日本土壌肥料学雑誌 68(6):716-719, 1997 より引用
番目の訪問者です(平成9年12月10日より)

文末に追加の注をつけました。これは学会誌に発表後渡辺巌 が書き加えたものです。追加の注へ

オーバーヘッドプロジェクター(OHP)を使っての発表の基本

渡辺巌
〒182 調布市深大寺北町6-58-18( Email:it6i-wtnb@asahi-net.or.jp)
Pros and cons for presentation by using overhead projector(OHP)
Iwao WATANABE

1 OHPを使っての発表の基本原理

日本土壌肥料学会の1998年度の全国大会での発表はオーバーヘッドプロジェクター(OHP)で行われることになった。
OHPを使っての発表はスライドを使っての発表と視覚物の作り方や発表方法に違いがある。 無論,上手な発表(プレゼンテーション)をやる基本には変わりはないが,ここではこれについてはあまりふれない。 OHPを使っての発表に慣れていない人のために,OHP向けの視覚物の作り方と発表方法についての解説をする。

1) OHPの利用方法

OHPでの発表でスライドに相当するものは透明なシート, OHPシート(OHPフィルム,英語でtransparencyまたはviewgraph)である。これをプロジェクターのステージの上にのせ,OHPシート上に書かれたものをスクリーンに投影する。 普通は発表者自身がOHPシートを取り替えながら発表する。 補助者にOHPシートの取り替えを依頼することで,スライドでの発表と同じように”次,願います”といって話しを進めることもできるが,ここでは発表者自身がOHPシートを取り替えるものとして説明する。

2) OHPの欠点と利点

OHPとスライドには,第1表にまとめた,欠点と利点がある。
なんといってもOHPの良さはOHPシートの作製が簡単なことと,会場を明るくして発表ができることだ。 さらにプレゼンテーションの効果を高める小技が使えるし,OHPシートをそのままコピー機で普通の用紙にコピーすることもできる。
ただ自分でOHPシートの取り替えをやるとなると,原稿の棒読みをしながら,”次,願います”といって,視覚物を見せていくことはできないので,プレゼンテーションにある程度の習熟を必要とする。

第1表 OHPとスライドの比較
項目 OHPシート スライド
作製 容易、廉価 やや面倒、やや高価(パソコン連動の フィルムレコーダーを使用すれば、 簡単に高画質のものが得られる)
修正 容易(ペンで修正可能) 困難(もう一度作りなおし)
会場照明 やや明るくてよい(要旨集読める) 暗くする(眠くなる)
投影画面 やや小 大きくできる
適正会場規模 50人くらいまで 51人以上はまずスライドで
コピー作る 簡単(そのままコピー機で複写) 高価
小技の使用 可能(重ね合わせ、マスキングなど)ほとんど不可能
写真の投影 あまりよくない 適している

3) 必要な道具、材料

カラーを含むばあい、コピー代を考慮すれば、プリンターで直接OHPシートに印刷するのが安価となるが、CGフィルムにはやや不透明なものがあって暗く写るという欠点がある。 (単価は某文房具メーカーのカタログに依ったので、多少の変動はあろう)。

2 OHPシートの作製法

まず必要な材料(OHPシートとマーキングペン)を文房具店から購入する。コクヨまたは3Mのものが有名。原稿をワープロかパソコンで作製する。

1) 作製の実際

上記の4種類の方式のどれで製作するかをきめる。手書きは書道や漫画の達人でない限り避けたほうがよい。 PPC用(白黒)が標準だろう。従ってまず,原稿をA4サイズの普通の用紙に印刷して,誤りのないことがわかったら普通のコピー機でコピーをとる。
原稿の作り方はスライドと同じ要領で,見やすく,わかり易く,読みやすいものを作る。大体発表1分で一枚という見当で作成するとよい。
 OHPではスライドの場合よりプロジェクターの位置がスクリーンに近いことが多いので,投影画面が小さくなる傾向がある。従って,スライドのときより,文字や図を大きめにすること。18ポイント以上を使用する。原則としてタイトルは36ポイント。説明文は24ポイントで。線は1mm以上の太さ。
A4用紙の縦の長さがステージよりいくらか長いので,長い方向の両端の余白は3ー5cmはほしい。 A4サイズの用紙は縦置き,横置きどちらでもよいが,横置きが望ましい。一つの発表でどちらかに統一するのがよい。
カラー印刷でないときには,強調したい部分にあとからマーキングペンで色をいれることもできる。
できあがったら,順番を示す数字を隅にマーキングペンで書き込んでおこう。

2) 写真をふくむ原稿のばあい

カラーコピー機でOHPシートにコピーするか,写真をスキャナーでパソコンに取り込んでから,カラープリンターで印刷する。デジタルカメラで撮ったものならOHP用に加工するのは容易だろう。白黒写真でも,カラーコピー機でコピーしたほうが鮮明になる。

3) プレゼンテーションソフトの利用

きれいな原稿を作るためにプレゼンテーションソフトを積極的に利用しょう。 Aldus Persuation(マッキントッシ用)とPower Point(マッキントッシ用と ウインドウズ用)などが有名。 このソフトを使うと文字の大きさや一枚の中に入る行数,図の大きさを適正な範囲に納めやすく,見やすい原稿が難なく作成できる。 20枚くらいを一覧できる機能があるので,これを見ながら,プレゼンテーションの全体の流れがつかめるという利点がある。 ただし背景用として用意されているテンプレートには背景色が派手なものが多いので,背景の色と文字や図の色のコントラストに注意しよう。 とくに,OHP用にはプロジェクターの光源の光量が弱くても,会場を明るく保てる,無色または若草色の背景が望ましい。

3 OHPを使っての発表法

発表者が自分でOHPシートを取り替えていくことを前提にする。


プレゼンテーションの基本は”聴衆にむかって話す”である。



視覚物を操作するとき(OHPシートの取り替え,OHPの小技の使用のときなど)以外はOHPプロジェクターのステージに体を向けないこと。
演者が聴衆に向いた方向で正規の位置にシートをステージに載せる(下端をスクリーン方向に)。
 OHPシートを取り替えが終わったら,プロジェクターからやや離れて,スクリーンにやや近づき,投影された画面を指しながら,聴衆に向かって話すやり方が望ましい。
一番悪いのはプロジェクターのやや斜め前方に立ってプロジェクターのステージ上のOHPシートにかがみこんでプロジェクターに向かって話すやり方である。プロジェクターの斜め前方に立つと,しばしば自分の陰が投影されてしまう(イラスト参照)。
指示のための棒や矢の先端が色づけしてある透明な指示ルーラーなどをステージ上のシートの上に置いて指示することもできるけれど,これだと,ついプロジェクターに向かって話しがちになってしまうし,拡大投影されるため,指示棒の動きが速く見えるし,手や棒の陰が写るのであまり好ましくない。 発表者が聴衆に話しかける姿勢を取りやすい,投影画面を指すやり方がよい。
OHPシートを綴じておくファイルからOHPシートをはづすか,取り出しておくこと。いちいちファイルから出していたら時間がかかる。
OHPシートを手に持ったまま話しをしないように。
また取り替えのときには無言で,頭のなかでは”次,お願いします”といいながら取り替えるとよいだろう。
同じOHPシートを何度も示せるのが,OHP使用のときの利点であるけれど,速やかに取り替えをするには,同じものを何枚か作っておいて順番に示していくほうがよい。 示すべきOHPシートを探すようなことは絶対にしないように。そのために,OHPシートに番号をふって,順番に並べておくこと。
話す内容をメモした紙を片手に持ち,もう一方の手で指示棒を持つとOHPシートの取り替えのときに手が空かないので,困る。 メモなしでしゃべる訓練をつけることが必要だ。 OHP利用の場合はメモを読むための弱光で照らされた書見台は用意されていない。シートの端に紙を貼り,その上にメモを書いておくことはできる。
OHP操作に自信のない人はOHPシートの取り替えの補助者を自分で見つけて,その人に取り替えをやってもらうこともできる。
取り替えの時間などを考慮して,時間はスライドのときの1割くらい余計にかかると見ておくこと。

4 OHP利用の小技

OHPを使用するとスライドのときと違ったプレゼンテーションの効果を高める小技ができる。しかし,操作に多少時間をくうので,発表時間の短いときはあまり利用しないほうがよいかもしれない。 このとき一番下のOHPシートを無暗に動かさないように注意すること。

5 まとめ

1) やらないこと

2) 上手なOHPプレゼンテーションの基本

ではみなさんのすばらしいプレゼンテーションを期待してます。

6 参考文献とウエブサイト


OHP材料についてはサーチエンジンでOHP,文房具といったキーワードで検索すればいくつか見つかる。
原稿作成に当たって、いろいろご批判をいただいたメイリンググループsssjの参加者に感謝する
。 ****************************************************************


追加の注

シートによってはプロジェクターにのせた時に反り返るものがあるので,シートに枠をつけるか,ぶんちんをシートにのせるか,シートを厚手のものに変えるかする。(12.10追加)

文書の先頭へ
Copyright is all reserved.

ご意見、提案などを私あてご一報ください。
関心のある方は渡辺巌 のホームペイジへ