SHOH'S CD REVIEW

LEVELLERS

HELLO PIG

1. HAPPY BIRTHDAY REVOLUTION
2. INVISIBLE
3. THE WEED THAT KILLED ELVIS
4. EDGE OF THE WORLD
5. DO IT AGAIN TOMORROW
6. WALK LIGHTLY
7. VOICES ON THE WIND
8. SOLD ENGLAND
9. MODERN DAY TRAGEDY
10.DREAMS
11.61 MINUTES OF PLEADING
12.RED SUN BURNS
13.GOLD AND SILVER

CHINA RECORDS 8573-84339-2/2000 U.K. I PRODUCED by MARK WALLIS

最初に聴いたとき 「あれ? なんだ? なんだ? なんだ?」 とびっくりしてしまった。私が想像していたのと全然違う。今までの LEVELLERS みたいなパンキッシュなノリではない。どちらかというとアコースティックで静かな曲ばかり。中にはストリングスを使った曲もある。どうしちゃったんだろう? やっぱり連中も大人になったから音楽性も変わってきたのかな、と少し寂しく思いながらも何回かかけてみた。

最初のうちは HAPPY BIRTHDAY REVOLUTION とか VOICES ON THE WIND、それに 61 MINUTES OF PLEADING あたりが曲として好きだな、という程度だったのだが、10回目くらいからかなあ、いや20回は流して聴いていたかもしれない。ある瞬間に 「これ、ひょっとしたら物凄いアルバムじゃないか?」 と思ってしまった。それまでBGMとして流しながら書き物をしていたのだが、キーボードを叩く手が止まって、思わずじっとプレイヤーを見てしまう。もちろんそこにはトラック・ナンバーしか表示されていないのだけれど、そこにある13曲が絶妙のつながり具合で1枚のアルバムの中に収められていて、何かとんでもなく新しい、今までと違う作品としてあるのだ。

じゃあ、どこがどう違うんだ?と」 聞かれると、まるで説明できないのがつらい。今までは LEVELLERS というとフィドルが超高速で入ってくるパンキッシュでアイリッシュな音楽、というイメージだったと思う。メロディはあくまでも哀愁に満ち、歌詞は過激で政治的、ステージは激しく若者向け。そんな感じ。で、このアルバムはというと、歌詞は相変わらず過激で政治的だ。ゲバラのことを歌ってみたり、エルヴィスの死の原因はドラッグとほのめかしたり、イギリスは売却済みになったとか言ってるし。いちばん凄いのは 61 MINUTES OF PLEADING かな。結婚して以来20年、夫の暴力に苦しんだ挙げ句に、その夫に撃たれ、血を流して助けを求めているのに、警察は家の中に武装した犯人がいると思って救出にきてくれない。なんて悲惨な・・・これって実話なのかな。いかにもありそうだけれど。

こういうとんでもない歌詞ばかりなのに、メロディだけ聴いているととても美しくて哀愁に満ちていて、なんだか騙されているような気がしてしまう。ただし、アレンジがそれぞれの曲によってとても凝っていて、多分これが何度も聴いているうちに「ただものではない」という思いを起こさせるのではないだろうか。だからといって、決してテクニカルな面だけに頼って驚かそうとしているわけではなくて、なんというのかなあ技術と感性が見事に合体して次世代の音楽を生み出したようなのだ。って 大袈裟(^^;)?

とても信じられないという人は、とにかく聴いてみて。あなたがどう感じたか、ぜひ聞いてみたいな。

(01/03/22 23:21記)


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