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SHOH'S CD REVIEW THE TEA PARTY TRIPTYCH |
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| EMI MUSIC CANADA 7243 496545 2 5 / 2000 CANADA I Produced and RECORDED by JEFF MARTIN |
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前作 「TRANSMISSION」 に見られた中近東風味は引き続き顔を出してはいるが、前作が作り込みすぎ、あるいは前面にエモーションが出過ぎた感じでちょっと聴き手を引かせてしまう部分があったのに比べ、今作は実に素直に入っていける。 とにかく曲がよい! ライヴで感動した UNDERGROUND をはじめとして、どの 曲も一度聴いたら忘れられないメロディに満ちている。ジェフの声がもつ魅 力ももちろんだが、このアルバムに関しては楽曲の質の高さが一番の 「売り」 だろう。ただし、ここでいうメロディというのは、いわゆるメロディアス・ハードロックとはまったくの別物。ツルツルッと喉ごしよく身体を抜けていくのではなく、心の襞のあちこちに引っかかりながら、どんどん奥深くしみ込んでいくという感じ。 ジェフのヴォーカル・スタイルもさらに幅が広がり、説得力が増した。ア コースティック・ギターをバックに歌う THE MESSANGER での、ちょっとかすれ気味の声は従来のジム・モリソンばりの低音と同じくらい魅力的でクラクラッときてしまう。ゴスペル風のコーラスや途中から入るエレクトリック・ギターのうなりもかっこよくて、自然に盛り上がる。 まるで映画の一場面を心の画面で見ているような気にさせられるドラマティッ クな TAKING ME AWAY では、歌詞のひとつひとつを愛おしむような優しい歌いっぷりが感動的。それにしても、ここでも聴かれる不思議なドラムのリズム感って、このバンドの財産のひとつだなあ。 そして次の THESE LIVING ARMS は、アルバム中でも大のお気に入り。いくつもの展開をもち、そのつどあっと驚くような美しいメロディラインを繰り出してくる才能にはもう脱帽だ。ファルセットと西洋風こぶし(^^;) を効かせたヴォーカルも最高。 とにかく一度聴き始めたら、絶対に途中で SKIP ボタンが押せないアルバム。 ちなみに UNDERGROUND の途中にはさみこまれている歌は MOBY というアーティストの "Why does my heart feel so bad"(「PLAY」 収録)だそう。 DOORS や LED ZEPPELIN といったところと比較されることの多い彼らだが、もう今では彼ら独自の世界を完璧に創り出せたと言っていいのではないかと思う。ただこれがHM/HRといった枠でくくられた中で認められるかという部分に不安があるのだが。もっと広い世界で勝負したほうがいいんじゃないかなあ。(00/03/03 20:37記) |