最速の車内販売

東京から岡山に向かう新幹線の中で、最速の車内販売を見ました。

普通、車内販売というものは、コーヒーのポット等が上に乗ったワゴンか、スーパーのカゴみたいなものにお弁当や名産品を入れて売りに来る物だと思うのですが、その人は、牛乳のケースみたいな中身の見えない深めのプラスチックの箱に何かを入れて、通路をすごい速さで通りすぎるのです。

最初、ぼーっと座って外をながめていたら、視界の横の方を「まくっ」という音とともに何かが通りすぎたような気がしました。次に、座席から少し頭が出るくらいの背の低い50才くらいの女性が、すごい速さで通過しながら何かを売っていることがわかりました。3度目にやっと、その人が「幕の内。」「幕の内。」といいながら弁当を売っていることがわかったのですが、速い速い。本当に速い。中川いさみのマンガに、速すぎて買えない焼き芋やさんというのがあるんですが、速すぎて買えない駅弁があるとは驚きでした。

その時はひとり心の中で、「速すぎるやろう」とか「買える人おんのんか」とかつっこんでたんですが、時間がたつにつれ「あの人にもう一度会いたい」と思い出すようになりました。今も売ってるかなあ、あの人。

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