太陽にほえろ

1972年7月放送開始

毎週金曜日午後8時(1時間)

制作 日本テレビ

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七曲署

マカロニ

ジーパン

テキサス

山さん

ゴリさん

七曲署

七曲署いまだにどこにあって、どのような建物なのか不明だ。大抵の刑事ドラマにおいては、正面玄関から捜査に出発する刑事の姿、もしくは犯人を連行するシーンなどで多く使われるはずだが、七曲署はどんな感じだった記憶にない。舞台はその七曲署の捜査一係で、なぜかボスと呼ばれる藤堂係長、部長刑事なのでちょうさん、名字の山村から山さん、風貌から(?)ごりさん、これもなまえかららしいが殿下、そして婦警でシンコ、そして物語りのスタートともに刑事となったマカロニは拳銃を腰のベルトにさしたところからごりさんが命名したが、これらのメンバーで72年の夏に始まったはずだ。事件はいつもやおい町付近でおこり、竜神会が町を汚している。捜査方針で署長と対立することもしばしばあるが、そこはボスが一係を守り独立を貫く。捜査の要所では必ず殿下やゴリさんが公衆電話からボスに報告をいれ、いつもボスの机のすぐ横にいる山さんと相談する。携帯電話なんかありません。一応ボスの席の後ろの窓際に、無線機があって、覆面パトカー車載の無線機とは交信できた。

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マカロニ

マカロニはへなちょこだった。

拳銃をもったもののはじめは撃てなかった。

はじめて自分の銃で人を殺した時も泣きわめいて、「いやだー、刑事なんかやだー、お願いだから目を開けてくれー」

拳銃マニアのくせに、先輩の殿下にむかって「殿下」なんていったり、シンコには「うるせーんだよ、オシンコ」なんて言っているくせに、他の先輩刑事に比べると女に弱くて、殴り合いにも弱くて、情けなかったりもする。だけどすごくやさしいところがあった。マカロニは長髪だけどスーツを着ていた。なんだか格好が悪かった。

ボスはそんなマカロニを要所要所で、時にはアパートへ足を運び、時には陰からはげました。山さんもマカロニには「命を大切にしろ」と言いつつマカロニがピンチの時には身を挺して守ってくれた。

マカロニはたまたま刑事になってしまった、気のやさしい憎めない奴だった。刑事は拳銃がもてるから選んだだけで、しかし拳銃はマカロニになにももたらさなかった。力は正義ではなく、まして拳銃と正義は関係無かった。むしろ刑事になって寂しくなった。一係の人達はみんないい人だし、シンコの家の定食屋の親父も良くしてくれる。だけど刑事は嫌いだ。刑事という以外自分と変わらない連中を職務質問したり逮捕したり、射殺したりするのはいやだ。刑事だけど、いやだ。

マカロニは通り魔に殺される。ごりさんの見舞の帰りに殺される。真っ暗闇のなかでマカロニの白いスーツだけが崩れ落ちて行く。「熱いよ、かあちゃん」

シンコは周囲の気づかいを「私も刑事ですから」といってマカロニの遺体を直視し嗚咽する。あのやさしかったボスは「強盗だ、財布がない」と事件として扱い始めることにより、マカロニへの思いを断ち切ろうとしているようだった。1973年7月13日のことだった。

オイルショックとともに、高度経済成長の日本は幕を閉じ、みんなそれまでのことは過去に変わった。学生も体制も労働者も同じ方向を見るしかなくなっていった。マカロニはそんな時代のなかで、不器用に生きた感じがする。

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