Bjork (Feb 1,1996 at Ebisu Garden Hall,Tokyo)
PULPの翌日ということで、かなりの疲労困憊状態で行った初めての恵比寿ガーデンホール。フローリングの床が妙にきれいで、床に寝そべってみられるくらい。いや、実際に途中で睡魔に襲われたときは、マジで後ろのほうに行って座りこんでしまおうかと思った私。と書いたからといって、ライブがつまらなかったわけではないので誤解しないでね。
ステージは半円形のスクリーンの前に枝だけの無機的木とクレーン車のハシゴのようなものが交錯するセット。ライティングによって、木が強調されたりハシゴが浮き出したりして、近未来的なような不思議な雰囲気。
アナウンスで「前座が始まりますので会場にお入りください」と言うから入ってみたが、ピコピコした音は聞こえているのに人影は見えない。なんなんだろう、テープだけの前座なのかなあと思いながら40分くらいも待たされて、ようやくビョーク登場。(あとで聞いたところによると、私は後ろのほうにいたから見えなかったけど、バックバンドで来ていたうちのひとりが、前座としてステージで演奏してたらしい)
しかし、ビョークってほんとに可愛い! ビデオクリップで見てるのとおんなじ。むしろビデオだとエキセントリックな部分が時に鼻につくことがあるけど、大きなステージの中央に立っていると、実にそれがしっくりしていて、不器用っぽい両手の動かし方とか、スキップするようにステージで飛び跳ねる様子とか見てると、まるでバネ仕掛けのお人形を見てるみたい。
でもって、声もまた驚異的。ほんとにあんな声が出ちゃうのねえ。これまたCDで聴いてると耳ざわりなこともあるシャウトだって、実際にステージで聴くとすんなり受け入れられてしまう。というか、彼女はアルバムをレコーディングするときに、すべてはライブでのパフォーマンスを計算に入れたうえでやってるんじゃないのかしら。
客席の前のほうは、彼女が登場した瞬間から揺れっぱなしで、逆さになった脚がそこかしこに見えてたりする。 でも、私がいた後ろのほうは、どっちかというと静かに見入るだけの人が多い。開演前にロビーで見てて感じたんだけど、ものすごく客層が広いのね。まあ、いちばん多いのは日頃この手のライブに来ている若者たちなんだけど、それ以外に各種業界風、ファンション産業風の方々になぜか鋲打ち皮ジャンのメタル系まで、これだけ客層がばらばらのライブって珍しい。
ライブ自体は、意外に静かめな曲が多くて、そんなにダイブだのローリングだのって雰囲気じゃなかったと思うんだけど、それだけに前のほうの人々のエナジーは曲調が途中で激しく変わる曲のときには一気に爆発。怪我人出ないかと心配してしまった。
MCはほとんどなくて、曲が終わると「ども」「どもども」と挨拶するのが実に可愛らしい。メンバー紹介のときの喋り方を聞くと、あれはアイスランド訛りなのだろうか、ものすごく巻き舌の舌ったらずな発音で、これがまたコケティッシュ。もうこの人って根っからのカリスマなのよね、と思わされる。
バンドの編成は、ビョークの左側にアコーディオン、その後ろにドラム、右側にキーボードという感じだったんだけど、ほとんどはアコーディオンとの掛け合いみたいな感じで、なんだか凄く不思議な展開。このアコーディオンの人、日本人みたいなおじさんで「やっぱりラップランドの人って日本人に似てるのね」と思ってたら、ほんとに日本人だった。 だからビョークのアルバムと一緒に日本人のCD売ってたのか、とあとになってきがつく無知な私なのであった。しかし、ビョークの隣でアコーディオン弾いてる姿はまるで横森正三さん(あれ、字 が違うかな?)のようだった、と書いても誰も知らないだろうなあ。
アンコールも含めて1時間15分くらいの短いショーだったけど、彼女の歌を聴いていると、1曲にこめられたエネルギーの濃さが尋常じゃないし、声の出具合もすさまじいので、多分あれ以上やったら喉壊れちゃうだろうな。聴いてるほうの実感としても、ものすごく濃い1時間15分で、充分に満腹感を得られた気分。
スタンディングのほうがいいかと思ってガーデンホールのチケットをとったけど、あの充実度とスケールの大きさから考えて、意外に武道館のほうがもっとよいかもしれない。
1.HEADPHONES
2.ARMY OF ME
3.MODERN THINGS
4.HUMAN BEHAVIOUR
5.ISOBEL
6.VENUS AS A BOY
7.POSSIBLY MAYBE
8.I GO HUMBLE
9.ANCHOR SONG
10.HYPER BALLAD
11.ENJOY
12.I MISS YOU
13.CRYING
14.VIOLENTLY HAPPY
15.BIG TIME SENSUALITY
16.ONE DAY
-ENCORE-
17.IT'S OH SO QUIET