Aerosmith (May 9,1994 at Budokan,Tokyo)
ジョー・ペリーってば、ほんっとにいくつになってもかっこいいです。彼のステージ・アクションを見るたびに、「スラッシュって、やっぱりジョーに憧れていたのよね」と実感してしまう。というか、だから私はジョーもスラッシュも好きなのかも。エアロのツアーを見るのは今回が3回目なんですが、今回がいちばんシンプルだったような気がしました。武道館に入っていって、まず目に入ったのはステージ中央に円筒形に吊られた、白黒のサイケデリックな縞模様の幕。
激しい太鼓のリズムで場内が暗転し、スティーブンの呪術のような声が聞こえてくると、この幕が内側から照らされて、クネクネと動くスティーブンのシルエットが浮かび上がります。スパッと幕が落とされると、ドラムセットの乗った丸い台の上にスティーブン、ジョー、ブラッド、トムが寄り添うように立っているのが印象的。MTVアワードかなにかのライブ・パフォーマンスでINXSがやった、シンプルでこじんまりしているのがむしろ新鮮という感覚を取り入れたみたいです。
ただ、きょうのスティーブンは絶好調とは言えなかったんじゃないかなぁ。声がいまいち出てなかったし、動きもおだやか。最後の最後になって、ようやく得意の回転技が出たくらいで、あとは、時々ダーッと走るのが精一杯といった感じでした。ツアーもけっこう長くなってるし、疲れがたまってるんじゃないかしら。
「DREAM ON」のときに、最初のキーボードがスティーブンじゃなかった(今回はキーボードとサックスのサポート・メンバーが参加してた)のも、残念でした。とはいうものの、ドラマティックに歌い上げる構成は今まででいちばんすてきだったかも。紫を基調にしたライティングやスモークの演出も決まって、涙が出そうなくらい感動してしまいました。
セットリストは以下の通り。
1.EAT THE RICH |
11番目は前回と同じ曲ですが、アレンジがかなり変わっているのが見もの。あと、ベース・ソロに入る前にスティーブンが「愛しのクレメ ンタイン」の1小節を歌って、CLEMENTINEとTOM HAMILTONをひっかけて紹介した駄洒落には心ひそかに笑ってしまいました。いちばん印象的だったのは、客層が「GET A GRIP」でファンになった若い層と、昔からの古い層とにはっきり二分されていたことでしょうか。 特に「GET A GRIP」からの曲で、ほかの曲よりも大きな歌声があがっていたのは、すごい驚きでした。ふつう、どんなに人気のあるバンドでも、新譜からの曲ってそんなにファンも歌えないものですよね。それだけ、今度のアルバムは売れたんだなあ、と感慨深いものがありました。
あれほどのベテラン・バンドが、なつかしさでついてくるファンだけじゃなくて、こうして若い新しいファンを獲得して前進していけるのって、ほんとにすごいっ!と思いました。エアロは偉大です!