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発売前に聴いたことがあったのはJUST ANOTHER SUICIDE、PLAY THAT FUNKY MUSIC、それに THE ONLY ONEだけだった。で、なんとなくこういう感じの内容かと思っていて、実際に通して聴いたときにはびっくりした。ぜんぜん違う〜。アルバムジャケットもインナーも趣味がよくて、とても THUNDER のものとは思えない。
結論から言うと、とても気に入っている。ただ、正直な話、最初の1〜2回は???だった。
こんなふうに感じるのは私だけなのかもしれないが、好きなバンドのキャリアが長くなり、何枚もアルバムを出していくと、新しいアルバムの曲を聴いたときに、どれもたいてい「あの曲みたい」というふうに聞こえてしまって、なかなかその曲本来の魅力にたどりつけない。今回の THUNDER の新譜では特に強くそれを感じてしまった。
曲順がどうもスムースじゃない、そのあたりが要因なんじゃないか、という気もする。メリハリがない、という印象。あと、ボーナストラックの扱いが納得いかない。
私がプロデュースしたとしたら、曲順はこうするな。
- TIME TO GET TOUGH
- GIVING THE GAME AWAY
- ALL I EVER WANTED
- JUST ANOTHER SUICIDE
- ROLLING THE DICE
- NUMB
- WONDERLAND
- 'TIL IT SHINES
- IT'S ANOTHER DAY
- THE ONLY ONE
- YOU'LL STILL NEED A FRIEND
- IT COULD BE TONIGHT
- PLAY THAT FUNKY MUSIC(BONUS TRACK)
TIME TO GET TOUGH
静かな感じから爆発するパターンは今までの THUNDER 様式ではあるんだけど、その爆発の仕方がぜんぜん違う。なんというか、ちょっとオルタナ風味。ものすごくかっこいい。
GIVING THE GAME AWAY
BEATLESの「SGT.PEPPER'S 〜」みたい。ダニーのヴォーカルスタイルが今までとちょっと違うのが気に入っている。ただ、途中で使ってるヴォーカル・エフェクトはちょっと・・・。実際のステージでは単なるルークのコーラスになってるかもしれないし、そのほうがきっといいような気がする。ドラムの入り方がすごくよく効いていて、ほんとにハリーってセンスがいいなあって感心してしまう。
ALL I EVER WANTED
信じられないくらい美しいラヴソング。まったく、あんなふうにオヤジ笑いをしているルークがこんなにセンチメンタルな詩を書くなんて、誰が想像できるだろう。この曲ではベンのキーボードの入り方が好き。
JUST ANOTHER SUICIDE
最初にライブで聴いたときからノックアウトされたが、アルバムの1曲目に持ってくるにはキャッチーすぎるし、それにこのアルバム全体の雰囲気からはちょっと浮いてるような気がしたので、このあたりの位置がいいんじゃないかな。RIVER OF PAINと合わせてみた。
ROLLING THE DICE
2〜3回聴いただけではあまりいいとは思えなかったが、歌詞を読みながら聴いたら好きになっちゃった。ルークってば、なんだか妙に素直に心境を吐露している。つっぱったところやかっこつけてるところが微塵もなくて、共感してしまう。彼もそろそろ自分の将来を真面目に考えなくてはならない岐路に立っているんだろうな。本当に今回のアルバムの曲は、歌詞がいい。詩としての出来がいいというより、彼自身が素直に表現されていて、その表現されているルーク・モーリーにとても好感が持てる。
NUMB
最初に聴いたときから気に入った数少ない曲のひとつ。安心して聴ける THUNDER バラード。途中でギターをキュルキュルッと言わせる部分で「あ、RADIOHEAD!」と思ってしまったのは私だけだろうか?
WONDERLAND
ボーナストラックなんかにしていては英国のファンに申し訳ない。アルバムにメリハリをつける意味でも、ぜひ本編に入れてほしかった。これもベンのキーボードがかっこいい!
'TIL IT SHINES
最初のうちどうしても過去の曲との類似が気になって、後半の THIN LIZZY みたいなツインギターのハモリはかっこいいと思ったものの、いまひとつ陶酔できなかったのがこれ。が、ラジオにプロモ出演してアコースティックでやったのを聴いたら、なんかもう全然違う。ダニーのヴォーカルラインがものすごい説得力を持っている。思うに、アルバムに入ってるほうの曲は、アレンジが過去の曲と同じなのが敗因なんじゃないか? ハリーの小道具の使い方とか、デジャヴ感があるのよね。10年も一緒にやってきたバンドというのは、ライヴでは一枚岩のようなフィット感を出せるが、スタジオ作業ではどこかに慣れが顔を出してしまうのかもしれない。
IT'S ANOTHER DAY
基調になってるリフとその他の楽器(特にドラム)のバランスがちょっとふだんと違ってて、それが魅力になっている。でも、途中のギターソロと最後のおふざけはちょっと付け足しの感あり。
THE ONLY ONE
もう、どうしてこれがボーナストラックなの〜? カヴァーである PLAY THAT FUNKY MUSIC を入れるならこっちでしょうが、と思うのは私だけ? よく聴いてみたら歌詞があまりにも恥ずかしかったので、ルークがいやがったのかも。
YOU'LL STILL NEED A FRIEND
これもちょっとデジャヴ感のある曲だが、これまた歌詞が素晴らしい。別れるときにこう言える男っていいなあ。
IT COULD BE TONIGHT
アルバムの最後にふさわしい曲。連中のななな静かヴァージョンが聞ける。歌詞は下心アリアリで、いくらなんでもダイレクトすぎない?と思ってしまうが。池袋のイベントのとき、「ルークが書いた詩の中には納得できない部分もあるのでは?」とダニーに質問したファンがいて、ダニーは「僕はルークが言ったり書いたりしたことは全部信じちゃうからね」と答えていたけど、こんな歌詞でもか(^^;)?>ダニー (99/03/01 16:37記) |