の気配 
(1999年7月30日〜8月1日)

8月、都会は猛暑でうなるとき
尾瀬には
静かに、秋が来る。

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中田代からの「燧岳(ひうちだけ
いつも見慣れた風景だけど、風にそよぐ葉達が秋の気配を伝える。

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反対側には、「至仏山(しぶつさん)」がある。
カーンと開けた原に、疲れた精神はたちまち生気を取り戻す。

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池塘(ちとう)がかもす曲線は、とがった心根を癒やす天然の医者。

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池塘に浮かぶ「浮島」は
もしかしたら、100年単位の話を秘めているのかも知れない。


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それを聞かせたいと言いたげに、「ヒツジ草」が花を開く。
午後3時、ヒツジの刻のティータイム

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原を横切る「大堀」は音もなく流れ、原に水分を含ませる悠久の営みを続ける。

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野分けの風が原を次々に渡るとき
草紅葉が始まっている。

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残ったワタスゲは懸命に種子を飛ばし、ワレモコウは受粉のため、1センチでも背を高くして媒介者を待つ。
クガイソウは紫の花をシッポのようにして相手を呼ぶ。


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野分けの風が、ヨシ群に及ぶとき、それはにぶい光となって、一斉に音を立てて、身を寄せ合う。

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小さな風鈴を打ち鳴らすように、黄色いばちで調子をとるように
風の動きに調子を合わせる。

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夏の花の王者、ニッコウキスゲには、探して、探して、ようようお目にかかれた。
花弁が6枚あるように見えるが、中の3枚が花で、外の3枚は花を保護する、ガクだという。

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咲き誇った花は、草と同じ緑の実となって、風に戯れる。
クイズめくが、画像の中に2本ある。

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時には、アブラムシの宿となる。
この因果関係は、もっか研究中だとのこと。

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水芭蕉は、栄養の豊富な水辺で、グロテスクなほど葉を大きくして
来年に備える。

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 湿った水のあるところでは、食虫植物のモウセンゴケが可憐な小さな白い花を付ける。
左 ナガバノモウセンゴケ 右 サジバノモウセンゴケ

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陽が西に傾く頃
池塘では、ミツガシワが池の底に根を張って、来年の準備に余念がない。

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牛首を前に、至仏山は今日の無事、今年の夏の無事を喜んでくれているようだ。
牛首の麓の細い線は、太陽の光線で、秋によく見られる。

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