デカローグ2　「ある選択に関する物語」

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デカローグ2：あなたはあなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない
　重度のガンの夫を持つ、バイオリニストのドロタは、愛人との間に子供がいた。ドロタは当初、夫が死んで、子を産むことを望んでいた。ところが、同じマンションに住む主治医が死の宣告を渋り、そしてガンに苦しむ夫を見るうちに、中絶を決意するが・・・。
　二転三転するストーリーは興味深い。ラストのどんでん返しは、アイロニカルで、キェシロフスキーらしい終わり方と言える。戦中に妻子を亡くした（らしい）ベテランの医者が、ストーリーの大きな地位を占める。「告知」という難題に対し、決して死をあきらめない真摯な態度が心を打つ。「個人的な神」を持つ強みなのかもしれないが、医者だった私の祖父のことを振り返っても、何かしら大きな信念があるように感じられる。クライマックスの病室の血のように赤いジュースからはい出てくる蜂が強く印象に残る。