで登場。銀の十字架のペンダントが胸に光ります。相変わらずの優しい笑顔で歌い始めると、そこはもうCLANNAD WORLD。 心は日常から解き放たれ、緑の大地に飛んでいきます。ほんとに彼女の声は素晴らしい。美しいとか巧いとかいう次元ではなく、彼女の声そのものが雨の滴のように胸の中にしみこみ、魂を慰撫してくれます。

バックの演奏は、想像していたほどにはアイリッシュしていなくて、サックスの響きのせいか、なぜかニューヨークの街を思い出させるような瞬間も何度かありました。あのサックスの人、KING CRIMSONのメンバーなんですってね。片耳に長く下げたピアスが、ちょっと素人さんじゃないぞ、という雰囲気でしたけど、とても楽しそうに吹いていました。

ティン・ホイッスルの響きもすてきでした。ああいうのを聴いてしまうと、私もがんばって練習してみようかな、なんて無謀なことを考えてしまいます。

どの曲もすてきだったんですが、個人的にいちばん感激したのが"HARRY'S GAME"。私が生まれて初めて聴いたCLANNAD の曲です。何を隠そうU2の大傑作ライブビデオ「UNDER A BLOOD RED SKY」 の冒頭に流れていた曲。これを聴いて、ああ、U2ってやっぱりアイルランドのバンドなんだなあって、しみじみ感じ入ったものです。

U2から入ってHOTHOUSE FLOWERSを聴き、THIN LIZZYにはまり、アイルランドにのめりこんでいった私としては、なんだかもう涙が出そうにうれしい場面でした。

15分の休憩が入って、約2時間のコンサート。モイアは途中で黒の袖が透けたドレスに着替えて出てきました。胸の十字架も違うものに替えていました。観客のノリはいまいちだったかもしれません。最後の1曲まで立ち上がる人もなくて、最前列にいながらちょっともどかしい気持ちになってしまいました。この前のドーナル・ラニーのコンサートのときに歌った歌が、みょうに懐かしく聞こえました。

ラストの曲でメンバーたちと一緒に踊りまくり、余韻にひたりながら外に出ると雨が降っていました。濡れて歩くのが気持ちのいい夜でした。


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