● (No.277) AO-16, UO-22 デジピートについて (2001年 9月15日)
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衛星AO-16 のUバンドビーコン(437.026MHz, 1200bps, PSK)を、久しぶりに聞
いてみました。いつもと同じく極めて強い PSK信号を送信しています。下記の
ように、"デジピートON、Sバンド送信OFF" のメッセージが流れていました。
PACSAT-1>TIME-1 [09/13/01 08:45:42] <UI>:
PHT: uptime is 577/20:05:02.
Time is Wed Sep 12 23:42:06 2001
PACSAT-1>TLM [09/13/01 08:45:45] <UI>:.....
PACSAT-1>AMSAT [09/13/01 08:45:46] <UI>:
September 2001
Digipeat is ON
S-Band Tx Off
AO-16 (PACSAT) owned and operated
by AMSAT-NA
AO16 Command Team (WJ9F)
PACSAT-1>LSTAT [09/13/01 08:45:47] <UI>:
I P:0x1D00 o:0 l:6654 f:7171, d:1 st:1
PACSAT-1>STATUS [09/13/01 08:46:00] <UI>:.....
《質問》
> AO-16は非常に強力なPSK信号を送信していますね.
> 受信デモにもってこいの強さです.
> ただ,デジピータONということですが,
> 未だにこれに成功したことがありません.
> デジピートさせるためのTNCの設定はJASモードでいいんですよね?
《回答》
「デジピート」についてですが、
(1) 普通「デジピート」と言うと、いわゆるTNCを、コンバースモード(cmd:K)
にして、送信(観測者)側で任意の文字を入力し、衛星内のトランスポンダ
を経由(周波数変換)し、再び受信(観測者)側でPC上にその文字を表示さ
せることを言います。
(2) AO-16 で言う「デジピート」は、観測者が衛星にディレクトリ要求やファ
イルダウンロード要求して、衛星がその情報をキャッチした時に、衛星が
それらのディレクトリやファイルを地上にブロードキャストする、つまり
"要求(アップリンク)-->衛星-->ブロードキャスト(ダウンリンク)"という
「リンク」のことを意味しているのではないかと思います。(補足参照)
本日(9/15)のパスで、(1),(2)の両方を実験してみました。(1)の実験は、通常
の通信ソフトで行います。(私は Exterm を使用しました。) AO-16 のモード
はご承知のとおり JASモードです。つまり、アップリンクは、マンチェスター
コード化されたFM波、そして ダウンリンクはPSK波です。AO-16 で使用される
アップ・ダウン周波数は次のとおりで、通信速度は 1200bps です。
(uplink:145.900/920/940/960MHz, downlink:437.026/051MHz)
その(1)の実験の結果は失敗しました。 衛星からの UIフレームや TLM の信号
の間を縫って、短い(de JE9PEL 等の)文字を何度か送信してみましたが、その
文字は返ってきませんでした。(TNC を KISSモードにするとコンバースモード
に入れません。) 以前、UO-22 に対してこの(1)に実験に成功したという情報
が、amsat-bb に流れていました。
(1)ではうまくいかなったので、次に(2)の実験もしてみました。使用したプロ
グラムは、おなじみの WiSP です。(TNC は自動的に KISSモードに入ります.)
衛星からの信号を受信してみると、各種のデータがブロードキャストされてき
ましたが、MSPE画面の最下段の PB欄 と Open欄が、非表示になっています。
つまり、衛星から PBステータスが流れてきていません。このことは、(1)から
得られるデータからもわかります。 言い換えると、衛星内のBBSが使用状態に
ない、つまり、衛星からのブロードキャストは捕捉することはできるが、観測
者からのアップリンクは通る状態になっていない ということです。(2)の意味
においても、信号の流れは両方向ではなくて一方通行の状態です。
衛星からのデータ情報の「Digipeat is ON」について実験と考察をしてみまし
たが、他に PB/PGプログラムを使用できる環境にある方に、(1)と(2)の追試を
お願いしたいと思います。
《補足》
本日(9/18)、衛星AO-16 のデジピートができることを確認しました。先日この
デジピートができなかった理由が、昨日の JN1GKZ/新井氏 の記事により わか
りました。
JN1GKZ/新井氏 wrote at 16 Sep:
> AO-16、UO-22のデジピート機能は、ISS、かつての MIR、SO-35などと
> 同じ要領です。これから上がるPCsatも同じです。
>
> デジピートするには、unprotoの設定が必要です。
> 設定例: unproto cq via callsign
> callsignには、各々の衛星に設定されたデジピート用のコールサイン
> を指定します。各衛星のデジピート用のコールサインは次の通りです。
> AO-16:pacsat-1
> LO-19:lusat-1
> UO-22:uosat5(未確認 amsat-bbからの情報)
先日は、コマンドの UNPROTO の デジピートコールサイン PACSAT-1 の設定を
するところで、BBSコールサインの PACSAT-11 としてしまったのです。正しく
は、PACSAT-1 と設定すべきでした。 次は、AO-16 の本日の2回のパスにおけ
るデジピートのログです。時刻はすべて JST です。
JE9PEL>HELLO,PACSAT-1* [09/18/01 09:38:30] <UI R>:
JE9PEL>HELLO,PACSAT-1* [09/18/01 11:17:29] <UI R>:
JE9PEL>HELLO,PACSAT-1* [09/18/01 11:18:59] <UI R>:
衛星AO-16 のモードは、FO-29 のデジタルと同様に JASモードです。つまり、
Uplink:AFSK Manchester, Downkink:PSK です。繰り返しますが、デジピート
のための設定項目は次のとおりです。
アップリンク:145.900/920/940/960MHz, AFSK マンチェスターコード
ダウンリンク:437.026/051MHz, PSK
通 信 速 度 :1200bps
UNPROTO 設定:UNPROTO HELLO VIA PACSAT-1 (例)
AO-16 の場合は、JN1GKZ/新井氏が言われるように、AOS直後から TCAにかけて
がデジピートしやすいです。恐らく、ドップラーシフトの関係かと思います。
通信コンバースモード(cmd:k) の状態でエンターキーを押す度に、上記のメッ
セージが衛星からデジピートされ、PC上に表示されました。なお、衛星から
の信号のエスケープシーケンスの関係か、通信ソフト(Exterm)がフリーズしや
すいので、デジピート信号を受信保存したら、いったん速やかに通信ソフトを
終了させるとよいと思います。
さて 本日(9/18)、ついでに衛星UO-22 のデジピートも、UOSAT5 の設定ででき
ることを確認しました。モードは、Up, Downlink ともに FSK 9600bps です。
UO-22 の場合は、AOS から LOS まで 常に安定してデジピートができました。
次に、UO-22 のデジピートのログを示します。コンバースモードの状態で任意
のメッセージ(例:from YOKOHAMA, JAPAN) をキー入力してから エンターキー
を押すと、下記の最後の2行のようにPC上に表示されます。
アップリンク:145.900/975MHz, FSK
ダウンリンク:435.120MHz, FSK
通 信 速 度 :9600bps
UNPROTO 設定:UNPROTO HELLO VIA UOSAT5 (例)
JE9PEL>HELLO,UOSAT5* [09/18/01 15:42:19] <UI R>:
JE9PEL>HELLO,UOSAT5* [09/18/01 15:43:35] <UI R>:
JE9PEL>HELLO,UOSAT5* [09/18/01 15:44:20] <UI R>:
JE9PEL>HELLO,UOSAT5* [09/18/01 15:50:22] <UI R>:from YOKOHAMA, JAPAN
JE9PEL>HELLO,UOSAT5* [09/18/01 15:50:24] <UI R>:from YOKOHAMA, JAPAN
なお LO-19 は、現在 CWモードで運用されているため、デジピートすることは
できません。
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