SHOH'S CD REVIEW

ENUFF Z'NUFF

ANIMALS WITH HUMAN INTELLIGENCE

1. SUPERSTITIOUS
2. BLACK RAIN
3. RIGHT BY YOUR SIDE
4. THESE DAZE
5. MASTER OF PAIN
6. INNOCENCE
7. ONE STEP CLOSER TO YOU
8. BRING IT ON HOME
9. TAKIN' A RIDE
10.THE LOVE TRAIN
11.MARY ANNE LOST HER BABY
12.ROCK N WORLD
13.FINGERTIPS

BGMビクタ− BVCA-608/1993 JAPAN
PRODUCED by RITCHIE ZITO,DONNIE VIE,CHIP ZZ'NUFF,PHIL BONANNO

これはもう超名盤! どの曲をとりあげても素晴らしすぎる。

どれもこれも一筋縄ではいかない。曲の展開がことごとくこっちの予想を裏切って、ここかと思えばまたあちら状態。それでいて、わけワカメにならずにああ、こんなふうになるのか!とうれしい驚きに恍惚としてしまうという・・・。

ほどよいHR風味というか、ギターの効かせ具合はメタル・ファンにも満足のヘヴィー・テイスト。とにかく捨て曲がないっ!

そんな中でも、いまのところ気も狂わんばかりにお気に入りなのが、ドラムのビートの刻み方とギターの震わせ方のバランスが絶妙の BLACK RAIN と、とんでもなく悲惨な歌詞にセンチメンタルでキャッチーなメロディ、むせび泣くギターがのってくる MARY ANNE LOST HER BABY かな。

プロモ来日したときに、あちこちでアコースティック・ライブしまくっていた RIGHT BY YOUR SIDE も、アルバム・ヴァージョンはアコースティック・ヴァージョンとはまた別の感動を呼ぶ、すばらしい仕上がり。こんなに美しいラブ・ソングなんてめったにないと思う。

INNNOCENCE は、JOHN LENNONがいまの時代に生まれたとしたら作っていたに違いない曲。

日本盤ボーナス・トラックの FINGERTIPS でのドニーの歌唱力は、もうメタルとかロックとかの範疇を超えたところにあると思う。歌詞の内容がわからなくても、なぜか涙が出てしまう。人間の素晴らしさに感動するようなタイプの映画で、タイトルトラックのときに流れそうな曲、と言ったら、どんな感じかわかってもらえるかなあ?

そう。 ENUFF Z'NUFF は、曲の素晴らしさもさることながら、私にとっては、ドニーの声がもう麻薬のようにす・て・き ちょっとかすれた、男っぽい声なんだけど、語尾を少しひっぱるときに甘えるような調子になるところとか、高い音を張り上げたとき、ちょっと苦しそうにせつなげな感じになるのが、もうたまらなく魅力的なのだ。

この人たちのいいところって、イギリスが大好きなアメリカ人だってところだと思う。にやにやとしちゃうほど BEATLES っぽい曲(でも、ちゃんとオリジナリティがある)があるかと思うと、めちゃくちゃブルージーでハードなアメリカン・ロックがあったりして、なん かもう私の弱いところをこれでもかこれでもかと攻めてくるような感じ。

あまりにも1曲ごとに入れ込んでしまうので、1枚聴き終えたときにぐったりしてしまった。でも、それがまた心地好い疲れなのだ。

音楽の好みは人それぞれだが、BEATLES で洋楽にめざめ、ヴォーカルがうまくて楽曲がよくできてるバンドに目がない人にはいち押しのアルバムだと思う。

しかし、この怖いジャケットはなんとかならないものか・・・これで売上げ数%は損してると思う。(95/01/28 23:25記)


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