● (No.689a) 地球の楕円体近似とロケットの運動 (2010年12月13日) -------------------------------------------------------- 次の書籍を読み進めるにあたり、各章のポイントになる部分を補足していく。 (参考書籍については、この 解説 No.3 の巻末参照) 宇宙システム入門 ロケット・人工衛星の運動 冨田信之著 東京大学出版会 測地緯度 地心緯度 地心距離 重力ポテンシャル ロケットの推力 ロケットの運動 ロケットの影響 座標軸回転 遠心力, コリオリの力 ロケット上昇の運動方程式 宇宙速度 2階線形微分方程式の解法 摂動加速度の成分変換 球面三角法 太陽同期軌道 地球の陰 ケプラー運動の時間平均 3体問題の運動方程式 位置・速度から軌道要素を求める方法
測地緯度
最初に、次の参考資料の初めの部分を補足する。 http://w01.tp1.jp/~a540015671/study/ch1.pdf 楕円上の点Aにおける法線と赤道面(X軸)とのなす角φを、測地緯度という。 (1) tanφ=(a/b)*tanθ であることを示す。 tanφ=KT/KA=(OT-OK)/KA=(a*secθ−a*cosθ)/(b*sinθ) =(a−a*cosθ^2)/(b*sinθ*cosθ)=(a/b)*tanθ (2) 点Bの座標は、(a*cosφ, b*sinφ) であることを示す。 OR=OA"*cosφ=a*cosφ RB=OR*tanθ=a*cosφ*tanθ ここで(1)より、tanθ=(b/a)*tanφ だから RB=a*cosφ*(b/a)*tanφ=b*sinφ となる。 (3) 以上から、θとφの関係は以下のようになる。地心緯度
楕円上の点Aと地球の中心(原点)とを結ぶ線分と赤道面(X軸)とのなす角αを 地心緯度という。次図のφは、測地緯度である。 (4) tanα=(b^2/a^2)tanφ であることを示す。 KA=(b/a)KA' より、tanα=(b/a)*tanθ 一方、(1)より tanφ=(a/b)*tanθ よって、tanα=(b/a)*(b/a)*tanφ=(b^2/a^2)tanφ となる。地心距離
(5) 点Aの座標は、楕円の性質から (a*cosθ, b*sinθ) である。 この座標は 地心緯度α、および a, b で次のように表せる。 (6) 地心距離OA の長さは、α, a, b で次のように表せる。 (7) 偏平率 f=(a-b)/a が微小であるとき、地心距離 OA=a(1−f*(sinα)^2) と近似できる。 これが下記書籍『宇宙システム入門』(東京大学出版会) P.45 (3.1)式 である。 ここでは(1)〜(7)までかかってこの式を示したが、この近似式は、もっと簡単な 別の方法で導くことができるかもしれない。 いずれにしても、この書籍の第3章 「地球のモデルと座標系」の入り口にやっと立つことができる。重力ポテンシャル
Astronomy Database in Harvard University Smithonian Astrophysical Observatory Special Report, No.264, 295 http://adsabs.harvard.edu/bulletins_service.htmlロケットの推力
ロケットの推進力を理解するには、流体力学で呼ぶ 「検査面」,「検査体積」と いう微小要素の概念が初めに必要である。 次図により、第4章「ロケット推進」 の入り口にやっと立つことができる。[P.62 (4.1), (4.2)式]ロケットの運動
ロケットを打上げる際に大量の推進薬を短時間で消費するので、ロケットの質量 変化が非常に大きい。従って、質量一定を前提とするいわゆるニュートン力学が 適用できない。 下記の書籍『宇宙システム入門』第5章「ロケットの運動」では 質量の変化する質点の運動方程式として次の(5.8)式 及び一連の式を導いている。 ここでそれを補足する。ロケットの影響
《問題》 質量比 0.2, 推進機関の有効排気速度 4km/sの1段ロケットがある。 ペイロード質量はロケットの空虚質量の 20%を占める時、次の問いに答えよ。 (1)このロケットの推進薬量が 1%増加した時の最終速度への影響を求めよ。 (2)ペイロード質量が 5%増加した時の最終速度への影響を求めよ。 [宇宙システム入門 (東京大学出版会) P.87 問題5.4]ラグランジュの未定乗数法
書籍第5章もいよいよ終盤。 ロケットの目標速度、およびペイロード質量と各段 構造質量比、有効排気速度を既知とする時の、ロケットの打上げ時質量を最小と するにはどうしたらよいか、という『多段ロケットの最適化問題』を解くために 多変数関数の条件付き極値を求める「ラグランジュの未定乗数法」を適用する。 この「ラグランジュの未定乗数法」 については次のサイトがよく書かれている。 http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/derivative/lagrange.htm http://homepage2.nifty.com/eman/analytic/lag_method.html 解説 No.2 へ続く. 解説 No.3 へ続く. ----------------------------------------------------------------- (参考書籍については、この 解説 No.3 の巻末参照)
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