ウィリアム・S・バロウズ
(1914〜August 2, 1997)追悼


 ウィリアム・S・バロウズは、心不全のため、カンザス州ローレンスのローレンス記念病院で8月2日に亡くなりました。83才でした。4月に去ったアレン・ギンズバーグの後を追うようにビート・ジェネレーションの作家がまた一人亡くなってしまったわけです。
 彼は、第一次世界大戦の勃発した1914年にミズーリ州のセントルイスで生まれましたが、この年はイギリスの詩人、ディラン・トマスがウェールズで生まれた年でもあります。
 バロウズは、麻薬、同性愛、暴力などを主題にした作品を書き続けてきたためにセンセーショナルに語られることが多く、彼の文学的手法であるカットアップを軸とする文学性の意義などは一部の読者に認められていただけかもしれません。しかし、彼の文学はその独自性によって音楽関係や美術関係の若い世代にも影響を与え、死ぬまで現役のカルト・ヒーローでした。
 すでに幾つかのビート・ジェネレーション関係のウェッブ・サイトで彼の死について報じられていますが、これから続々とメモリアル・ページが掲載されると思います。彼の著作は多く、また、かなりの作品が翻訳されていますので、特にここでは著作の紹介はしません。ただ、『ユリイカ』(1992年5月号)のバロウズ特集号は、彼のカットアップ手法を論じた私の論考「繭破りのパラドックス」も掲載されていますが、よい特集なので、作品とあわせて目を通していただければと思います。

(1997/8/4掲載)

情報空間の怪異な旅人に合掌