WW2代表の私が、新宅選手から今年のS耐岡山戦出場の話を聞いたのは、5月初めのことでした。
今回はエンジンのセットアップ作業の都合で、78号車と一部スタッフは火曜日からすでにサーキット入りしていました。計時セッションが予定されている週末の3日間のみならず、週の半ばからすでに現地での活動が始まるあたりは、このS耐スポット参戦がチーム関係者にとっての一大イベントであり、1年のうちでも特別な1週間になっていることを物語っています。 土曜から参加する私は、金曜夕方から荷造りを開始し、WW2オフィシャルカーのアテンザワゴンに次々と積んでいきます。 |
その中身は、チームオリジナルのPIT看板やPITストップボードをはじめ、クーラーBOXやヘルメット&耐火スーツの予備品、差し入れ用のドリンク類、さらにはタイムスケジュール表からクレデンシャルケースといった細々とした品までで、その大半が約1年間の長い眠りから目覚め、次々に集結していきます。 今回はこれらの常備品に加え、昨年のレース直後に私がメモしていた追加品として、PITガレージ設置用のホワイトボードを1枚調達しました。 これは、私が情報共有の徹底を要改善点の一つに挙げたことによるもので、実際に昨年は小さなボード1枚しかなく、明らかに約不足でした。インカムのような機能的装備のない私達のチームでは、情報伝達の手段も限られるため、この追加アイテムが活躍してくれるのはまず間違いないところです。 |
フラッグ横にホワイトボードを増設 |
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その他にも私専用の備品として、レース戦略検討の参考となる過去6年間のレースデータや、各セッションのタイムや動きを書き留めておく記録用紙、デジカメやノートPCなど、準備に万全を期そうと思えば思うほど携行品のボリュームは際限なく増えていきます。またこれに加えて、現地PITからの要求で追加発注したスペアパーツやウェア類の品々を市内各所を回って集配していったので、結果的に土曜の朝私が一人で自宅を出発する段階で、アテンザワゴンのラゲッジスペースはこうした荷物でほぼ占領されていました(笑)。
さていよいよ当日の朝です。私は睡眠時間2時間足らずで4時前に起床、眠い目をこすりながら、5時前にはチームメンバー御二方を某所でピックアップし、夜明け前の山陽自動車道を和気ICを目指して走ります。到着目標時間は公式車検の開始時間の7時のはずでしたが、道中、交通の流れは順調なものの、やや遅れそうな雰囲気です。もっとも、昨年の公式車検のような忌わしいドタバタ劇さえなければ、大勢のメンバーが車検場で首を洗って待つ必要もないのですが・・・。 急いでチームのメンバーに挨拶を済ませ、私が車検場に向かおうとクレデンシャルを手にした瞬間、なんと78号車が私達のPITへ自走で戻ってきました。思わず私は反射的に同行スタッフの顔色を窺ってしまいますが、PIT内の誰もが皆とても落ち着いた様子です。そうです、私達がサーキットのゲートをくぐってバタバタしている間に、78号車はあっけないほどスムーズに今年の公式車検を通過していたのでした。
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まだ、熾烈なタイム争いが展開されるグリッド予選ではないにせよ、43秒台という望外の好タイムはもちろんのこと、クラス13台中10位という現在のポジションも、予選セッションの段階の78号車としては今までにない好位置です。今年の78号車は速さという切り口からみても、昨年までとは「何かが違う」ポジティブな感触を得たことは確かであり、チームは午後のグリッド予選に向けて、極めて明るいムードで準備作業を進めていきます。 |