国連総会

 

人権理事会 普遍的・定期的レビュー 

 

朝鮮人民共和国(北朝鮮)に関する報告書

 

提出する団体

 

北朝鮮難民救援基金(LFNKR)は、特定政治的立場や思想、宗教にとらわれない、独立した、国に登記済の非営利組織(NPO)である。北朝鮮難民救援基金の主要な活動は、中国にいる北朝鮮からの脱北者を保護し、支援物質(食物、衣類、医学)を提供すること、脱北者が第三国に安全に到着するよう支援すること、そして北朝鮮難民の権利のために国際的レベルで運動することにある。

1989年に、数多くの人権活動家たちが、ブリュッセル人権(Bruxelles-Droits de l’Homme/ Brussels- Human Rights/ Brüssel Menschenrechte)というNGOを設立し、後に国境無き人権(Droits de l'homme sans frontieres) と改名した。組織は暫時拡大していき、国際的国境無き人権(Human Rights Without Frontiers International (2001)となり、支所をベルギー、中国、米国、ネパールに設立。1997年以来、HRWF Int.のベルギー支所は人権のための国際ヘルシンキ連盟the International Helsinki Federation for Human Rightsの準会員となっている。私達の主要な活動は、国家的および国際的なレベルでの、人権の分野での監視、調査、分析であり、民主主義、法治主義の推進にある。

 

要約

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、4つの主要な国際的人権条約の加盟国であるにもかかわらず、政治的、社会的、経済的な国民の基本的人権を守っていない。それどころか、北朝鮮政権は、国際社会に対し、挑戦的な態度をとり続け、インフラストラクチャーや教育および国民の基本的な栄養条件を満たすことよりも、軍事開発を優先させている。

私達は、いかなる政府や宗教から完全に独立している人道主義NGOとして、国際社会と協調することを北朝鮮政府に強く要求し、必要とあれば、専門技術を導入して国民が持つ潜在的能力を十二分に引き出すよう要求する。

 

キーワード

North Korea, DPRK, human rights abuses, starvation, refugees, migration, torture, forcible repatriation, labour camps, abortion, China

北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国DPRK、人権侵害、飢餓、難民、移住、拷問、強制的な本国送還、強制労働収容所、堕胎、中国

 

 

T. 背景と枠組

人権構造と制度

北朝鮮は数々の国際的人権条約の加盟国である。経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、子どもの権利条約などである。

人権侵害被害者救済のための国家的な仕組が全く存在しない。まずありえないものとは思われるが、仮にそうした仕組みが存在し、形式的には有効かつ法的なものとされていたとしても、実質的には全く機能してないものとおもわれる。北朝鮮の一般人民に人権とか人権侵害などという概念自体が殆どなく、メディアとか他の機関によってこの国に情報が伝えられることは、政府により厳しく制限されている。北朝鮮には、市民社会というようなものが存在するとは思えない。

 

 

U. 人権行動計画

 

国際的人権の普遍的な尊重及び遵守並びに保護を促進する義務履行

1.差別撤廃と平等

北朝鮮人は国家への忠誠度に応じて3種類に区分されている。最も好ましいとされているクラスの人々は他のより低いクラスの人々が得られない、移動の自由等の様々な特権を与えられている。比較的裕福な所とされる首都平壌に住むことができるのは、最も好ましいとされるクラスの中でも特定の人々に制限されている。

不忠実な行為、また忠誠心がないと断じられた人々は子供、孫の3世代にわたって罰せられる。一家に脱北者がでると、その一族は監視のもとに置かれ、しばしば強制収用所に囚われる。

2.個人の生存、自由、安全の権利

生存権の侵害のひとつには中国から帰還した女性たちへの強制堕胎がある。強制堕胎の理由は、胎児が中国人との混血であり、純血の朝鮮人ではないこと、そうした中国人の「種」を女性が宿していること等である。彼らが国境を越えて中国に入ったのは生きるために食物を求めてのことなのだが、彼らへの迫害も生存権の侵害である。彼らを送り込む、スターリン政権下のグラーグのような強制収容所も存在する。

自由に関する権利の侵害には、まず国内外の許可証なしでの移動の禁止があり、この国では一部エリートを除いたすべての人に禁止されている。また、政府中枢から認可された少数のメデイアを除いて、報道の自由はない。外国の放送をこっそり聞いたり見たりした者には、過酷な刑罰が科せられる。安全権の侵害に関しては、恣意的な逮捕、拘束があげられる。拘束とは、しばしば強制労働収容所への収容判決を意味する。

 

 

3.司法運営と法治

北朝鮮人は恣意的な逮捕、そして強制労働収容所への収容の危険に常にさらされ続けている。逮捕や拘束は法的な手続きを経ずに行われることが多い。  そうした経過を経て収容された人たちの家族も、監視、尋問、拷問を強められ、拘留されることが多い。北朝鮮には実質的な法治は存在しない。北朝鮮人は犯罪告発に対して弁証もできないし、公正な判事や陪審員により審理されることもない。通常、拷問は公安により行われる。食物のため、職探しのため、また時には北朝鮮当局からの圧迫から逃れるため中国に入り、その後中国から自発的に帰ってきた者も、中国政府当局によって強制送還された者もこの拷問の対象となる。

 

 

4.宗教と信仰、表現、平和的集会と結社の自由、政治的・公的生活に参加る権利

 

北朝鮮政府は、市民が宗教の自由を楽しんでいるとしているが、実際には、北朝鮮人は、宗教活動を行うこと、またはそれをしていると疑われていることにより罰せられる。中国から帰ってきた北朝鮮人は、宣教師と会った事実があったり、あるいはそれをしたと疑われた場合、より厳しい刑罰を科せられる。

北朝鮮人は、中央政府により規定された目的のため以外の集会の自由を全面的に禁止されている。指導者への批判は、明白であるか否かにかかわらず、厳しく罰せられ、その親族には監視が強化され、厳しい処罰が科せられ、しばしば強制労働収容所に送られる。

選挙は自由ではない。指導者は北朝鮮の市民に選ばれるのではなく、朝鮮労働党に選ばれた議員により承認される。このように、北朝鮮人は議員を選挙する自由も、議員として選ばれる権利も許されていない。たった一つの政党のみが存在を許されていて、その唯一の政党が北朝鮮人の生活すべてをコントロールするので、異議の提出などは不可能となっている。公然と自由に集会する自由の欠如、また唯一の政党にコントロールされたメディアのみの存在により。党とは相異した意見を表現することは市民には不可能である。もし異論を口にすれば厳しく罰せられる。結果として、政治的・公的生活に参加する権利の自由は全くない。公民による健全な社会の発展の影も見えないのである。

 

5.労働権および公正かつ有利な勤労条件を確保する権利

多くの北朝鮮人は、失業しており、生活を支える有効な手段が得られずにいる。仕事を持っている人たちも、自分で仕事を選べたわけではなく、中央政府により命じられた仕事をすることを義務づけられている。

 

6.社会保障を受ける権利および相当な生活水準への権利

食物配給と流通機構の崩壊により、繰り返されてきた自然災害とあいまって、北朝鮮人はひどい食物不足に苦しんできた。北朝鮮人は、国内外での自由な移動を禁じられており、食物を求めて許可証なしで移動すると厳罰に処せられる。この過酷な状況は、北朝鮮政府により許可された制限された市場活動によってわずかに和らげられてきた。

 

.教育を受ける権利および社会の文化生活に参加する権利 

北朝鮮の子供たちは、食物の絶望的な不足のためや、また適正な衣類の不足および学校に行く為の必需品の不足のために、学校に行くことができない。出席することができる子供たちでも、授業を受ける代わりに、植物や動物を集めて朝鮮労働党に提出するために野外での労働を強いられる。

 

8.子供が医療を受ける権利

Access to hospitals and clinics is limited and even when access is available, medicines and most kinds of medical treatment are unavailable, having a deleterious effect on the health of North Korean children.

病院や医院へのアクセスは制限されている。アクセスが可能な時でも、健康に有害である懸念があるので、薬やほとんどの種類の医学的治療が利用できない状態である。

 

9.少数社および先住民族

北朝鮮の社会は遺伝的に均質な社会である。越境して中国に行った後、妊娠している事実がわかった場合、北朝鮮女性は、中国人の子供を出産する恐れがあるということで、堕胎を強制される。

 

10.移住者、難民、および 庇護申請者

北朝鮮は庇護申請者たちにとって人気のある場所ではない。しかし、他の国々に庇護を求める北朝鮮人の取り扱いについては、言及しておかなければならないことがある。北朝鮮の法律の下では、許可なしで国を去ることは犯罪であり、重い刑罰の対象となる。抑圧的な政府方針から逃れるためとか、食物を求めて中国へと越境した北朝鮮人は、自発的にであったり中国当局に強制送還されたりして北朝鮮に戻るが、脱北者たちの証言によると、彼らは帰国後、厳しく尋問され、拷問される。さらに、こうした人々を機械的に死刑に処しているという証言は過去よりは少なくなってきているが、脱北しようとしたとして、過酷な強制労働収容所に送ること、および家族が当局により監視、虐め、差別の強化されることは一般的に行われている。

 

人権文書の法典化と国家による自発的履行/国家的人権履行活動

 

この国には、人権に関するいかなる有意義な法制も活動もない。

人権教育

一般に、人権の大衆による自覚は極めて僅少なものに留まっている。しかし、食物や仕事やあるいはまた中国や他の国々への永住を求めて中国との国境を越える多くの脱北者たちが、北朝鮮に返されてくる。これは、中国政府の強制送還によるものである。この結果、北朝鮮人は中国と北朝鮮との間に、豊かさや自由さの違いがあることなど、外部社会の生活のことを以前に較べてよりよく知るようになってきている。


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人権組織との協力

北朝鮮政府は、人権関連機関との協力を断固拒否し、人権関連NGOとは協力しない。人権関連組織がこの国のほとんどの地域と接触することを継続的に拒絶し、北朝鮮内の事際の人権状況を査定すること拒否し、市民の処遇について改善するよう北朝鮮政府を補助することを厳しく制限している。

 

 

 

V. 実績、最適な実施、課題、束縛

 

北朝鮮では人権保護の実績が全く見られない。国民の生存の為に必要な金を使ってまで高価な核開発をしていこうとする北朝鮮の野心に私たちは疑問を呈する。私達は以下のことに重大な懸念を表明する。過酷な強制労働収容所が延々と続けられていくこと。恣意的な逮捕と拘束。公平で、信頼できる司法体制の欠如。移動、表現、集会、宗教の自由の欠如。朝鮮労働党により管理されていないあらゆるメディアと情報機関の禁止。拷問の使用。子供たちが適正な栄養や教育を得られずにいるのが通常であること。中国との国境を越える北朝鮮人の処罰。そして、中国から戻る妊娠した女性への堕胎の強制。国際社会が得ている北朝鮮の人権状況についての情報に対し、北朝鮮政府が敵対的、非協力的なスタンスを取り続けることに私たちは強く懸念している。

 

 

W. 国家が優先的かつ指導的に行うべきこと

 

朝鮮政府が加盟している国際的人権保護規定に従うことを私達は北に主張する。私達は、北朝鮮政府に国際社会と協力すること、および国際的社会の一員として自覚ある行動をとるよう努めることを強く求める。具体的には、私達は、以下のことを北朝鮮政府に強く要求する。

 

 

April 20, 2009

2009420日提出