ゴールディ・ホーンやジャクリーン・ビセットと共に彼女の年代を代表する女優さんであると見なせるでしょう。腹話術師として知られたエドガー・バーゲンの娘です。「ベストフレンズ」(1981)で共演したジャクリーン・ビセットと同様、見目麗しいだけでなく、インテリジェンスを感じさせるところが彼女の一つの大きな特徴であると言えるかもしれません。実際、彼女は写真家としても知られているようです。ややコールドで根暗な印象もなきにしもあらずのビセットとは異なり、彼女にはバラの花のように華やかで明るいイメージがあります。ビセットが「セント・アイブス」(1976)のようなネオノワール作品で悪女を演じて見事にきまっていたのに対して、バーゲンは、まったく悪女向きではなく、実際悪女役を演じたことはないはずです。ただ、見た目の華やかさに比して、地味な作品への出演が多いのも確かです。多くの女優さんが輩出したシドニー・ルメットの監督作「グループ」(1966)のいわば卒業生の一人であり、その中でもその後もっとも成功したのが彼女でした。ただし、出演作はそれほど多くはなく、以下の一覧に列挙されている作品以外の出演作は数本にすぎません。60年代は、「砲艦サンパブロ」(1966)を除くとメジャーな作品には出演していませんが、70年代初頭の「ソルジャー・ブルー」(1970)は、異色の西部劇として話題と論議を呼びました。それ以外の70年代前半の作品はややマイナー気味ですが、70年代中盤に出演した「風とライオン」(1975)と「弾丸を噛め」(1975)は、地味ながらそれなりの話題作でした。また、知名度のわりにアカデミー賞にはほとんど縁がなかったとはいえ、「結婚ゲーム」(1979)では、アカデミー助演女優賞にノミネートされています。彼女は、これを書いている2009年現在でも現役ですが、何を間違えたのか、「デンジャラス・ビューティー」(2001)や「メラニーは行く!」(2002)などでは、スラップスティック気味のコメディパフォーマンスを見せ、昔の美人女優のイメージを自らの手でガラガラと壊しているようです。どうやら、女レスリー・ニールセンにでもなるつもりでしょうか。 |
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