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「名前」を使う
セルやセル範囲に判りやすい「名前」をつけて、行列番号ではなく「名前」で参照させることができます。
これは私見ですが、「名前」の乱用はお勧めできません。
本文の最後でも説明しますが、企業内では作成した文書は
Excel
のようにファイルとして利用できるものでは、コピーされて別の文書に再利用されることが非常に多いわけです。 この再利用で全く違う文書に生まれ変わったとしても、この再利用元の文書で「名前」が使われていると再利用先で利用されなくても残ってしまうのです。 再三、このようなことが繰り返されると、中にはシートを別ブックに切り離したりする行為で「名前」はいつの間にか外部参照になっていたりします。
新しい文書を作成する人がこのことに常に留意して、不要な「名前」を削除するなどの処置をしてもらえば良いのですが、登録箇所がシート上から見えないので見過ごされてしまいます。 つまり、利用者は「乱用」の意識はないのですが、結果として「乱用」する結果になってしまう危険性があるのです。
簡単なサンプルを使って試してみましょう。
単純な縦合計ですが、合計する対象範囲を
「名前」
で登録してみます。
単純な縦合計で「
SUM
関数」だけで済むものですが、この中の「
B$2:B$13
」を「月間売上」という名前にして見ましょう。
「名前」を付ける手順は以下の通りです。
①
「名前」を付けるセル範囲を選択します。
ここでは「
4
月
(B2
セル
)
」から「
3
月
(B13
セル
)
」の範囲です。年間合計は含みません。
②
「名前の定義」を選択します。
「数式」タブにある「定義された名前」グループから名前の定義」を選択します。
③
名前を登録します。
「新しい名前」が表示されたら名前を登録して
OK
をクリックすれば「名前」が登録されます。
この時、「範囲」でこの名前の参照範囲が指定でき、指定範囲の中で重複する名前は指定できません。 説明を追加する場合は「コメント」に入力しておきます。
④
「名前ボックス」で確認します。
左上にある「名前ボックス」は通常は選択セル範囲の左上のアドレスが表示されますが、 名前の定義があるセル範囲が選択された場合はその「名前」が表示されます。
(1つでもズレがある時は選択セル範囲の左上のアドレスに戻ってしまいます)
年間合計の式に「名前」を適用します。
「名前」は登録しただけでは何の役にも立ちません。実際にそのセル範囲の参照式に登録します。
このように正しく計算されました。
さて、ここからはご注意です。
私自身は、「名前」は全く使いません。便利だからとお勧めもしないばかりか、できれば使わない方が良いと思っています。
もちろん、ここで説明するようなことを正しく理解してのことであれば別ですが。
お勧めしない理由は以下の通りです。
(特に企業内でのこととしてご判断下さい。)
不必要に「名前」を使う。
まず、シートのデザインを作成して、次に「名前」を登録するのが、当たり前だと思われている人を見かけます。作成した表のブロックごとに用途を考えずに「名前」を作成します。つまり、計算式などで参照することのない「名前」を作り込んでしまうのです。
「名前」が付けられたブックを転用して新しいブックを作成する。
皆さんは、新しいワークブックを作成する時に、「ファイル」メニューの「新規作成」から作りますか?
多くの場合、すでに作成されているワークブックから似たようなデザインのものをコピーして作り替えたりすると思います。この時、コピー元で使われていた「名前」を削除されているでしょうか。
気づかずに、そのまま新しいワークブックに引き継がれ、ひどい場合はこれを歴代で繰り返してたくさんの不要な「名前」を仕込んだワークブックをさらに配布することになります。 他人が作成したワークブックを転用元にする場合は特に注意が必要です。
「名前」を使った式を含むセルを他シートや他ブックに貼り付ける。
計算式を再利用する用途で、既存の式が入ったセルをコピーし、別シートや別ブックに貼り付けて利用することがありますが、「名前」を含んだ式をコピー利用すると、貼り付け先にその「名前」が登録されてしまいます。これは式中の「名前」を削除しても消えません。
「名前」を付ける、その時点は問題ないのでしょうが....
長い期間運用されるワークブックは、途中で何回も仕様変更を受けることがあります。単純なセル参照での式であれば、セルを選択すれば式を確認することができますが、「名前」が使われていると、ツールバーの「名前の定義」を開いて、その「名前」の参照先を確認しなければなりません。
当初の作成時は便利機能であったものが、メンテナンスの段階では余分な作業を要求するものになってしまいます。
これらのことから、「名前」の利用は本来、個人に止めるべきであり、特に企業内で使用する場合は使用方法について約束事を定めたりしないと、後で収集がつかない結果を生むことになると思います。