
WALKING IN TUNISIA
PART 1(12/26)
あぶなかった。
出国審査の長蛇の列をクリアーして飛行機に乗りこんだのは出発時間ぎりぎり。「すみませ〜ん、集合時間を間違えてしまってぇ」と平謝りする私に、添乗員のモグラ氏は曖昧なお愛想笑いを見せた。彼の頭の中に、<団体旅行で時間を守れない人間=お荷物>という図が浮かん でいるのが目に見えるようだ。
「SHOHさんは遅れていらしたのでご説明できなかったのですが」
いきなり後ろから声がした。
「実は日程に少し変更がございます」
げっ、またか! 夏のトルキスタンの旅が脳裏に甦る私。
「帰りの飛行機がオーバーブッキングしてしまいまして、チュニス―パリの座席がとれませんでした。ウィーンとアムステルダムを経由して帰ることになります。空港ではみな様、それでもよいということでご参加いただくことになったのですが」
そりゃそうでしょう。成田まで来て、そう簡単に帰る人間がいるわけはない。旅行に合わせて仕事の調整をし、無理をして、いろんな買物をして、知人・友人にもふれまわり、ようやく出かけてきたのに、ちょっとやそっとのアクシデントであきらめたりするもんかぁ!
しかし、考えてみると出発直前に手紙が来て、帰りの飛行機がパリ―東京の直行便からパリ―北京―東京に変更になったと知らされたばかりだった。こんなにコロコロと変更になるのってあり?
「じゃあ、帰りのパリ半日の自由時間は?」
「申し訳ございませんが・・・パリ宿泊がなくなりましたので、ホテル代は帰国後営業のほうからご連絡のうえ返金いたします」
お金の問題じゃないんだけどね(・_・)。ちょうど同じ時期にパリに行ってる友達と晩ごはんでも一緒にと約束してたのだよ、私は。ううう、チュニスから電話入れておかなくちゃ。
最初からこんなことになるとは・・・先行きに対する不安でいっぱいになる私。