このコーナーでは「千と千尋の神隠し」についてのしつもんにこたえます。
●「 千 と 千尋 の 神隠 し」って、どんなお 話 なの? 2001/07/19 せん ちひろ かみかく はなし
●「 不思議 の 町 」は 本当 にあるの? 2001/07/19 ふしぎ まち ほんとう
●「オオトリさま」って、 本当 にいるの? 2001/07/19 ほんとう
●「 働 く」って、どういうことなの? 2001/07/19 はたら
● 千尋 はどうして 後 ろをふり 返 ってはいけなかったの? 2001/08/01★ ちひろ うし かえ
★10さいの女の子の冒険ものがたりです。 「千と千尋の神隠し(せんとちひろのかみかくし)は、千尋(ちひろ)という10さいの女の子が、不思議の町を冒険(ぼうけん)してくるものがたりです。 千尋は、ひっこしのとちゅうで、お父さん・お母さんといっしょに不思議の町にまよいこんでしまいます。その町は、日本にすんでいる神さまがやってくる町でした。 お父さんとお母さんは、神さまの食べものをまちがえて食べてしまいます。罰(ばつ)として、お父さんとお母さんはブタのすがたに変えられてしまいました。 千尋はたった一人だけとりこのされてしまいます。千尋はこまってしまいましたが、そこでハクという男の子と出会います。ハクは、千尋に次のようなことを教えてくれました。 「ここでしごとを持たない人は、消えてしまうか動物(どうぶつ)のすがたにさせられてしまう。だから千尋も働(はたら)かないといけない」 千尋は、ハクの言いつけどおり、しごとをするために湯婆婆(ゆばーば)のところへ行きました。「ここで、働かせてください!」と叫びました。はじめはことわられますが、なんどもおねがいして、ついにしごとをもらうことが出来ました。しごとをもらうと、消えてしまったりブタのすたがに変えられてしまうことはないので、ひとあんしんです。 千尋はがんばって働きます。そしていろんな冒険もしていきます。後でハクは大ケガをしてしまいますが、千尋はなんとかしてハクを助けようとがんばります。 千尋は、お父さんとお母さんを助けられるでしょうか? そして、もとの人間の世界に帰れるでしょうか? |
★あります。きっとあります。 もしかしたら、みなさんの中には「『不思議の町』は宮崎かんとくの作り話なんだから、あれはウソなんだよ。」と考える人がいるかもしれません。 たしかに、「不思議の町」は宮崎かんとくが考えたものです。宮崎かんとくが考えたそのままの町はないかもしれません。でも、宮崎かんとくは、ウソをつこうと思ってその町を考えたのではありません。 もし「不思議の町」がウソになってしまうのなら、「かぐや姫」や「浦島太郎(うらしまたろう)」といった昔話も、みんなウソということになってしまいます。みんな、昔からウソの話にだまされていたんだということになってしまいます。それは変ですよね。 「かぐや姫」に出てきた月の国も、「浦島太郎」に出てきた竜宮城(りゅうぐうじょう)も、どこにあるか分かりませんでしたし、めったなことでは行けませんでした。「不思議の町」と同じですよね。つまり、めったなことでは行けないからこそ、そこは不思議な世界であり、ただの人間が住んでいる世界ではなくて、神さまや特別(とくべつ)な人たちが住んでいる世界にちがいないと考えられるのです。 昔話は、昔の人が何か大切なことを伝えたいと思って作られました。大切なことがあるから、長いあいだにわたって伝えられてきたのです。宮崎かんとくも、何か大切なことをみなさんに伝えたいと思いました。だから、「不思議の町」を考えたのです。 宮崎かんとくがみなさんに伝えたかった大切なこととは何でしょう?それは映画をみているうちに分かってくるかもしれませんよ! |
★はい。きっとどこかにいます。 みなさんの中には、「オオトリさまみたいなふざけた神さまなんているはずがない」と考える人がいるかもしれません。でも、オオトリさまは必ずいます。 日本には、いろんなところにいろんな神さまが住んでいます。山には山の神さまが住んでいます。川には川の神さまが住んでいます。 もちろん、どうぶつにも神さまがついています。オオトリさまはヒヨコの神さまです。日本にはヒヨコがたくさんいますから、オオトリさまも必ずいるのです。 オシラさまはダイコンの神さまでした。食べものにも、それぞれの神さまがついています。たとえば、ニンジンにも神さまがついています。ニンジンがきらいだからといって残してしまうと、ニンジンの神さまが悲しんでしまいます。何か食べものを残すと、その食べものの神さまが悲しんでしまいます。すききらいはしないで、ちゃんと残さずに食べましょうね! |
★世の中のために役に立つということです。 右のイラストは、油屋(あぶらや)というお風呂屋(ふろや)さんでの千尋です。千尋はいっしょうけんめい働いているのですが、何をしているのでしょう? (1)お風呂をそうじしている。 (2)神さまのために役立つことをやっている。 (3)世の中のために役に立つことをやっている。 イラストを見ると、千尋はいっしょうけんめいそうじをしていますから、もちろん答えは(1)です。また、このイラストはお風呂をそうじしているところで、お風呂には神さまが入ります。つまり、神さまのために役立つことをやっていますから、(2)も答えです。 (3)は、なんだかものすごく大げさなことをやっているように聞こえるので、答えではないと思うかもしれません。けれども、神さまは世の中のために役に立つことをしていて、その神さまが喜ぶことをするというのは、めぐりめぐって世の中のためも役立っているということと同じです。ですから(3)も答えなのです。 働くということは、たんに何か言われたことをやるだけで終わるのではありません。働いたことが、必ず誰かの役にたち、世の中のために役にたつのです。みなさんが毎日を生きていくことができるのも、世の中の人たちがみなさんのため、そして世の中のために役立つことをしているからなのです。これが、働くということです。 たとえば、子ども会の集まりで、みなさんが近所の川をそうじすることになったとします。このとき、「だれも見ていないところはサボったほうがトク」なんて考えたりしませんか?でも、自分が楽をしたいからという理由でそうじをサボったりすると、川はきれいになりません。やはり、ちゃんとそうじをしないと世の中のためにはならないのです。きちんとそうじをしたら、川の神さまも喜んでくれますよ! |
★それは千尋の決心(けっしん)がためされていたからです。 ものがたりの最後(さいご)に、千尋はもとの人間の世界に帰れることになりました。そのとき、千尋はハクから「トンネルをぬけるまで決してふり返ってはいけないよ」と言われました。千尋はとちゅうで思わず後ろをふり返りそうになりましたが、ハクとの約束(やくそく)を守(まも)ってトンネルをぬけるまで決してふり返りませんでした。 どうして、千尋は後ろをふり返ってはいけなかったのでしょうか? それは、「人間の世界に帰りたい」という決心と、「約束を守る」という決心がためされていたからだと思います。決心とは、どんなに苦しくても決めたことを守ろうと心に誓(ちか)うことです。 千尋が人間の世界に帰れることになったのは、湯婆婆(ゆばーば)の謎(なぞ)かけに勝(か)ったからなのですが、それだけでかんたんに帰ることはできません。人間の世界と「不思議の町」を自由に行き来することはできなかったですよね。だから、千尋が「人間の世界に帰りたい」という強い決心を持っていないと人間の世界には帰れないのです。 とちゅうでふり返るということは、「人間の世界に帰りたい」という決心が足(た)りなかったということです。だから、もし千尋がふり返っていたら、人間の世界に帰れなくなっていたでしょう。 それだけではありません。もし千尋がふり返っていたら、「約束を守る」という決心も足りなかったということになってしまいます。それは約束を破ったことになりますから、きっとただではすまなかったにちがいありません。 むかしから、約束を破る人には、きびしい罰がまっていました。聖書(せいしょ)には、約束を破って後ろをふりむいてしまった人が塩(しお)の柱(はしら)にされてしまったというお話があります。千尋も、ひょっとしたら子ブタか石炭(せきたん)にされていたかもしれません。 約束を守るということは、とても大切なことです。どんな約束でもきちんと守るようにしましょうね! |
(イラスト:junkoさん)