C.C.R. (Jan 10,1996 at Shibuya Kokaido,Tokyo)
今回来日したC.C.R.は、CREEDENCE CLEARWATER REVIVALじゃなくて、CREEDENCE CLEARWATER REVISITEDなんですって。オリジナル・メンバーがドラムとベースの二人だけだから、というのが理由らしいんだけど、元々のメンバーの名前も顔も知らない私には、あんまり関係ない。
曲さえ聴ければ楽しいんじゃないかな、なんて思って、当日券で見てきました。渋谷公会堂は1階席が9割の入り。思っていたより入ってた。
ただし、これは予想通りだったんだけど、客の年齢層は異常に高い。 はっきり言って、この間の EAGLES を軽く超えていたと思う。ひとりで来ている人も多くて、みんなライブなんて何十年ぶりかという風情でおずおずと席に着く。
ステージにはなんの仕掛けもなく、まだ客電がついているうちに拍手が起こったので何事かと見たら、メンバーがてんで勝手に出てきて、自分の位置につきはじめていた。あわてて客電が落ち、暗くなるところがおかしい。
"BORN ON THE BAYOU" から始まった。ヴォーカルはハンチングをかぶった小太りのおじさんで、声は私が覚えている彼らのアルバムのものよりかなりしゃがれた感じのダミ声だ。ドン・ヘンリーとボン・スコットを足して2で割ったような感じ。
1曲終わると、ベースのおじさんが挨拶するが、客席からはなんにも反応がない。ふだんのロックコンサートだと、英語がわかんなくても、MCがあると「イエー!」とか「キャア!」とか叫ぶものだけど、見事に誰も何も言わない。第一、ただのひとりも立ち上がっていないのだ。もちろん、この私も座ったままだ。
予想はしていたけれど、次々にやる曲やる曲、すべてがなじみのある、よーく知っている曲というのがすごい。こんなにヒット曲があったってことは、このおじさん達ってひょっとして億万長者かも? 道楽で日本公演にきたのかなあ。
などと馬鹿なことを考えている間にもステージは淡々と進行していった。ギターの人はオリジナルメンバーではないようなんだけど、でも音はアルバムとおんなじ。全然違和感ない。ヴォーカルも慣れてきたせいか、だんだんと耳になじんで聴きやすくなってきた。
"GREEN RIVER""COTTON FIELDS""SUZIE Q""DOWN ON THECORNER""HEY TONIGHT""WHO'LL STOP THE RAIN" (曲順は定かではありません)……曲が進むにつれ、静まりかえりがちだった客席も騒然とし始め、手拍子や掛け声も多くなる。若い人がほとんどだけど、立ち上がって踊る人も出てきた。
"I HEARD IT THROUGH THE GRAPEVINE"でのギターソロを中心とした長い長いインプロビゼーションは圧巻だった。25年ぶりと言ってたのは来日のことだったのかな。まさか25年もの空白があって、これほど息の合ったプレイはできないだろうと思うのだけれど、長年やってるプロのミュージシャンだったら可能なのだろうか? いつまでも終わらない演奏を酔ったように聴きながら、70年代のロックコンサートってこんなふうだったんだろうなあ、なんてぼーっと考えた。
私がいちばん好きな"I PUT A SPELL ON YOU"は、ちょっと残念ながら、このときだけやけに音が大きくなりすぎて反響が気になったせいで70点の出来。もちろんそれでも充分感動はしたけれどね。
本編ラストはもちろん"PROUD MARY"で大騒ぎ。このときにはもう、半分くらいの人がたちあがっていた。
アンコール1曲目は"HAVE YOU EVER SEEN THE RAIN"。 どうしてかわからないけど、急にすごく悲しくなって涙が出てしまう。自分でも覚えていないほど昔の、何か悲しい想い出とリンクしてたのかしら、この曲。
そして次がお約束"TRAVELIN' BAND"。ライブでこんなに盛り上がる曲も少ないよね。そもそも私が C.C.R.を聴き直すきっかけになったのも、この曲を DEF LEPPARD がライブでカヴァーしてたからだもの。
もちろん、会場は総立ち。で、いったん引っ込んだメンバーを鳴りやまない拍手で呼び戻す。
2度目のアンコールの最初は曲名忘れちゃったんだけど、グルーヴィーなノリの大人の雰囲気。そして、オーラスの曲は"UP AROUND THE BEND"。これも HANOI ROCKS がカヴァーしたほうでなじんでしまってたけど、こっちがオリジナルだったのよね。
全員そろって肩を組み、お辞儀をする彼らに、会場からは惜しみない拍手が贈られました。これはお義理でも礼儀でもなんでもなくて、ほんとうによかった、楽しませてくれてありがとう、という気持ちのこもったものだというのが、なんだかとってもうれしい夜でした。
MEMBER LIST
STU COOK(B)
DOUG "COSMO"CLIFFOD(Dr)
JOHN TRISTAO(Vo)
STEVE GUNNER(Key)
ELLIOT EASTON(G)