構築済みブック:その1

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 多くの人に、お手軽に

 カルドセプトをプレイする上で問題になるのは「ブックを編集しないと遊べない」ことにあります。プレイヤースキルに関してはどのゲームであっても多かれ少なかれ差が生じるものなので、特に問題にするものではありません。しかし、事前の準備が必要というゲームの性質は「ちょっと遊んでみたい」というプレイヤーを自ずから遠ざけてしまいます。これは惜しい部分です。もう少し間口が広ければカルドセプトに触れる人間が増えるのですから。

 そこで、事前に扱いやすいブックを組んでおけば、普通のボードゲームとして「やってみようかな」と思うプレイヤーに遊んでもらうことが出来ます。こうしたブックをこれから構築済みブックと呼ぶことにします。構築済みブックは4つの属性全てに存在し、複雑な動作を必要としないブックです。また、各属性の力関係は等しく、特定のブックが強いということはありません。以上を前提として話を進めようと思います。


 初期ブック

 構築済みブックとして初期ブックが挙げられる事に疑問を持つ人は少ないでしょう。初期ブックは扱いやすく、カルドセプトの基本的な要素が詰まっています。しかし、問題点も少なからず存在します。

3人対戦だとバランスが悪い
 初期ブックには火地ブックと水風ブックという2種類のブックが存在します。しかし3人で対戦をすると、とてもバランスの悪いものになってしまいます。片方のブックに属性が偏ってしまうからです。例えば、A:火地、B:水風、C:火地と割り振られた場合、火属性と地属性の土地をAとCが争うことになります。一方、Bは他の二人の妨害を受けずに自分の領地を増やせるのです。これではAとCが消耗している間にBが目標を達成してしまうでしょう。以上のような理由から初期ブックでの3人対戦はゲームとして面白くなるとは思えません。構築済みブックを4つの属性に分ければ、このような問題点は解消できます。

終盤はダイスを振るだけになってしまう
 初期ブックはクリーチャーの数が極めて多く、反面、スペルが少なく作られています。これはなるべくクリーチャーを置いてもらうためだと思われますが、終盤はクリーチャーをドローし続けてスペルが打てない、という事態に陥ります。これではただダイスを振るだけの退屈なゲームです。構築済みブックでは、クリーチャーを引きやすくしつつスペルも充実させる必要があります。

高額領地を落とせない
 初期ブックに含まれるカードではレベルを上げた土地を落とすことが出来ません。単純なカードパワーの問題です。そのためにマジックボルトが採用されているのでしょうが、マジックボルト1発で排除できるクリーチャーは限られます。クリーチャー攻撃力+武器で90は叩き出せるように調整するべきです。

 以上のような理由から、構築済みブックでは初期ブックを叩き台にしつつも、これらの問題点を解消できる構成にする必要があります。

 試作1号

構築済みブック1号:共通部分
クリーチャー20 アイテム スペル24
スチームギア 属性アムル 地形変化スペル
デコイ 属性シールド インフルエンス
リビングシールド ゴールドグース シャッター
フュージョン ドレインマジック
ピース
フォーサイト
ヘイスト
ホープ
ホーリーワードX
マナ
メズマライズ
ランドプロテクト


火属性クリーチャー:15枚:コスト760
ウィルオーウィスプ2 カトブレパス1 ゴーレム2 コンジャラー1 ソーサラー1
ドラゴンフライ4 バルキリー1 ピラリス1 ヘルハウンド2

水属性クリーチャー:15枚:コスト750
アマゾン2 キングトータス2 クラーケン1 グリンデロー2 ドルール1
マーフォーク4 マッドクラウン1 メガロドン2

地属性クリーチャー:15枚:コスト850
アルマジロ2 ガーゴイル1 カーバンクル2 グリマルキン1 コアティ1
スピットコブラ2 ドワーフ2 マミー2 ワーボア2

風属性クリーチャー:15枚:コスト770
ガルーダ1 ケンタウロス3 スプライト3 スペクター3 ナイト2
ナイトメア1 ペガサス2

 2004年1月に作成したブックです。カルドセプトを1~2回プレイした友人たちに使ってもらいました。クリーチャーのコストを揃えたつもりだったのですが、地属性だけ100ぐらい多くなっています。計算ミスをしてしまったようです。

 クリーチャー・アイテム・スペルの比率は管理人が使っているブックに近く、細かい部分を調整すれば十分に戦えるブックです。ただし、プレイした印象では初心者に使わせるのは難しい部分もありました。以下、良かった部分と悪かった部分を列挙したいと思います。

スペルの充実=クリーチャーの不足
 スペルはかなり供給できたので、収入面で困ることは少なかったと思われます。反面、クリーチャーの数が足りない局面が多く、開始時の手札に1枚も無いケースもありました。リビングシールドをアイテムと考えればクリーチャーの数は18枚なので、クリーチャーの数を増やした方が良いでしょう。

地形変化スペル
 連鎖を伸ばすのに使えたので、初めての人でも扱いは簡単なようです。

ドレインマジック
 干渉カードですが致命的なダメージを相手に与える訳ではなく、あまりストレスにはならないカードです。気軽に使えるので、採用して良いでしょう。

ピース
 敵に使って良し、味方に使って良し、の便利スペル。プレイヤーの競合を抑制します。

フォーサイト、ホープ
 手札を持て余す場面が多く、ホープはやや供給過剰気味でした。フォーサイトは今後の予定も立てられるため使いやすかったようです。

ヘイスト、ホーリーワードX
 皆さんホーリーワードXを使うと10マス先を数えていたので、ゲーム展開がやや遅くなる可能性も。高額領地を踏む確率はかなり減らせたので、枚数に関しては考えた方が良いと思われます。

ゴールドグース
 敵に侵略されても損をしないので、侵略に対してストレスを感じることが少なくなります。構築済みブックにはあったほうが良いでしょう。


ここからは失敗した部分です。

属性アムル、属性シールド
 属性シールドは「属性クリーチャーが使えば、フュージョン以外の攻撃は完全に無効化」と覚えてもらえば良かったのですが、属性アムルに関しては「数値加算+強打」と計算する部分が多く、使いにくかった印象です。両者ともバトルアックス、スケールアーマーに変更すべきです。

クリーチャー能力
 分かりにくいものが多かったです。「使いやすい」クリーチャーを選別はしたのですが、「分かりやすい」のとは別なんですよね。初期ブックに含まれるカードを主軸に据えて、カードの種類自体も少なくする必要があります。

メズマライズ
 これに関しては何も言えません。知っている人間しか使えないスペルですね。無い方が良いです。

ランドプロテクト
 敵領地への地形変化スペルの使用を抑制するつもりだったのですが、そんな局面は皆無でした。地形変化の枚数そのものを少なくすれば、敵に使う余裕がなくなるのでランドプロテクトは不要になります。

続きます。

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