Jun 2004 No.038
北朝鮮難民救援基金NEWS

      4・28北朝鮮自由の日集会に中国で拘束された人々の解放を訴える in ワシントンDC

                 CONTENTS
  ■現地報告―夏服400着、コメ5トン、学用品を配給 ………… 北朝鮮難民救援基金
  ■教育里親プログラムからの報告 ……………………………… 渡 高志
  ■7月18日東京国際会議への招請  ……………………………… 北朝鮮難民救援基金
  ■人道主義国家としてとるべき政策は ………………………… 田平啓剛
  ■関東・関西の集会報告 ………………………………………… 別所かなこ 
  ■4・28 North Korea Freedom Day  ……………………… N・Y
  ■南寧裁判は全世界の市民とメディアに公開すべき ………… 北朝鮮難民救援基金
  ■日本政府は責務を果たすべき ………………………………… 江川紹子
  ■投稿―曽我さん一家の北京再会案は自殺行為 ……………… 加藤 博
  ■第60回国連人権委員会の対北朝鮮人権決議文


現地からの報告
夏服400着、孤児院などにコメ5トン、学用品100人分を配給!
凍傷になった少女の手術費を応援してください
 

 

 4月19日、シェルターの責任者の一人から以下の通信が届きました。

 「咸鏡北道南陽市から食料を求めて吉林省に隠れ住んでいた金秀元(仮名・40歳)の娘の金恵淑(仮名・12歳)が昨年捕まり強制送還されました。運よく父親が娘を連れて、今年4月中旬に再び私のシェルターに戻ってきたのですが、娘の恵淑が南陽でコッチェビ(浮浪児)をして生き延びたのですが両足が凍傷にかかって、足の指が腐りかけていました。そこで至急入院させることになりましたのでお金が5千元(7万円)かかります。援助をお願いします」

 JR-01から報告を受け、すぐに医療費の援助をした。改革開放の中国では治療費を先払いしないと手術も入院もできない。
 また、咸鏡北道の○○孤児院に対してコメ2トンの援助も行った。そのほか上着、下着50着分、風邪薬、消炎剤、消化剤などを送った。
 5月の連休明けには、夏服の配給が必要になってくる。なぜならいつまでも冬の服を着ていれば中国朝鮮族とはみなされず、公安の逮捕の目標にされやすいからだ。

 例年、夏服と冬服の配給時が、シェルターで保護している人数の掌握の機会となる。
 今回夏服を必要としている人数は392人いる。この数は、当基金が保護する人数をおよそ100人近く超過している。
 当基金は保護できる北朝鮮難民の数を300人と定めている。中国公安からの逮捕、強制送還を免れるための安全対策上の必要な措置である。また安定した食糧配給を維持するためには財政能力の限界を超えないようにする必要もある。
 しかし現地担当者は、個々の難民の事情に理解と同情を示すために、どうしてもこのガイドラインを守ることができない。今年はおよそ100人もオーバーしてしまった。
 能力以上に増えた対象を救援できるのは喜ばしいことだが、これがいつまで維持できるかは、はなはだ心もとない。北朝鮮難民の数は、私たちのシェルターを見ていると増えこそすれ、減ることは無い。
 これから無慈悲な中国公安の追及をどう逃れ生命を維持できるのか、いつまでこれが続くのか暗澹たる気分にさせられる。

 咸鏡北道に展開する救援ネットワークJR-01で2トン、中国国内のシェルターに1トンを新たに配分した。
 そのほか、JH-01を通じて、勉強したいが学用品が買えない子供たちに、学用品としてノート100冊、ボールペン100本を配分するために人を咸鏡北道に派遣した。

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教育里親プログラムからの報告
渡 高志

 5月9日、昨年12月に中国南寧で逮捕された、北朝鮮難民救援基金国際担当の野口孝行の第1回公判が、実質的な非公開密室裁判として開かれました。その公判直前に、中国当局が以下の事実関係を把握していたことが判明しました。
 今まで私たちはこの事実を野口と事件関係者の安全のために秘密にしていましたが、すでに中国当局が知るところとなったので、より正確に彼の活動を評価していただくために公表することにしました。

 野口は私たちが支援していた数人の教育里子を、身を挺して安全な第三国に脱出させる活動に従事し、成功させていたのです。
 一昨年4月、7人の里子が中国当局によって拘束され、北朝鮮に強制送還されました。6人は再脱北して保護されましたが、一人は5歳で脱北できませんでした。
 再脱北に成功した彼らがまた「難民狩り」にあえば、強制送還先の北朝鮮ではさらにひどい迫害にあうと予想されました。また「難民狩り」が継続している中国では、彼らの将来の可能性はゼロに等しいものと考えられました。そのために、なんとしてでも安全な第3国への脱出が急がれたのです。
 この活動によって逮捕された野口に対して、日本外務省は野口が「中国の法律を犯したのであるから、中国に裁かれて当然である」とし、私たちに情報さえ開示することを拒否してきました。

 皆様は「勇気と良心の人」である杉原千畝氏をご存知でしょうか。彼は第二次世界大戦下の1940年、ソ連による併合直前でナチスドイツが虎視眈々と狙っていたバルト三国のリトアニアで、絶滅の恐怖に陥った多くのユダヤ人難民たちに対し身を挺して、安全な第三国へ出国できる日本の通過ビザを任期最後の50日間にわたって発給し続けた外交官でした。
 杉原千畝氏と野口孝行の活動は、人道的観点からは同質同等のものであり、積極的に評価され、処遇されるべきものであるとわたしたちは強く確信しています。
 いま、野口が罪を犯したと主張する外務省は、自分たちの大先輩である杉原千畝氏の人道的活動をも罪だと世界に公言できるのでしょうか?

 さて、NEWS前号でお知らせしましたが、本年4月に7人の新しい里子を支援することになりました。その後も新たに11人の子供の支援要請があり、幼児も含めて教育里子は総計34人になりました。しかし、私たちは現在の経済状況が許す限り、ぎりぎりまで受け入れる覚悟です。そして今もさらに、3人の子供が支援要請を依頼してきています。
 もっともっと多くの里親のあたたかい支援が必要です。


連絡先:〒113-0024 東京都文京区西片2-2-8  西片ハイテルA-101
TEL/FAX: 03-3815-8127
郵便振替口座番号:0950-8-51135
加入者名:北朝鮮難民救援基金 教育里親

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7月18日 東京国際会議への招請
08年五輪主催国はどうして人道支援家を投獄し続けるのか?


 今年3月に開かれた人民代表大会(国会)で中国政府の李肇星外相は「北朝鮮難民問題は存在しない。不法入国者、不法滞在者である」と従来の中国政府の公式見解を繰り返すに止まった。
 これは、今後も北朝鮮難民の逮捕、強制送還が行われ、救援保護活動をするNGOの人道支援家は逮捕、拘束されることを意味する。
 10万人を下らない中国国内に隠れ住む北朝鮮からの脱北者たちの逮捕・強制送還、厳罰の恐怖はこれからも続く。
 組織的、継続的に行われている中国当局の人権侵害の実態を広く知らせると共に、この人権侵害を止めさせなければならない。

 これまで北朝鮮難民に食糧、衣類を配給する過程で逮捕拘束されたのは日本人で1人、脱北者を伴って救援活動中に逮捕されたのは2人である。そのうち1人は3週間で拘束を解かれ放免されたが、当基金の国際担当の野口孝行(32歳)は拘束から6ヵ月を経た今でも広西チワン族自治区南寧市公安局看守所に拘束されつづけている。
 韓国の人道支援家たちの拘束者の数は、分かっているだけで7人にのぼる。
 北朝鮮難民と人道支援家たちは迫害されつづけており、受難はこれからも続く。北朝鮮難民と人道支援家たちの人権保護と救済のために,実効のある行動計画が必要とされている。

 声明だけでなく具体的な行動計画と期限をさだめ、採用された計画に基づく進行状況の中間報告を担当責任者に行ない、その結果は参加団体、個人に還元し、行動計画の実施状況を共通の認識にしていく。
 会議は知識や情報を交換するサロンではなく、北朝鮮難民問題を解決する実効ある行動をどのように作り、実行するかにある。その目標は2008年北京オリンピック開催に照準を定め、人道、人権の迫害を続ける中国に再考を促し、オリンピックを開くに相応しい人権環境を整えさせることを目的とする。
 したがって参加者は、今後何らかの活動に関わる意志を持った人達による会議となる。予定される参加者は日本、韓国、US、英国、フランス、ベルギーなどのNGO、国会議員などである。

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人道主義国家としてとるべき政策は
 田平啓剛

本年3月10日付けの朝日新聞朝刊「私の視点」に掲載されました氏の提案を、編集部は広く評価を仰ぐべき価値ある論であると判断し、NEWS38号に再録します。しかし、この掲載において編集部の事前の対処が不十分であり、その結果、田平氏はじめ関係者にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
(編集部

 いったい何万人いるのか。北朝鮮から中国国境を越えてくる「脱北難民」の存在が報じられるようになって久しい。酷寒と飢えの中、中国公安当局の摘発を恐れ、一瞬の安らぎもなく生きていく人々のことを思うと、安楽で満ち足りた日々を過ごす私は自責の念にかられる。

 外国人行政という仕事に30年近く携わってきたが、この脱北難民の問題をなんとか解決できないか。生命の危険と生活の不安に常にさらされている人々の一日も早い救済はできないか。ずいぶん考えた末、私は日本が人道主義国家としてとるべき政策を提案したい。

 私の提案はまず、日本政府が脱北者を公式に「難民」として認めることだ。出入管理および難民認定法は「法務大臣は、本邦にある外国人から法務省令で定める手続きにより申請があったときは、提出資料にもとづき、難民である旨の認定を行うことができる」と規定している。この規定がある限り、脱北者は日本の領域内に入らなければ難民認定の申請さえできないことになる。

 しかし、わが国の難民受け入れの歴史を思い起こしていただきたい。75年、南ベトナムの首都サイゴンが陥落し、大量の難民が発生した。日本政府はその際、難民条約による難民としてではなく「政策難民」として認め、今日まで約1万1千人のインドシナ出身の人々を受け入れている。カンボジア内戦による避難民の救済にも協力した。前者は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、後者は国連国境救済活動(UNBRO)が中心になって隣接国に最大20万〜30万人規模の難民・避難民キャンプを多数設営した。

 こうした経験を生かし、日本政府は、脱北者を難民・避難民と認めたうえで国連、そして中国政府に積極的な保護を働きかけるべきだ。そして難民・避難民のキャンプの設営、受け入れや定住の促進、資金の拠出などで協力すべきだ。国連は20世紀が生み出した人類の宝である。国際的に難民問題に取り組んできたUNHCRのルベルス難民高等弁務官も、脱北者について「何はともあれ、国際社会はこの人たちを保護しなければならない」と朝日新聞のインタビュー(昨年6月)に明言している。

 中国政府は脱北者を「不法入国者」として摘発、強制送還している。ルベルス氏によると「多くの人が逃れてくる中国との国境地帯で支援したいのだが、中国当局が認めない。強制送還だけはしないよう働きかけている」という。

 しかし、中国は難民条約の締約国であり、国連安全保障理事会の常任理事国という政治大国だ。中朝国境付近では苦境の脱北難民が犯罪に走り、治安情勢が悪化している事態に、中国当局も困っていると聞く。日本が人道にのっとった説得を尽くせば、中国は動き出すと私は信じる。

 脱北難民の保護はUNHCR, UNBROのどちらの方式でもいい。救援の手を待ち望んでいる人々を、私たちはこれ以上座視するわけにはいかない。餓死者、凍死者が今も続出しているかもしれないのだ。

 日本は59年以来の北朝鮮帰還事業を推進した一方の当事者であり、10年の日韓併合後は、多くの朝鮮半島出身者の居住先となった歴史をもつ。脱北難民・避難民の一時的な保護や受け入れについて、我々は世界一重い責務を負うべきではないだろうか。

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関東と関西で訴える
拘束された人道支援者と元帰国者難民を釈放せよ!

◆藤沢での集会に参加して
  別所かなこ(当基金会員)

 4月11日、拉致被害者家族の有本さんご夫妻、守る会の山田文明さん、特定失踪者家族の高野美幸さん、基金から加藤博さんが参加した集会に参加しました。集まった方々は約150名。
 有本さん夫妻は、これまでの日本外務省のこと、そして今、国民の人々と共に歩みながらのこと、又、まだ名前が表に出ていない拉致被害者家族の方々との交流を通してのことを話され、話の最後には「どうかこれからもお力を貸してください。」と、頭を下げておられました。
 難民の救援活動を続けている山田さん、加藤さんは、これから中国・韓国に対し日本がどのような姿勢をとっていくかがとても重要であり、「今まで日本が中国に対し、人権や人道に即して脱北者や被拘束者の保護について強い姿勢で臨んできていますか?!」との発言には、聴衆の方々から、「無い!」との声が上がっていました。
 高野美幸さんは、特定失踪者家族に対しての理解を訴えられました。
 北朝鮮民衆から飢えや拷問というやり方で家族を奪い、さらには拉致によって他国の家族までもばらばらにした。これらの問題は、一人一人が声を挙げ続けていった時にこそ、物事が動き出すと強く思いました。

◆送還された脱北者家族の声を聞く

 5月9日、エル大阪にて「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」関西支部第25回学集会が開かれ、85名が参加。
  「守る会」山田代表より、元帰国者難民・申貞愛さんの家族8人が昨年8月上海拘束事件にて逮捕され、全員が北朝鮮に強制送還されたことが報告された。引き続き申さんより長男、次男と姪が「生きて出られない」咸鏡北道保衛部に拘留されており、せめて命だけでも北朝鮮政権が保証するように世界の世論を喚起する手助けをして欲しいとの切実な訴えがなされた。
 次に当基金・岡村汐絵氏より昨年12月に南寧で拘束された野口孝行氏と2人の元帰国者難民、煙台ボートピープル事件で拘留されている北朝鮮難民の朴永哲氏と人道支援者のチェ・ヨンフン氏、また今も拘束されている人道支援者キム・ヒテ氏、チェ・ボンイル牧師らの解放が訴えられた。そして、同日同時に中国崇左(チョンツァ)」で始まった南寧事件野口裁判の密室性と不当性も告発された。
 次にRENKの代表が、里子として支援していた鄭(チョン・19)君が4月2日モンゴル越境時に射殺されたことを告発し、拘束された17人の難民の解放を訴えた。
 最後に萩原遼氏の講演があり、北朝鮮の大量餓死に隠された金正日の狙いはなんだったのかが資料によって説明された。 

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4・28 North Korea Freedom Day
自由な国となった日にきっと

N・Y

 4月28日の水曜日、アメリカの首都ワシントンDCで「North Korea Freedom Day」という集まりがあり、私を含めて北朝鮮難民救援基金より計3名が参加しました。主催はNorth Korea Freedom Coalition,つまりは北朝鮮自由化連合とでもいう感じでしょうか。
 その名が示すとおり超党派的な連合体で、主な目的は北朝鮮の自由化や北朝鮮人権問題に対して米国及び世界の人権政策が優先的な注意を払う事となっています。

 前日からの強風が多少は残っていたものの、見事に晴れた一日でした。盛り沢山の予定が組まれており、朝8時半よりナショナルプレスクラブに於いて4名の脱北者の記者会見から幕開けとなりました。そのうちの一人は女性で呉ヤンフィという、北朝鮮では国の代表チームにも参加していたという体操選手。涙をぽろぽろこぼしながらの訴えでした。

 その後午前10時よりホロコーストミュージアムの反対側にある野原からそのままラリーの現場となる議事堂前までの平和的なデモ行進となりました。行進中には多くの参加者が自国の小さな旗等も手にしていました。

 しかし残念な事には日本の国旗は何処にも目につきませんでした。アメリカ、カナダそして韓国の旗を持っている人達は沢山いました。そこには「私はカナダから参加しているんですよ。」という表示がありこそすれ、政治的思想とかそんな意図を感じる事はありませんでした。会員の方に「来年は日本の旗を用意するのを忘れないようにしないといけないですね。」と言った所、「そうですね、ただ国旗等が出てくると話がややこしくなる部分があるんですよね。」とのお話。
 私個人としては、「日本から来ました。日本でもこうして北朝鮮人権問題を憂慮している人達もいるのです。」という表明なのだからと思いますが。

 ラリーでは下院のエド・ロイス氏、上院のサム・ブラウンバック氏等、北朝鮮人権問題に取り組むアメリカの政治家を始め、韓国の団体、活動家の人達もスピーチをされました。
 基金も拘束されている韓国の活動家達と会員の野口さんを含んだ計4名の写真等も掲げて現状報告や釈放への協力要請をしました。
 
 その後は下院にて脱北者の方々の報告、上院議員会館でのロビー、そして6月にリリースが待たれる、中国における脱北者の人々の生活、そして活動家のコメント等といった内容ビデオ「ソウル・トレイン」の部分的試写会がありました。

 ラリーの最中、議事堂には大きなアメリカの星条旗がはためき、その前では星条旗及び他国の旗を持った人達が集まって北朝鮮の人権問題に関する集会が開かれる。その場を後ろの方から眺めた私にはある種の感慨が胸をよぎりました。

 今は私達の声が北朝鮮難民に直接届かなくてもあなた達の事は決して忘れていません。それは北朝鮮が自由な国となった日にきっとこれらの写真や報告を観る事で伝わるメッセージではないかと。

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南寧裁判は全世界の市民とメディアに公開すべき
逮捕された北朝鮮難民と人道支援者は国際法の下では無罪だ

 5月9日午前9時(中国時間)から崇左市中級人民法院で裁判が始まった。
 この公判は形式的には公開という体裁を取っているが、当基金やメディアの再三の開廷日時の問い合わせにも答えず、そして通常は裁判など行われない日曜日に、しかもこの公判一件だけ開かれた。
 傍聴席は13席しかなく、広州の日本総領事館関係者、南寧市外事弁公室関係者、及び中国公安、司法関係者で前もって埋められた。そして、メディア関係者等には空席がもう無いという理由で傍聴を拒否しました。これは実質的な非公開裁判である。
 野口は両手に手錠をかけられ、両脇を公安に固められていたが、元気な足取りだった。「野口さん健康は大丈夫ですか」と声をかけると軽く会釈して前を通り過ぎ、人民法院の正面玄関から入っていった。
 裁判は午後4時(中国時間)に終わったが、裁判の中身については一切分からない。また、次回の裁判がいつ行なわれるかも決まっていないと法院の関係者は言っている。
 後日、実質的な密室裁判で外国人を裁くということは、世界標準から見て明らかに異常な裁判の形ではないか?そのような裁判で日本国民が裁かれることに対し、何の抗議もしないのか?という当基金に対し、外務省邦人保護課は「これは、公開裁判である。中国のやることであるから世界標準はあてはまらない」と強弁した。
 5月11日、中川正春衆議院議員が邦人保護課に傍聴の申し入れを行ったところ、「チアン族自治区外事弁公室のほうに申請してみる」という返事が返ってきた。

北朝鮮難民救援基金の声明

  「読売新聞」5月2日付け、香港発、関泰晴記者の記事によれば、「初公判は5月初旬にも開かれる見通し」であるという。北朝鮮難民救援基金は、この報道から連休明けにも公判が開かれることを知るに至った。
 この裁判は北朝鮮に強制送還されれば生命の危険があった元在日朝鮮人の二人の脱北者を中国で救援活動中、当基金の国際担当・野口孝行(32歳)が、2003年12月10日、広西チワン族自治州南寧市公安機関によって拘束されたことに端を発する。そして2004年1月14日、中国刑法の密出入国者運送罪(321条)、同未遂(61条)で刑事拘留から正式に逮捕に切り替えられ、4月5日、崇左市人民検察院から崇左市中級人民法院に起訴手続きが取られたのである。
 正確な公判の日取りに付いて、日本外務省は、中国外務省から通告を受けるはずである。当基金の野口孝行に関する裁判である以上、外務省は拘束から、刑事拘留、逮捕、起訴、裁判のそれぞれの段階において必要最小限度の基礎情報を当基金に通知するのは一般的な常識の範囲であると思われるが、日本外務省は当基金の再三の問い合わせにも、情報の開示要求も一切拒否するという頑な態度を取り続けている。 私たちはこうした閉鎖的な態度をとうてい許容できない。
 然るに、当基金は公判期日について公式に知るすべが無い。私たちは中国が公式的には公開裁判という形を取りながら、日本外務省の暗黙の了解の下に非公開裁判になることを非常に恐れている。
 現に韓国のドゥリハナ・ミッションの人道支援家の千h元(チョン・ギオン)氏の場合、裁判は遠く離れた内モンゴル自治区ハイラルで行われ、裁判当日の午前中に公判期日が公示され、午後に公判が行なわれた。
 形は公開を取りながら、誰も傍聴できない実質上の非公開裁判であった。
 これまでも私たちは繰り返し明らかにしてきたが、野口孝行が同伴していた二人の元在日朝鮮人の脱北者は、「送り返されれば迫害の恐れのある」難民であり、中国も批准している難民条約に合致したものであり、無罪である。野口孝行の行動は二人の難民を救援する活動であり違法性はない。
 昨年夏に野口が関わった救援活動は、当基金が教育里親制度で保護、養育していた北朝鮮難民の孤児たちと日本で生まれ育ち、日本国に在住が認められ、日本国籍を取得する可能性を有する在日朝鮮人らである。
 孤児たちは一昨年の4月、中国公安と辺防隊(国境警備隊)の合同捜査チームによって、保護していたシェルターで拘束され北朝鮮に強制送還された。7人が送還されたが、8月までに6人が再度脱北し、私たちのネットワークが保護することができた。
 一人は5歳であまりに幼く、中国に戻る事ができなかった。この5歳児が現在生きているかどうかは不明だ。
 再度保護した子どもたちからの聞き取り調査では、体の大きい子どもは年令を偽っていると見なされ、咸鏡北道の隠城(オンソン)労働鍛練隊(収容所)に送られ、1食がスプーン3杯分のトウモロコシしか出ない食事で、毎日建設工事現場に動員されたという。労働鍛練隊に送られた16歳の少年(当時14歳)は、背中にスコップで殴られた傷痕が生々しかった。骨と皮ばかりの体は、風が吹けば吹き飛ばされるほどの軽さだったと語っている。
 中国政府が生きる自由を求めて中国にやってきた北朝鮮難民の子どもたちを繰り返し強制送還してしまう現状では、私たちが中国において難民、孤児を保護することはもはや不可能な状況だ。関係者は中国公安の掃討作戦や密告のたびに不安と恐怖に脅えながらシェルターを何度も移動しなければならなかった。
 子どもたちと同様に、日本を故郷とする在日朝鮮人たちも、今度中国公安に逮捕され北朝鮮に強制送還されれば3度目という人が含まれ、強制収容所行きか、極刑で生命の危険が危ぶまれた人たちであった。
 私たちの活動は生命を失うかもしれない脱北難民孤児や元在日朝鮮人の脱北難民に、新しい生きる希望を与える人道支援活動である。野口孝行は率先して自らの全存在を人道支援活動に注ぎ、将来の希望である貴重な子どもたちと在日朝鮮人たちの生命を救ったのだ。
 中国政府はこの人道支援活動が罪というのであれば、全世界に向かって恥じること無く公開裁判で断罪したらいい。そして世界のメディアに向かって中国政府の正当性をアピールしたらいいだろう。
 彼の行いは世界の人道と人権を愛する人々から賞賛されることはあっても批難されることはないと信ずる。賢明な世界の世論がどちらに賛意を示すかはあまりにも明らかだからである。

2004年5月6日

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野口孝行と元帰国者難民らの解放に向けて

■ 野口孝行氏の早期身柄解放に関するご支援・ご協力のお願い ■

 陽春の候,皆様方におかれましてはますますご活躍のこととお慶び申し上げます。
 さて,昨年12月,北朝鮮から中国へ脱北した元在日朝鮮人2名の支援を行っていた野口孝行氏が,中国の南寧で中国当局に身柄拘束されるという事件が発生しました。
 北朝鮮の惨憺たる人権侵害状況から逃れて中国へ入るものは10万人から20万人にも及ぶと言われており,野口氏はNPO「北朝鮮難民救援基金」のメンバーとして,そのような北朝鮮難民の支援活動を行っていました。野口氏が救出しようとしたのは北朝鮮から必死の思いで逃げてきた市民であり,刑罰に問われる謂われのないものであって,人道的立場や普遍的人権意識,国際法の観点から見て,身柄拘束は明らかに不当なものです。
 北朝鮮難民救援基金は4月2日,日弁連に対し人権救済の申立てを行いましたが,野口氏はその後,密入国を幇助したとの理由で起訴されました。
 中国当局による野口氏の不当な長期間の身柄拘束からの解放に,ぜひ皆様方のご支援を賜りたいと存じます。
弁護士 川人博、山下敏雅
(編集部注:両氏は当基金の日弁連への緊急人権侵害救済申立を支援してくださっている弁護士です。)

■ ジャーナリスト 江川紹子さんからのメッセージ ■

 野口さんの身を案じております。
 人道支援に尽力されてきた日本国民が、犯罪者として扱われている時に、日本の政府はなぜ何もいわないのでしょう。
 北朝鮮が、人権という面で極めて劣悪な環境であることは、わが国政府はよく分かっているはずです。そこから命からがら逃げてきた人々を助けようという行為は、称賛されこそすれ、犯罪者扱いされるいわれはありません。
 日本の政府がきちんと抗議をしないことで、中国が野口さんの身柄をどのように扱おうとわが国は関知しないというような誤った印象を与えかねないのではないかと、心配です。
 人道支援は、それがどこの場で行われようと、尊いものです。イラクの人々に対する支援も、紛争や疾病に苦しむアフリカの人々に対する支援も、そして北朝鮮の圧制に苦しんできた人々への支援も、どれも等しく大事です。今回、イラクへの支援などに赴いた民間人3人が武装勢力に囚われた時、川口外務大臣はアルジャジーラに出演するなどして、3人の解放を訴えました。
 北朝鮮からの難民を救う活動をしていた人が、不当に囚われているというのに、なぜ何の行動も起こさないのでしょう。少なくとも、目に見える対応がとられていないということに、私は衝撃を覚えています。
 それとも、悪法も法だからと、どんなに不当な扱いも、許されるというのでしょうか。もしそんな態度をとるのであれば、政府は邦人保護の責務を放棄したも同然です。
 中国当局に対し、野口さんが日本の支援者やジャーナリストに自由に面会し、彼の主張や要望を述べることができるようにすることを求めます。そのために日本政府がその責務を果たされることを強く強く要望します。また、北朝鮮に送り返されれば命すら危うくなる2人の方が、難民として認められ、その人権が守られるよう、日本政府が中国当局に働きかけることを、同じように強く強く望みます。

 江川紹子

募金と裁判傍聴のお願い
事務局

 中国政府は難民条約の批准国であり当然、難民条約を遵守する義務があります。また中国は国連の安全保障理事会の常任理事国でもあり、国連憲章を守り「人権」を尊重しなくてはならない立場です。
 中国人民検察院が野口孝行を起訴した以上、実刑判決が出てくるのはほぼ、まちがいないでしょう。
 私達は、皆さんに中国が人道支援家をどのように裁くのか注目してほしいと思います。中国の民主主義や人道主義がどの様なものなのか、国際基準に照らしてみてください。私たちは、中国政府が「国際法と国内法に照らして人道主義的に処理する」と繰り返していることを知っています。
 まだ、裁判の日時は決まっていませんが、起訴されてから1〜1.5ヶ月の間に裁判が行われると言われています。時間の都合が付く方は是非、広西チワン族自治区祟佐市中級人民法院の裁判の傍聴に来てください。傍聴に一人でも多くの方が出席いただければ、外界と6ヶ月以上も隔てられ、孤立感を味わっている野口氏に大きな励ましとなるでしょう。彼の信念を励まし、正義と人権のために働いたことを誇りに思ってもらいたいと思います。
 そんなに遠いところまで行けない、時間が無いという人は、一人でも傍聴に行ける人を送り出すために募金をして下さるようお願いします。一人を裁判の傍聴に送るために最低でも10万円が必要です。皆さんのご理解、ご支持、ご協力をお願い致します。
 裁判の傍聴のために一緒に同行いただける方は、北朝鮮難民救援基金事務局までご連絡をお願いいたします。また募金をいただける方は下記の郵便振込み、または銀行送金でお願い致します。

■ 郵便振替口座:北朝鮮難民救援基金
   郵便振替口座番号:00160−7−116613
■ 銀行口座番号:みずほ銀行本郷支店 
   (普通) 2489718
   特定非営利活動法人 北朝鮮難民救援基金

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投 稿
曽我さん一家の北京再会案は自殺行為

加藤 博

 小泉総理大臣の2度の平壌詣で、5人の拉致被害者と地村さん・蓮池さんの子どもたち5人の合わせて10人を、日本に取り戻せたことはうれしいことである。
 総理大臣の保障にも関わらず、曽我ひとみさんの夫のジェンキンスさんと二人の娘が日本に戻らなかったことは、日本外交の失敗であり、金正日国防委員長の巧妙な罠にはまった、と私は見る。
 ジェンキンスさんと二人の娘と小泉首相と直接話し合わせ、本人たちの意思で日本行きを希望しない、と言わせることに成功したからである。
 今後の拉致被害者の帰還問題に深刻な影響を及ぼす可能性がある。
 家族が日本に帰り一緒に暮らせない背景には、ジェンキンスさんが元在韓米軍兵士で脱走兵であるという重たい過去の経歴がある。
 北朝鮮はここをたくみに突いてきた。  仮に日本に来ればアメリカと日本の間に結ばれた「犯罪人引渡し条約」によってアメリカに身柄が移され、軍法会議で厳罰に処せられることを恐れたジェンキンスさんの苦悩を読んだシナリオが作られた。
 それに娘たちは北朝鮮で生まれ、北朝鮮で育ち、教育を受けてきた子どもたちである。子どもたちは、反日教育を受け、唯一思想体系で思想教育を受け、金日成、金正日を父と称える北朝鮮が祖国なのである。
 金正日国防委員長が「北京であったらどうだ」と言われれば、「ハイ、そのようにします」としか答えられない立場の人々であることを私たちは理解しなければならない。
 完全に洗脳され、「お言葉」に逆らうなどという発想は生まれる余地がないのである。
 娘たちの口から、夫のジェンキンスさんの口からも同じ言葉が発せられているが、これは、自分の意思ではなく、国家の意思が語られている、と見るべきだろう。
 北京で曽我さん一家が再会しても、どこで会うのだろうか。再会することが決まれば、ジェンキンスさんと二人の娘にはそれぞれ「指導員」という監視人がついてくる。指導員は家族にいろいろな指示を出し、行動から、発言まで「指導」することになるだろう。会話の一部始終を指導員に報告しなければならないのがこれまでの北朝鮮流である。
 指導員と曽我さん一家が同じ宿舎なら、とても自由な雰囲気どころの話ではない。
 中国は、信書の自由、通信の自由、発言の自由といった基本的な自由が保障されていない国である。中国を少しでも知っている人なら常識である。
 送還されれば、厳罰に処せられ、生命の危険がある北朝鮮難民を平気で送り返す国である。一家の再会中に、北朝鮮と日本との関係が頓挫するものなら、曽我さん一家が引き裂かれても中国は座視するだろう。日本政府は負のカードを持つことが容易に想像できる。
 曽我さんが「ベッドをくっつけて4人で一緒に寝たい」と言っていたが、仮にそれが可能になったとしても、ベッドで親子水入らずで語った内容は、翌日の朝には北京の北朝鮮大使館の担当者のところに全記録が届くことになる。
 不可解なことは、日本外務省がこうした北朝鮮の状況や中国の事情、中国朝鮮関係の状況を熟知していながら、どうし北京を候補地にするのかということである。
 主権を侵害された結果の事件である以上、その回復は国家が責任をもってすべきだと考える。
 自由な雰囲気の下で、妨害されること無く、時間をかけて十分話し合い解決できる保障を日本政府がしなければ、曽我さん一家は離散家族になりかねない。北京を選ぶのは自殺行為に等しい。
 また「自由往来」などという言葉で、安易に北朝鮮側と妥協してはならない。
 曽我さんは寺越友枝さんのように、家族に会うために一方的に平壌に通う形になり、その反対はないからだ。

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朝鮮民主主義人民共和国に対する人権決議文

 4月15日、ジュネーブで開かれた第60回国連人権委員会において、欧州連合(EU)と米国、日本、豪州など13の委員国とニュージーランドなど14のオブザーバー国家を含めて、計38カ国が合同で発議した決議案を、53の委員国の投票で、賛成29、反対8、棄権16で可決させた。残念なことに中国、ロシアは反対し、韓国は棄権した。

2004/・・朝鮮民主主義人民共和国における人権状況

 国連人権委員会は、国連憲章、国際人権宣言、国際人権規約及びその他の人権に関する文書に基づき、国連の加盟国は全て、人権と基本的自由を推進、保護する義務および、国際的な文書のもとに負ってきた責任を履行する義務を負うと改めて断言する。
 朝鮮民主主義人民共和国(注:以下DPRKと略)は市民的・政治的権利に関する国際規約、経済的・社会的・文化的権利に関する国際規約、子供の権利に関する規約、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する規約の加盟国であることに留意し、2003年4月16日の決議、2003/10を想起する。
 DPRKが経済的・社会的・文化的権利に関する国際規約(E/1990/6/Add.35)の履行に関する第2次報告及び、子供の権利に関する規約(CRC/C/65/Add.24)の履行に関する第2次報告を提出したことを、人権分野における国際的な協力に向けてより積極的に努力したことの現われであると注目し、DPRKが適宜に報告を提出し続けることを促す。
 DPRKが提出した報告についての、経済的・社会的・文化的権利に関する委員会の最終的な調査報告に注目する。
 DPRKの不安定な人権状況、特に最近向上してきたけれども、非常に多くの割合の子供の心身の発達に未だに影響を及ぼしている、幼児の栄養失調の蔓延を深く懸念し、国民全てがあらゆる人権と基本的自由を十分に享受できるように保証することが、DPRK政府の責任であると再確認する。
 DPRKと大韓民国の和解のプロセスを効果的に継続させることの重要性を強調し、またその進展に留意する。
 DPRKが人権問題に関して幾つかの国と協議した事実を歓迎し、人権問題の分野における具体的な進展につながるような建設的アプローチを推進することを強く願い、

1、DPRKにおける組織的で広範囲に渡るゆゆしい人権侵害の報告が続いていることに対して深い懸念を示す。この人権侵害は、

(a) 拷問及び、その他の残酷かつ非人道的で下劣な扱いや刑罰、公開処刑、通常の法的手続きを踏んでいない、恣意的な拘留、政治的な理由による死刑宣告、多数の収容所の存在と広範囲に渡る強制労働、自由を奪われた者の権利の尊重の欠如。

(b) 海外から送還されたDPRK国民に対する制裁。彼らの出国を裏切り行為とみなし、収容、拷問、非人道的で下劣な扱いや死刑、刑務所や労働収容所での嬰児殺しを行うこと。

(c) 思想、良心、宗教、意見、表現、平和的集会と結社、そして国民全てが情報を得る自由に対する全国的な厳しい制限及び、国内を自由に移動し、海外を旅行することを望む者全てに課される制限。

(d) 継続して行われている、女性の人権と基本的自由の侵害。特に、売春や強制結婚を目的とした女性の人身売買、人種的な理由で行われる強制堕胎や嬰児殺し。これは、送還されて、警察の拘置所や労働収容所に入れられた母親に対する、出産誘発剤の注射や自然分娩によるものを含む。

2.国連を含む国際社会がこれらの報告書を独立した形で検証できるようにするために必要な条件をDPRKの当局が整えないことを、遺憾ながらも留意し、これらの報告書と懸念事項に、率直かつ建設的に対応するように、DPRK政府に求める。これは、

(a) 上記の問題に関する適切な情報を全て提供し、国際社会がDPRKに入ることに対する制限を取り除き、

(b) DPRKがまだ承認していない人権に関する文書、特に拷問及びその他の残酷かつ非人道的で下劣な扱いや刑罰に反対する規約や、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際規約を批准し、承認している人権に関する文書、主に経済的・社会的・文化的権利に関する国際規約の、特にあらゆる人が餓えから解放される権利に関する部分、また、市民的・政治的権利に関する国際規約、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する規約、子供の権利に関する規約に従って義務を遂行することにより、これらを終わらせる為にあらゆる必要な手段が取られることを保証し、

(c) 国際的に承認されている労働基準を厳守し、国際労働機関に加盟し、国際労働機関の強制労働に関する規約1930(規約No.29)及び、最悪の形態の幼年労働の禁止と即時撤廃に関する規約1999(規約No.182)の批准国となることが最優先事項であることを考慮し、

(d) 子供の権利に関する委員会と人権委員会及び、経済的・社会的・文化的権利に関する委員会の勧告を実行し、

(e) 外国に行ったDPRK国民に対する制裁をやめ、彼らの出国を裏切り行為とみなして拘禁刑に処し、非人道的かつ下劣な扱いをしたり、死刑を課すことをやめ、刑務所や労働収容所での虐待や嬰児殺しを直ちにやめ、

(f) 人権分野において国連に協力し、DPRKの状況に関する人権委員会の主要手続きに、制限することなく協力し、特に、食糧を得る権利に関する特別報告官、拷問の問題に関する特別報告官、宗教及び信条の自由に関する特別報告官、意見や表現の自由の権利に関する特別報告官、女性への暴力に関する特別報告官、恣意的拘留に関する作業部会、強制的で不本意の失踪に関する作業部会、そして人権擁護者を含む国際的な人権団体に協力することにより、

(g) 国連人権高等弁務官及び、人権高等弁務官事務所との建設的な対話をすすめることにより、

(h) 外国人の拉致に関する未解決の問題全てを、直ちにはっきりと明らかに解明し、

(i) 隣国政府と協力して女性の人身売買をやめさせることにより、対応することを含む。 

3.DPRKの当局に、非政府組織や国連機関、特に世界食糧計画などの人道的支援団体が、人道支援が人道的原則にのっとって、必要に応じて公平かつ確実に届けられることを確認するために、DPRKのあらゆる地域に、妨げられることなく、完全に自由に、安全に立ち入ることを保証するように促す。

4.DPRK国民に対する人道的支援、特に食料援助が人道的原則に沿って届けられることを保証し、国際的な人道的活動家の代表がこの分配を監視する為に全国をくまなく旅行することが許可されることを保証し、亡命の基本的原則を尊重することを保証することを、国際社会がDPRK政府に対して促し続けることを求める。

5. 事務局と協議し、人権に関して国際的に認められた専門家をDPRKの人権状況に関する特別報告官に任命することを、委員会の議長に求める。 

6.DPRKの政府と国民と直接接触することを特別報告官に求める。それは、DPRKを訪問し、DPRKにおける人権状況と、人権に関する国際的な文書に基づいて政府が義務に従っているかを調査、報告することを含む。
7.また、この指令を遂行する際に、DPRKを訪問し、更に各国政府や非政府組織、これらに関する知識を持っているその他のあらゆる人を含む関係者全てから、信頼性のある確かな情報を得ることを、特別報告官に求める。

8.特別報告官が指令を遂行する際には、制限することなく十分に協力し、支援することをDPRK政府に求める。このためにも、特別報告官がDPRK国内で面会を求める者全てに、制限されることなく自由に接触できることを保証するために必要な、あらゆる手はずを整えることを求める。 

9.指令遂行のために特別報告官が必要とするあらゆる支援を与えることを、事務総長に要請する。 

10.第59回国連総会及び、第61回人権委員会で、調査結果と勧告を報告することを、特別報告官に求める。

11.DPRK国内の人権侵害の報告を調査し、第61回人権委員会でその結果を報告することを、関係する全ての特別報告官ならびに特別代表に要請する。また、特別報告官ならびに特別代表が、DPRKの訪問を含む指令を十分に遂行できるために必要な援助を十分に与えることを、事務総長に要請する。

12.DPRKの当局と包括的な対話を行うことを国連人権高等弁務官に求める。これは、人権に関する技術的な協力の段取りを決め、高等弁務官の調査結果や勧告を第61回人権委員会に提出するという観点から求めるものである。

13.この問題を、同様の議題の下、最優先事項として第61回人権委員会で引き続き検討していくことを決定する。

14.以下の決議案の採択を、経済社会理事会に委ねる。

「経済社会理事会は2004年4月の人権委員会決議2004/・・・に留意し、事務局との協議の後、人権に関して国際的に認められた専門家を、DPRKにおける人権状況に関する特別報告官として任命し、DPRKを訪問し、DPRKの政府と国民に直接接触し、人権に関する国際的な文書に基づいて当該国が義務に従うことと、特別報告官が関係者全てから信頼性のある確かな情報を得ることを含めて、DPRKの人権状況について調査・報告することを求めた、委員会議長への要請を承認する。
理事会はまた、特別報告官が指令遂行のために必要なあらゆる支援を与えることを求めた事務総長への要請を承認する」

(注:訳文は依藤朝子氏のご了解の上、使用させていただきました。なお、理解しやすいように部分的に編集部が手を加えたことを付記します。)

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■ "Are They Telling Us the Truth?”(英語版)が完成!!
   世界の関係各所にこの証言集を贈りましょう!


 200人以上の北朝鮮難民からの聞き取り調査をまとめた調査報告書が完成した。この本の完成には日本のNGO北朝鮮難民救援基金、韓国のデータベースセンター、USのHelping Hands Koreaの3カ国3団体の調査員4人が関わった。 この本は、北朝鮮が組織的、系統的に、反復継続的に行われている北朝鮮の人権侵害の実態を報告している。 北朝鮮難民問題は、世界的に知られるようになってきたとは言え、まだその実態については、具体的事例に乏しい、もっと実例が必要だと言われることがしばしばである。この調査報告書は、信じられないような実例があるが、ヨーロッパやアメリカでこの本を必要としている人は多い。
 この本を皆さんの募金によって買っていただき、学校や研究機関、北朝鮮専門家に寄贈するものです。1冊2,500円の募金を寄せてくだされば、その1冊を大学の図書館や必要な研究所、研究室などの公的機関や個人にあなたの名前を添えて贈呈するものです。

郵便振替口座:00160−7−116613  加入者名:北朝鮮難民救援基金
振替用紙の通信欄に「図書寄贈」と書いてください。

(事務局)

■ 最近短信

5月10日 衆議院会館にて当基金、守る会、RENK合同の記者会見。人道支援活動家の拘束、脱北者の強制送還など、中国政府の対応を非難。昨年8月、上海で拘束、送還された脱北者の母親で韓国在住の元在日朝鮮人・申貞愛(シンジョンエ)さんも同席。

5月13日 東京大学文科T類の「法と社会と人権」ゼミ勉強会に参考図書「北朝鮮難民」「脱北者」を推薦して、加藤事務局長が講師。若い人たちの認識が深まりますように。 

5月18日 朝日ニュースターの報道番組「ニュースの深層」で、北朝鮮難民の実態と難民救援基金の活動など1対1の討論に事務局長が出演。お疲れ様です。

5月26日 UNHCR東京事務所で話し合い。拘束された北朝鮮難民や人道支援者へのUNHCRの具体的方針や中国政府へのアプローチに関し質問するが、責任ある回答は全くなく、官僚的対応に終始。怒りと落胆で非常に疲れただけであったそうな。(WJ)

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