小-中の異文化体験学習

98/09/27 11:12

1998、8月の教育課程審議会で下記のようなことがうたわれた。

<国際化への対応>
   広い視野をもって異文化を理解し、異なる文化や習慣をもった人々と共に生きていくための資質や能力の育成を図るとともに、我が国の歴史や文化・伝統に誇りや愛情と理解を培う教育を一層重視する。外国語による基礎的・実践的コミュニケーション能力の育成を一層重視しつつ、中学校及び高等学校において外国語を必修とする。また、小学校において「総合的な学習の時間」などで、外国語に触れ、外国の生活や文化に慣れ親しむなどの体験的な学習活動が行われるようにする。

実際に東松山市などでは中学校に常駐として配置されたAETに、近隣小学校へ「クラブの時間」と称して「総合的な学習の時間を意識した」形で出張してもらっているようだ。

授業内容は文字通りの「異文化体験学習」=「外国語会話に親しむ時間」となっている。下記の指導案のようにAETと外国語を通して児童がAETと楽しく交流できれば良いようである。

<指導案例1>

Let's enjoy English」実施計画                     

1.日 時     平成10917() 第6校時 (14:5015:35 )

2.対 象     創作遊びクラブ17名  1 7日は、14:5015:20 位

3.来ていただく先生(A E T)       A d r i e n n e先生

4.場 所       生活科室

5.目標     A E Tの自己紹介を聞いたり、数の言い方などの表現に親しみ、ビンゴゲームをする.

6.言語材料

{Good morning. Good afternoon. How are you? I'm fine,

Hello   How do you do? My name is・・・・・・

one two three four five six seven eight nine ten ・・・・・・30}

7. 展開

A E T

1 AETにあいさつする。

 

 

 

2 始めの言葉をいう。

3 今日の活動内容を確認する。

4 AETの先生の自己紹介を聞く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5 AETの先生に質問する

6 数の言い方を知る。

7 ゲームをする。  ビンゴゲーム 数を読み上げる。

 

8 終りの言葉をいう。 ・代表の児童が行う。

9 あいさつをしてAETの先生を送る。

・会場に入場する。

Good afternoon.

How are you? ( I'm fine, thank you. And you? )

 

 

 

・名前と出身国、 趣味等について話す。

 

Ad r i enne先生(カナダ)

How do you do?

My name is・・‥・・ I'm from Canadaetc. ・質問に答える。 Good bye. See you again.

110までの言い方を指導する。 (さらに、 30まで)

・児童と一緒にゲームをする。数を読み上げる。

・拍手で迎える。

・全員で元気良くあいさ

 

 

 

・代表の児童が行う。

・部長を中心に活動を進める。

・地図、 地球儀等を用意する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・簡単な数の言い方を知り、 ゲームに生かす。 (ビンゴゲーム)

 

・代表の児童が行う。

 

・拍手でおくる。

 

<指導案例2>

「わくわくタイム」実施計画案

1.日 時    平成10年9月29日(火) 第5校時 (13:55〜14: 40)

2.対 象    3年1組・・・38名

3.来ていただく先生(A E T)  Adrienne先生 Natalie 先生

4.場 所    3-1教室  教育相談室

5.目 標    あいさつ,色、野菜の言い方などの表現やゲームに親しむ。

6.言語材料

   {Good morning. Good afternoon. Hello How are you ?

I'm fine, thank you. And you? Good bye. See you again. yellow blue white

pink gray red black green purple orange ・・・・・・・・・What color is this?

corn tomato potato cucumber pumpkin cabbage onion ・・・・・・}

7 展開

 主 な 活 動

A E T の 先 生

留 意 点

1 AETにあいさつする

2 始めの言葉をいう。            

3 AETの先生の自己招介を開く。

4 2つの教室に分かれる

   3-1 教育相談室

5 色の言い方を知る。  

 

6 野菜の言い方を知る。   

 ゲームをする。     

                                  

7 終りの言葉をいう。

          

8 あいさつをしてAETの先生を送る。

・会場に入場する。

 

・名前と出身国、 家族等について話す。

Adrienne先生Natalie 先生

3- 1 Natalie 先生

教育相談室 Adrienne先生

・color cardを使って、 色の言い方を説明する。

yellow blue white pink gray red black green

 

・児童にカードや身近な物を使って質問する。

・What color is this ?

・野菜の言い方を知らせる。

・カラーバスケットゲームまたはベジタブルバスケットゲームを児童と一緒に行う。

・拍手で迎える。

・代表の児童が行う。

・地図、 地球儀等を用意する。

・カードを使って説明する。

 

 

 

 

 

・カードを使って説明する。

 

・いくつかのグループに分かれ、フルーツバスケットのやり方で行う。          

 

・児童の状況を見ながら何度か行う。

 

 

 

 

・代表の児童が行う。

・拍手でおくる。                   

 

上記のようなT-Tは中学校一年生のクラスで良く見かける内容の授業であろう。

小学校で「異文化体験学習の第一歩」が踏み出されている今、中学校での「国際理解の基礎を培う」ための異文化体験学習のあり方はどのようなものが考えられるだろうか?

 今までのように小学校での内容をまったく無視して「英語科」授業は成立しなくなってきている。と言うよりも小中の今まで以上の連携が望まれるのであろう。

 下記の中教審、中学校外国語科の答申からヒントが得られる。

xi) 外国語(抜粋)- 詳細はここ -

 ア 改善の基本方針
(ア)これからの国際社会に生きる日本人として、世界の人々と協調し、国際交流などを
  積極的に行っていけるような資質・能力の基礎を養う
観点から、外国語による実践的
  コミュニケーション能力の育成
にかかわる指導を一層充実する。その際、外国語の学
  習を通して、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度と、
視野を広げ異文化
  を理解し尊重する態度の育成を図る。

(イ)実践的コミュニケーション能力の育成を図るため、言語の実際の使用場面に配慮し
  た指導の充実を図る。
(ウ)国際化の進展に対応し、外国語を使って日常的な会話や簡単な情報の交換ができる
  ような基礎的・実践的なコミュニケーション能力を身に付けることがどの生徒にも必
  要になってきているとの認識に立って、中学校及び高等学校の外国語科を必修とする
  こととする。その際、中学校においては、英語が国際的に広くコミュニケーションの
  手段として使われている実態などを踏まえ
、英語を履修させることを原則とする。

 イ 改善の具体的事項
  (中学校)
   基礎的・実践的コミュニケーション能力を育成することを重視して、次のような改善
  を図る。
(ア)学習段階を考慮して、「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」及び「書くこと」
  の四つの領域の言語活動の有機的な関連を図った指導を展開しながら、音声によるコ
  ミュニケーション能力を重視し、実際に聞いたり話したりするコミュニケーション活
  動を多く取り入れることとする。
(イ)ゆとりある弾力的な指導を一層可能にするため、現在は学年ごとに示している四つ
  の領域の言語活動の内容を、3年間を通して一括して示すこととする。また、例えば、
  あいさつや依頼をすることなど日常的な言語の使用場面や言語のはたらきを例示し、
  それらを有機的に組み合わせることにより実際に言語を使用する幅広い言語活動が展
  開できるようにする。
(ウ)言語活動を行う上で必要となる音声、文や文型、文法事項、語及び連語などの言語
  材料については、基本的な事項に整理するとともに、文法事項や語数など内容の一部
  を削除する方向で見直す。
(エ)教材については、国際理解に役立つものを重視して取り上げるようにするとともに、
  コミュニケーション能力の育成を図る観点から、実際に使用する経験を重ねながら言
  語の習熟を図ることを重視して、言語を使用する場面や言語のはたらきに配慮したも
  のを取り上げるものとする。
(オ)指導に当たっては、個別指導、小集団による活動、視聴覚教材の使用など生徒の能
  力や適性などに配慮した様々な工夫を図るとともに、ネイティブ・スピーカーなどの
  協力を得て行う授業を積極的に取り入れることや、インターネット等の情報通信ネッ
  トワークや教育機器などを指導上有効に生かす
ことに配慮する。

  「実践的コミュニケーション」「視野をひろげ。。」「英語の必要性」「情報通信」等のキーワードから考えて、以下のような異文化体験学習が考えられる。

@ E-mail交流

A スタディーツアー(詳しくはここ

B Web活用

C 有意義なタスクを目標にしたCommunicativeなActivities

D Global Activities(実践例や詳細はメールで

E その他

 

 特にC、Dについては従来どおりの活動になろうかと思われるが、あくまでPedagogicalなActivitiesから脱してよりRealな'Target-Task'をCreateしていく必要がある。更にそのTarget-Task実現の色彩が強くなればなるほどglobalなActivitiesに変化してくると思われる。そうなると日常的な授業で行うにはBig-Eventとなりすぎてなかなか実現が難しい。昨年、私の中学校でもHalloween-PartyでのJack-O'-lanternづくりを実施したが、教育委員会までもがPumpkinを用意したりしてまことに大掛かりであった。英語科教員もそれなりに仮装して登場!生徒は大喜び、、、しかし、その教員と関係者の労力たるや大変であった。

 公立中学校でのOutside-of-classroom的な活動は本当に難しく、尚且つ多大な制限がある。簡単にStudy-Tourなどと言ってもその手続きたるや、「上級学校調査活動(進路)」に匹敵するくらいの難関であろう。私立中学(推進校)や高校・大学のようには簡単にはいかない。教室内のPedagogicな活動ではGlobal-Activitiesにも制限がある。Mediaを使うしかない。つまり学校に居ながらにして何とか「異文化体験学習」を通して「英語への興味・関心・意欲」を育成しようというのである。



 異文化体験学習が小学校の「総合的な学習の時間」などで週1回程度なら良いが、中学校は週3〜4ましてや新しい指導要領ではほぼ毎日が可能なのである。準備と教員の持ち時数との関係で実現が難しいだろう。中学校での「総合的な学習の時間」は全校単位もしくは学年単位で実施の可能性が高く、英語科からは離れるだろう。

 週一回程度でもよいから、中学校英語科においても「異文化体験学習」を計画していきたいのだがどのようにしていったら良いのか現在試行錯誤中である。実際にやっているのは開発教育の手法(ここに近いものがあります)の教室内(パソコンルーム)でできるいくつかである。

 いずれにせよ、小学校で行われる「総合的な学習の時間」から更に一歩進んだ「総合的な学習の時間」(異文化体験学習活動)が中学校に望まれているようである。

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