SHOH's LIVE REPORTS

Bon Jovi (March 29, 2001, Yokohama Arena, Kanagawa)



ァンなら察しがつくだろうが、横浜アリーナ2日目は完全に違うセット・リストとなった。ジョン自身が最初のほうで「俺たちは同じことはやらないんだ!」と誇らしげに言っていたが、ファンはとっくに知ってるって。

とはいうものの、オープニングとラストの演出は一緒。これは去年の7月、「Crush」ツアー開始のときにはなかったもので、まだ用意できてなかったんだろうな。そういう意味でもやはり戻ってきてくれてよかった。

暗いステージにロケットの秒読みの声が響き、ステージ上方のスクリーンに発射状態のロケットやらボタンの並んだ機械やらが写り、いかにもというふうに盛り上げていって、スクリーンにいくつかの映像がパパパッと現れ、よく見るとその中にエレベーターに乗り込み、カメラを見上げて笑ったりポーズをとったりするメンバーの姿が。気づいたファンがわ〜っと歓声を上げると、ステージ右側のドアが開いて本物のメンバーが登場する。ここで腕組みして首を振りながら客席をチェックするジョンのわざとらしさが、いかにも二流の映画俳優風で笑える。でも、ドームのように大きな会場で、うしろのほうのファンにまで何をしているのかをわからせるためには、あのくらい大袈裟な動きが必要なのだろうな。つくづくステージの人間なんだと思う。

初日は金色のパンツ(しかもぴっちぴち)に中国語が書かれたジージャン、下にはお腹が出てみえる(実際にはこの日カメラに向かってTシャツをめくって見せていたが筋入りまくりのしまったお腹だった!)柄の入った黒のTシャツという趣味の悪い衣装で登場したジョンだが、2日目は黒の皮のパンツに黒のベスト、ジージャンというスタイルでまとも。

"Born To Be My Baby" の最初の「2、3、4!」の掛け声のところでバッとジージャンを脱いでベスト1枚になったときには会場から「キャア〜ッ!」という嬌声が(^_^)。タイミングといい、鍛えた胸板といい、あれは確かにときめかせ効果抜群だった。

彼も年とともに誤魔化しがきかなくなってきたのを自覚したのか、今回はビジュアル面にもとても気をつかっていて、ショウの途中、間奏の部分で何度かステージ奥に引っ込んでいったのだが、どうやら中でドライヤーをかけていたようだ。いつものように途中からは髪がべちゃっとしてしまい、それをバンダナや帽子でごまかして最後までいってしまうというのがなく、たいていの場合はふわふわっと決めた髪形でいた。あれは映画界で覚えたのかな。

そういうわけで、今回はスクリーンに大写しになるジョンの姿に釘づけ、という場合が多かったのだが、一度だけ、「うわあ、スクリーンもよしあしだな」と思った一幕が。"Born To Be My Baby" の途中で、ステージに上げたファンの女性の中からひとりをジョンがその場で選んで一緒にダンスを踊る、という趣向があるのだが(昨年末に発売されたスイスのライヴビデオの中でもやってた)、この日はちょっと勘違いした別の女性が一緒にくっついていってしまい、それを引き戻そうと出てきたスタッフにジョンが「あっち行け!」と言いながら蹴りを入れるというシーンがあった。これがちょうどダンスシーンを撮ろうとスクリーン用のカメラが寄っていたときだったので、全体の状況は見えずにジョンが怒った顔をして「あっち行け!」と怒鳴っている部分だけが大写しになってしまった。見方によってはまるでジョンが2人目の女性に向かって言っているかのようで、うしろのほうで見ていたファンはドキドキしたんじゃないかと思う。私もそうだった。あとになってネットの掲示板で最前列にいた女性が「あれはスタッフに対してのものだった」と書いてあるのを読んで、ようやく事情がのみこめた。

ああいう場合、機転のきくカメラマンだったらさっと引いて他のメンバーを写すか、あるいはせめて何が起こっているのかちゃんとわかるように写すかすればいいのだが、突然の出来事にカメラマンも驚いてしまってそういう考えが浮かばなかったんだろうな。カメラマンはスタッフではなくて現地(日本)の人だったのかなあ。全体としては素晴らしい内容の日だっただけに、この点だけが感動に水をさした形になって残念だった。

この日のハイライトは個人的には "I'll Be There For You" かな。アルバムで聴くとあまりにも甘すぎてちょっと・・・と思ったりすることもあるのだが、この日の仕上がりは最高だった。ひたすら感動して聴き入る。1曲目の歌いだしでちょっと声が風邪っぽくて危惧していたのだが、このアンコールの頃にはすっかりいつもの声に戻っていた。さすがプロ。ステージで歌っていくうちに調子をとり戻してしまうとは。

アンコールはなんと3回。2回目が終わってエレベーターの所まで行ったのだが、引き止める観客の声の大きさに「おやっ?」というふうに振り向いて、「どうしよう? 戻ろうか?」と相談するフリ。必死で叫ぶファンの努力の甲斐あって(でもほんとは最初から決まってた?)そのままステージに戻ってきたメンバーがまるでちょっとしたジャムセッションのようにカヴァーを2曲やってくれた。彼らのライヴでカヴァーはお馴染みだが、私は特にプレスリー物などはジョンの歌の下手さが目立つのであまり好きじゃない。それに日本のファンがあまり知らない曲をやられてもねえ・・・なんか盛り下がっちゃうし。

でも、今回のはとってもよかった。"Tequila" はさすがに掛け声かけてる人も少なかったが、"Twist & Shout" のほうは知らない人はいないというような曲だから、み〜んな跳ねながら歌ってたし、ステージの上で演奏しているメンバーもとっても楽しそうで、こういう終わり方は自然でいいなあ、と思った。

  1. One Wild Night
  2. You Give Love A Bad Name
  3. Captain Crash & The Beauty Queen From Mars
  4. Keep The Faith(Sympathy For The Devil)
  5. Livin' On A Prayer
  6. Born To Be My Baby
  7. It's My Life
  8. Wild In The Streets
  9. Just Older
  10. Thank You For Loving Me
  11. Lay Your Hands On Me
  12. I Got The Girl
  13. I'll Sleep When I'm Dead
  14. Bad Medicine(Shout)
    Encore 1
  15. Next 100 Years
  16. I'll Be There For You
    Encore 2
  17. Wanted Dead Or Alive
  18. Someday I'll Be Saturday Night
    Encore 3
  19. Tequila
  20. Twist & Shout

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