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SHOH'S CD REVIEW TOAD THE WET SPROCKET COIL |
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1. WHATEVER I FEAR 2. COME DOWN 3. RINGS 4. DDAM WOULD BREAK 5. DESIRE 6. DON'T FADE 7. LITTLE MAN BIG MAN 8. THROW IT ALL AWAY 9. AMNESIA 10.LITTLE BUDDHA 11.CRAZY LIFE 12.ALL THINGS IN TIME 13.SILO LULLABY |
| SONY RECORDS SRCS 8304/1997 JAPAN I PRODUCED by GAVIN MACKILLOP and TOAD |
| L.A.に行くことが決まったとき、あちこちのライブハウスのスケジュールを調べていたら、私が行くのと1週間違いくらいで TOAD のライブがあるのがわかって、ものすごく悔しい思いをしたのだったが、そのときには、どうして今頃ライブ? なんてとぼけたことを考えただけだった。 で、きのうなにげなく入ったCD屋の新譜の棚にこれが並んでいるのを見て、「そうか、新譜が出たからツアーしてるんだ!」なんてようやく気づいた間抜けな私。 この前2作がアコースティック・ライブと収録漏れを集めたものという外道なもの(とはいっても中身はよかったんだけど)だっただけに、なんだかすごーく久しぶりのような気がする。確かに「DULSINEA」からは3年もたっているんだものね。 名盤「DULCINEA」のあとで、たっぷり休養をとって(ライナーによると結婚したり子供ができたりしたらしい)、頭を切り換えて、次の世紀に向けての1枚を作ったというところだろうか。 聴き始めは「あれっ!?」と驚く。今までとはちょっと違う、妙に力強くて前向きな感じの歌いっぷり。グレンも変わったんだなあ。帯タタキに「マイケル・スタイプの後継者」なんて言葉があった。それとはちょっと違うけど、なにかそう言われても不思議はないようなものを感じてしまった。 なんというのかなあ、シャイな少年だとばかり思っていた隣りの子が、ひさしぶりに会ったら、ちゃんと筋の通った話をきっちりできる、素敵なおとなの男性になってた、というような感じ。こちらはちょっとドギマギして、まぶしそうに眺めてしまうという・・・。 とはいえ、人間の本質はそんなに変わるもんじゃない。透き通るように繊細な感受性はそのまま残っている。家族を持って、他者に対する優しさや守ってやろうとする強さが前面に出てきたので目立たなくなってはいるけれど、傷つきやすく壊れやすいナイーブさは、すべての曲の底の部分に共通して流れている。 第一、歌詞を読んでみると、どれもこれも暗く悲観的で、それじゃあこの突き抜けたように元気な歌い方はなんなの?と思ってしまうほど。 でもまあ、いまの時代に(しかもアメリカに)生きていて、明るく脳天気な歌詞が書けてしまったら、そのほうが魂を病んでいるのかもしれない。 民謡風(?)のこぶし回しが妙になつかしい DAM WOULD BREAK、彼らにしてはダーティな雰囲気の DESIRE、聴いてるうちに一緒に口ずさみたくなる優しいメロディラインで、歌っているうちに前向きな気分になってくる THROW IT ALL AWAY、ストリングスの使い方が印象的で、最後のほうのインド風のメロディが今風の LITTLE BUDDHA、アルバム全体の雰囲気からは浮くけれど、シーンとした静かな決意とでもいうものが圧倒的に迫ってくるボーナストラック SILO LULLABY など、聴くほどに深くなっていく佳曲ぞろいの1枚だ。(97/05/25 23:09記) |