採集に行きたい




ミヤマクワガタが好きで、毎年この種は採りに行くのだが、 関東近辺のミヤマポイントはやはり限られる。家の近くで採集出来る場所は皆無で、見回して全く山の無い処では採集出来ないと思う。何せ深山クワガタである。 






1枚目と2枚目は房総半島における某ミヤマポイントの写真だが、栗の木である。木は相当な老木で人と比べても大木。数十本程度ありこれにミヤマが集まるのだ。 人の手で植えられた栗林で、もう相当な期間手入れもされておらず、下草は伸び放題で人の背より高く伸びている。
 




ここでは蹴飛ばし採集はとても出来ない。下に落ちたら殆ど見つける事は不可能、ルッキングで探して網で採るのが基本。大概は高い位置にいて、眼の良し悪しが勝負なのである。これがまた、ミヤマは良く出来た保護色で大変見つけづらい。GO-2氏(写真)に案内して貰ったミヤマポイントである。
 


千葉県房総半島産ミヤマクワガタ

家の廻りには歩いて数分で行ける雑木林が幾つか点在している。関東平野なのだが、クヌギやコナラが多くニ次林といわれる一度は伐採されたりした事の有る林である。当然ながら人の手の全く入っていない森などこのあたりには存在するはずもないのだが、ケヤキやカシの立派な大木も幾つかある。
おそらく昔の人が土地の境界として植えたものとみえ、きちんと並んで立っている事が多く、直径1.5mを超えるケヤキなど畏敬の念さえいだかせる立派なものもある。

これら近所の雑木林でもそれなりの虫は採集出来るのだが、やりにくい点も有る。まずオサムシなどを採集の為、トラップ仕掛けようと紙コップを片手に雑木林の中に入ってゴソゴソやるのだが、犬を散歩させている人などにけげんそうな顔で見られる事はしばしばである。
そうなのだ、このあたりは近所の住人が犬の散歩やジョギング、、最近はウォーキングかな、、などに良く利用される道に面している雑木林が多いのだ。
中には 「何をされているのですか?」 などと優しそうに声をかけてくるおばさまもいる。つれている犬がまた、足のひどく短いマンガみたいな犬だったりするのであるが、飼い主に似ている事が多いのは全くもって不思議である。
以前はこちらも丁寧に説明などした事も有ったが何処まで理解しているのかも不明だし、いちいち解説するのもいい加減飽きた。そこで出来るだけこの様な事態を避けたいが為に早朝など人気の無い時間帯を狙うのである。しかし、なんせ敵は早起きでお日様が昇らないうちから犬の散歩やウォーキングなど始めるので、目立たない様に事を行なうのは困難を極める。なにせ見つかると楽しい採集に集中出来ないのである。

それと最近は、このような雑木林などに面した細い道も殆ど舗装されている。人が走ったり散歩したりするのには楽であろうが、舗装しないでおいた方が良いと思われる場所も多い。中には朝夕の通勤時間帯に車の抜け道となっているところもある。
この抜け道には時期になるとよく虫がひかれて潰れているのだが、その虫はシデムシが断とつに多い。まずこのあたりの個体数が圧倒的に多いのだろうが、1匹がひかれて潰れると仲間がその死骸に集まり、それがまたひかれて潰れるのだ !! かくして死のシデムシロードと化し、何10か、時には100に届くか、轍の跡に潰れたシデムシが続くのである。
中には、アオオサやマイマイカブリ、コクワ、ノコギリ、稀にタマムシの死骸も混じっている。

犬はこんなのが大好きとみえて、早速匂いを嗅いだり齧ってみたくてしょうがない、飼い主は、「いけませーん、、汚いですょ、毒ょ、」とか犬を叱咤し、通り過ぎていくのであるが、その光景を雑木林の奥でそっと紙コップを埋めながら聞いていたりするのは私です。(笑)

次にこのあたりで樹液採集というとやはりクヌギやカシである。6月の初めからコクワ、ノコギリが採れだし7月に入るとカブトやカナブンの類が出現。8月の中頃以降になると黒カナブンが見られ、コクワの個体数が増える。カシの木は早春から晩秋まで永い期間樹液を出しているので10月にノコギリが採れた事もある。
それと3-4年くらい前から、子供達がクワガタ、カブトを採集しているのを見かける事が多くなった。それ以前、このあたりで夜間樹液を見て廻っても人に会う事は殆どなかった。これはとても喜ばしい事と思っている。それは一時期より昆虫採集の復権が進んで来たように感じるからなのだ。きっとここにおられるクワ馬鹿の面々による啓蒙も一役かっているに違いないと思うのだが、、、昆虫採集が好きな子供は元来沢山いるはずなのである。
現在の全国的な状況は知る由も無いのだが、少し前の話、このあたりでは小中学校へ夏休みの自由研究等に昆虫採集した標本を持っていっても受け付けてもらえなかった。自分の子供時代とはずいぶんと変わった事を知り愕然としたものだ !!

今の時期ツクツクボウシの声も聞こえなくなり、夜は秋の虫が主役になっている。外来種のアオマツムシが木の上で盛んに鳴くのもこの時期だが、この種は最近とても増えてきた。
この近辺のクワガタ、カブト、オサムシなどの発生数はここ10年以上変化無く減りもしないし増えもしない印象である。
最近、遠出をする機会が無くて歩いていける近場で我慢のこの頃なだ。そう言えば子供の頃はバケツ片手に何処までもてくてく歩いて虫採りに行ったっけ。

(2002/9/24 A.CHIBA)



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