武漢肺炎から新型コロナ(COVID-19)へ
      

注釈


* 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症です。
* SARS(感染症名):SARS-CoV(ウイルス名)
*MERS:MERS-CoV   
*HCoV:人の風邪ウイルス 4種類    
    
    
 第一章 変異型新型コロナウイルスの人間世界への出現
      
 2019年12月1日、香港のSouth China Morning Post(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)が武漢市で原因不明の急性肺炎の集団発生が起きたと報じた。
 
 武漢の海鮮食品マーケットで急性肺炎の集団発生が見られている。
 症状がSARSや鳥インフルエンザに似ていることから、香港では境界での検疫の強化、および病院での警戒態勢を強めている。
 12月に入って以来武漢では27人の急性肺炎が集団発生している。ほとんどの患者は海鮮食品マーケットで働いていた。
 現在7人が重体で、2人が退院間近、18人が状態は安定している。
 ほとんどの患者は発熱で、何人かが呼吸促迫を伴っている。
  詳細な情報は香港保健庁にはまだ入ってないらしく、2003年に広東省から流行が拡大してきたSARS(重症急性呼吸器症候群)の脅威が未だ残っているせいか、香港政府の動きも慌ただしくなっているようだ。
 北京政府と香港政府の間で、情報が必ずしも円滑に伝わっていないようだった。12月に入って以来武漢では27人の急性肺炎が集団発生していた。そうした情報は必ずしも、香港だけではなく海外の報道機関にも早期には伝わっていなかった。
 初期症状から中国政府の健康委員会では、27人全員はウイルス性肺炎に罹患していると判断していた。発熱と呼吸困難が主たる症状となる。
 
 2020年1月に入ってから中国国家健康委員会は詳細な流行状況を香港保健局に通知した。それが国際的に情報として世界に広まった。
 湖北省武漢で発生した集団肺炎は、厳重な監視の下に経過観察されているが、1月3日現在44人の発病者が確認されており、そのうち11例が重体であるが、死亡者は出ていないとされた。
 全患者は感染拡大を防止するために隔離室で治療を受けており、121人の接触者は、医学的監視下に置かれているとされた。
 疫学的調査では明確な人人感染は確認されていないとされ、医療スタッフへの感染も報告されてこなかった。
 病原体検査では呼吸器感染を起こすようなウイルスは検出されていないとされた。
 12月31日の発表では患者は27人、重体者は7人とされていたが、患者数がさらに増えていることが確認されている。
 
 当初世界的には新型肺炎とか武漢肺炎と呼ばれたが、中国は武漢肺炎と呼ばれるのを嫌う傾向にあった。
 多くの専門家は中国も含めて、この集団肺炎が単なるウイルス性肺炎で、死亡例が多く出るような重症肺炎とは考えていなかったはずだ。
 中国の正式発表で死者数が報告され始めたのは1月中旬頃であったが、後で分かってきたことだが死者は12月中に発生し始めていたようで、中国政府はそれを極力抑えていたようだ。
 死者数が増え続けなければ中国政府は、多分、最後まで死者の発生は報告しなかった可能性が高い。
 しかし感染者がドイツ東部や北イタリアにも拡大し出したときには、既に単なるウイルス性肺炎ではなく、先のSARSにも匹敵するような重大感染症の可能性が高いことが中国政府も認識しだしていた。
 
 1月24日、習主席に報告が入った。
 その時点で集計されていた感染者数の合計は7711人、死亡者数は170人死亡、回復者数は124人。
 報告を受けた習主席は、あまりもの惨状に驚いた。これまで当局は主席に正確な情報を伝えていなかったようだ。しかし感染者数と死者数が一気に増えだしたことから、情報を隠しておくことは出来ないことを悟ったようだ。
 主席は状況を透明にして、公開せよ!と一喝したと中国の報道機関は伝えている。
 
 ウイルスは当初から、新型肺炎を引き起こすウイルスが自然に発生したとする説と、武漢市ウイルス研究所から漏洩したとする説が仮説として存在したが、その後経過から著しいウイルス変異が起きていることが確認され、その変異の中に人為的操作によるものが含まれている可能性も指摘されていた。
 
 しかし人為的遺伝子操作が行なわれていても、最後まで(!!)結論が得られない恐れがあり、それが生物兵器だったとして、多くの犠牲者が発生したとしても、迷宮入りする可能性も示唆される事態も浮上している。
 
 当初中国武漢における集団肺炎は流行性肺炎として世界は警戒していたが、その集団感染は数日もしないうちに近隣国へ拡大しだしていた。5日に香港で14人確認、シンガポールでも少女の疑い例が報告されているが、その例は後にアデノウイルスによる肺炎であることが判明している。
 
 
 その後、このウイルスがどのように世界に拡大し、そして最終的に主要変異株オミクロン株が世界を覆った経緯を表面的ではあるが追ってみる。
 そしてこのオミクロン変異株が、当初の武漢肺炎を世界に広めた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と性格が大きく異なり、それゆえ、流行がやや収束気味である世界の流行が、ウイルス遺伝子の変化で、武漢肺炎、さらにはもっと致死性の高い感染症を引き起こす可能性を容易に否定する根拠がないことが示唆される。
 
 第二章 コロナウイルスと人類の関わり
 
 新型コロナは2019年12月に中華人民共和国湖北省武漢市で初めて検出された新興感染症で、一般に武漢市から世界各地に感染が拡大(パンデミック)したと考えられている。しかし、2019年代に市内の廃水からウイルスが分離されたという報告(スペインのバルセロナ大学)や、の発表によると2019年3月に採取した廃水から新型コロナウイルスが検出されている[32]。イタリアの国立がん研究所の研究によると2019年9月に採取した同国での肺がん検査受診者の血液中から新型コロナウイルスの抗体が検出されている。すなわち武漢市で2019年末に報告される前から、新型コロナウイルスは世界中に広まっていた可能性がある。
 ヒトに日常的に感染しているコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、4種類で、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1である。これらの人に感染するウイルスの同定は比較的最近行なわれたものであり、最初の2種類は1960年代、あとの2種類は2000年代に入ってから発見されたものである。いずれも人に感染しても症状は軽く、通常の風邪の3割前後を占めるに過ぎない。
 しかし2002年から2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS-Covで発症)はWHOの報告によると、疑い例を含むSARS患者は8,069人、うち775人が重症の肺炎で死亡した(致命率9.6%)。香港、ベトナムのハノイで集団感染が見られ、カナダのトロントの病院でも多くの患者が発生した。米国や欧米諸国でも発生したが、ウイルス学的診断方法が確立されてなく、主要臨床症状と公衆衛生学的所見からの診断であったことから、報告された感染者数や死者数の信頼性は落ちている。
 
 2012年に発生が確認された最初の中東呼吸器症候群(MERS-CoVで発症)は元々ヒトコブラクダに風邪症状を引き起こすウイルスであったが、人に感染すると重症肺炎を起こすことが確認された。
 基礎疾患を持つ患者に感染すると重症化、さらには死亡することが当初から知られている。
 SARS-CoVもMERS-CoVも、遺伝子変異によりウイルスの特性が変わり。特に前者は軽症化が著しく、現在では感染症としての位置づけが不明瞭となっている。一方、後者はその存在が明確ではなくなったが、遺伝子変異で病原性が大きく変わっている可能性がある。2015年に中東帰りの一人の韓国人発病者から韓国ソウルを中心に186人の感染者が発生したことは有名であるが、その後世界的にMERSの集団発生は報告がない。
 
 新型コロナ(SARS-Cov-2で発症)。文頭で記載したとおり、2019年12月に武漢で流行が確認された、人に感染する7番目のコロナウイルスで、その変異の多彩性が従来のコロナウイルスをはるかに凌ぎ、最終的に発生したオミクロン株からの多くの派生株が未だに多くの感染者を発生し続けている。