BIG HORNS BEE -Why can't we be friends?-release TOUR FINAL
at DAIKANYAMA UNIT in Jan.20th, 2005

 初めての小屋(会場)にちょっととまどい気味なワタクシ、道に迷うことを前提に(わはは)出かけたらあっさり見つかってしまったという珍現象(いつも迷う必ず迷う)に、『こりゃ幸先が良いよ』とほくそえんでしまいましたワ。代官山UNITはビルの地下3階でして、開場まで歩道に並んで待つのですが、この行列の長さにびっくり。だってワンブロック行って左角曲がってもう1回角曲がったところまで続いてるんですもん。こんだけ多くの人がBHBが聴きたくて集まってきてるんですねぇ。10番ずつ呼び込まれて階段をい〜っぱい(いくつ降りたか覚えてない)降りると天井の高いフロアに出ます。一発で好きになりましたねぇこの小屋。広さも高さもステージもすっげぇしっくりくる。こりゃますます楽しみ♪

 開演時間を過ぎ、まずBHB BANDの皆さんがなにげない様子で登場します。あまりのなにげなさに拍手も歓声もあがりません(あららぁ)。位置に着くと澤田さん(ベース)と沼澤さん(ドラム)がリズムを刻み始めます。この始まりは【UHA UHA】だわ。1コーラスやったあたりから森さんのオルガンが入り、さらにそれを追っかけるようにブッチャーさんのギターが入ってきます。この『始まる感』がたまらないのよね。ステージ上手側からはスモークがたちのぼり、ますます期待が高まります。

 じりじりしながら待つことしばし、BHB5人が上手から登場、拍手と歓声が上がります。ところがスモークが煙たくってみんなつらそう。とくに吹出口に一番近い金子さんが一番つらそうで水を飲んだり口を押さえたりしています。そしてとうとう下手側へ避難してしまいました。どうなることやらとはらはらして見ていたら、5人でちょっと打ち合わせ、急遽アタマの16小節を5人並んで(マイクの前じゃなく)演奏してました。

 そしてこのあとは超長ソロのそろい踏みです。まずはフッシーのミュートソロ、途中英語のコーラスを挟みつつ続きます(この曲って途中にコーラスあったっけ?)。ソロ中に史郎さんがわかばさんに何か聞いてましたねぇ、なんだったのかな。そして続くはオリタさんのロングソロ、ミドルテンポのリズムにすっぽりはまったソロに自然に体が揺れてきます。♪アハァ、ウハァ、アハアハウハァン、で次なるソロは森さんのオルガン、リズムの変奏を繰り返すスタイルがイイ。立ちあがりぎみになって演奏するのもイイ(笑)。テーマに戻って2番を歌ってようやくエンディング。っふぅ〜長かったぁ。おなかいっぱい。この曲だけで20分ぐらいあった?かな?

 次の曲は【Vamp Intro】、タカさんのハネるドラムがたまらない。オリタさんお歌でガナってない? テーマのあとはオルガン(はやっ)→トロンボーン(ラウドだぜ)→トランペットの掛け合い(めっちゃハイノート)→テナーサックス(きょえ〜かっちょえ〜)→バリトンサックス(リズムが腹にくる〜)と5人のソロ回しも完璧。お客のメーターも振切り寸前、きゃー!

 2曲終わったところで金ちゃんのMCなのですが……この日の金ちゃんはなんだか人格が変わってました。はっきり言ってコワレてました。「これが今日のビッグホーンズビーです。すばらしい…ばらすいし。最近気に入ってんだよ。『ばらすいし』」から始まり、いきなり♪Why can't we be friends〜♪と歌いだす始末。勝手にやってなさい。とばかりに下手側に避ける4人に場内爆笑です。後ろではBHB BAND4人がミドルテンポのリズムを刻んでいます。これがMCの間中続いてました。うーんオトナな雰囲気だわ。金ちゃんはこわれてるけど(爆)。

 そしてメンバー紹介。澤田浩史(B)、沼澤尚(Drs)、浅野"ブッチャー"祥之(G)、森俊之(Key&org)と、ひとりずつその人の活動と、金子さんがその人に抱いているリスペクトまでが紹介されてゆきます。これが長い(笑)。なにせその人の活動すべてを紹介しようというのだから、そりゃ長くもなりますよね。でも、聞いているうちに、金子さんが楽日ならではの感慨に浸ってるんだなぁということがなんとなく伝わってきました。

 引き続き、フッシー小林、佐々木史郎、河合わかばまで来たところで「なげーよ!」とわかばさんが茶々を入れ、オリタさんにいたっては「サックスのオリタノボッタです」と言われる前に自ら紹介、放っといたら朝までしゃべってそうだったからねぇ(笑)。最後は「そして私フラッシュ金子です」って、自分はそれだけ?

 そしてそしてなんとコール&レスポンス!までありました。ひそひそと♪YEAH〜を4回、そして一言「ボーカルの気持ちがわかる」。ここで調子づいたか「するならシャワーのあとにして」「したあと冷たくしないでよ」「いやよいやよも好きのうち」と3連発! どこぞで聞いたような、いやいや(笑)。おまけに最初の「するなら…」のあと「リズム走ってるよ」ってご注意までいただいちゃいました(笑)。

 引き続き次の曲紹介、これがなんと金ちゃんによるリズム講習付きでした。ドラムがあって、ベースが入って、ギターにオルガンと順々に入ってきて、という具合。【Funky Juice】は8拍目がブレイクするという変則リズムの曲ですからね。演奏する人全員から目(耳)が離せないのもこの曲の特長、とくにソロの後ろでカッティング職人をしているブッチャーさんに注目です。こわい顔(失礼)から繰り出される音はリズムが本当に心地よくて、いつのまにか操り人形のように踊らされてしまう始末、いやもう凄腕、脱帽です。

 エレピとトロンボーンの二重奏で始まるといえばこの曲【Rum & Peace】、今日はちょっと長めでうっとり。金ちゃんの♪WooYeah〜の合いの手?もいい感じです。ミドルテンポのこの曲には横揺れが似合うとばかりに場内はゆっくり横に揺れていました。演奏後に、
金子:Rum & Peace…(わかばさんに)なんでRum & Peaceって名前なの?
河合:わかりやすいじゃん
金子:…どうしてこんなきれいな曲が書けるのかな
河合:そりゃあ、心がきれいだからでしょう(客:ひゅーひゅー)
ってお約束の言い回しよねぇ。

 話の接ぎ穂を失った金子さん、今度はフッシーへ話を振ります。
 「さっきから1本つっかかる鼻毛がねぇ。1本だけカールしてて鼻の中をくすぐるんですよ。息吸って吐くとエアコンのひらひらみたいにちょろちょろ」いきなりこれだもん、フッシーおかしすぎ。それから金ちゃんちでごちそうになった”もやしなべ”の話(金子:ほかにももっと豪勢なの食べたじゃない。フッシー:だってそれはワリカンだったじゃないですか)やら、”小屋”の話(わかば:小屋つっても俺がひとりでこうやって(しゃがむ)るわけじゃないから。会場のことだから)など、大爆笑の話が続きます。さらには史郎さんまで巻き込み「今年の抱負は? 将来の夢は?」って、いきなり聞いても答えられないような質問を浴びせます。もう史郎さん絶句、ハラいてぇ…。

 次の【Groove Society】は佐々木史郎さんの曲。『すごくかっこいい』とやることになったそうで、ほんとにかっこいいスマートな曲でした。とくにトランペットの魅力がつまった曲で♪ワゥ〜〜〜ンって音がせり上がるところが背中をずずずっとなで上げて行くみたいでぞくぞくしちゃいました。かと思うと♪パ、パラッ、パァ!ってキメがあったりして、金ちゃん曰く『ニューヨークっぽい』曲でした(ちなみにBHBの曲は『ずるずる』なんだそう)。

 そして今度はオリタさんのお話。リフレクソロジーに行ったらたまたま男性の店員さんに当たって、またそういうときに限ってハンドマッサージまで頼んじゃってカマっぽいおにいちゃんに20分間手を握られた話やら、大阪でリフレクソロジーのつもりで入ったらただのマッサージでおばちゃんに痛くされた話やら、(米米時代に)タクシー待ちの列で後ろのおねえさんに譲ってあげたら飲み屋のおじちゃんが割り込んできて勝手に乗ってっちゃった話やら、レコーディングで路上駐車したらオリタさんがスタジオに入って2階に上がるまでの間にレッカーされちゃった話やら、とほほな話がわんさかでてきました。「米米んときベーに『運ないよね』って言われてた(金子)」ということで、ご同情申し上げます。そそブラバンキングな話も金ちゃんが振ってたけど教えてくんなかったっけ。ちぇ。

 さて、そんなこととは全く関係なく次の曲【Rodando Por A】へ。レコーディングのとき、エウミール・デオダートを聞いていたんですって。そしたら森さんが『この曲かっこいいよね』って言い出してやることになったんだそうです。この曲名を探り当てるのが大変だったんだよ〜。なんせ金ちゃんが「ポルトガル語だからなんて読むのかわかんない」みたいなこと言うし。「ホランドポルトアイ」って聞こえたしさぁ。まずアーティスト名で引っ掛けて見つからなくて、最後は本人のオフィシャルHP(英語)までいって見つけたんだからぁ。……蛇足ですんません(ぺこり)。

 ボサノバ?のミディアムテンポのダンサブルなリズムにのって短いテーマが繰り返され、そのあとはソロ。これが森さんの独壇場でした。オルガンがパーカッシブ、まさに音階のあるパーカッションですよ。すごかったぁ。またそのあとのオリタさんのバリトンサックスソロもよくてね、耳で聞くというより身体で感じるっていうソロだったの。終わり方もだんだん音がフェイドアウトして(ホーン隊はどんどんマイクから離れて下を向いてゆく-笑)、最後に1フレーズばーんとやって終了! 「あ〜すっきりした」。

 暗くなったステージに、カリンバの♪シャランって金属音が。その響きに誘われるように金子さんのソプラノサックスのフレーズが始まります。雨だれが次々にぽたぽた落ちてるようなカリンバの音をバックに、ゆったりとした、そしてどことなくアフリカンなメロディが流れます。ホーン5管が中央に集まっての演奏、ステージは薄暗く、少しさみしくなる感じです(この間、ドラムのタカさんがスネアドラムをスタンドから持ち上げて交換していました)。和音の重なりから各自バラバラのフレーズに変わり、波が収まるように静かに終わって行きます。

 と、その余韻を打ち消すように緊張感のあるドラム&ベースのリズムが始まります。これは【Peace of Love】だぁ。ベースの♪ダーン、ダダッダにワウギターのカッティングが入りオルガンがはいり…。あ、さっきの5管の曲、この曲のホーンフレーズのアタマに似てる!前奏曲だったのかぁ。と思ったのもつかの間、曲の流れに引っ張られて行きます。♪What is a piece of love, would you like to see?5人のコーラスが始まる頃にはすっかりのめり込んで忘れてしまってました。

 金子さんの「あとは行くだけ」を合図に、いよいよライブも終盤です。ここからはノンストップ。金子さんの♪One、ン、ン、ンから【Rain Coat Dance】。終わったと思ったらタカさんの♪シーシャカシーシャカ(+フッシーのミュートソロ)で【BLOWZ JOB】。今日初めて短いながらもタカさんのドラムソロがありました。後半バリバリに弾きまくる澤田さんの姿もかっこよかった。

 ♪ドゥンドゥンダダダドゥンダドゥンダンドゥンと澤田さんの超速弾きから【Come Together】の始まり。ブッチャーさんもギュワンギュワンいわせてます。タカさんのソロもありまくり。最後は【Party around the Clock】、最初”UHA UHA”の踊りで笑っていたお客さんもフッシーたちの踊りになじんできた様子です。後半のソロ対決は、金子vs森、オリタvsブッチャー(後半”笑点”のテーマでした)、史郎vsタカ、わかばvs澤田、フッシーvs森の順番でした。

 これにて本編終了! もう火ぃついちゃった私たち=客は速攻で手拍子しまくります。

 アンコールで出てきた金子さん、まずは今回の関係者の方々に感謝の気持ちを述べます。レコードリリース関係、ツアー関係、会場関係、レコーディングスタッフ……たくさんの人への『ありがとう』の言葉が本当にうれしそうで、これも楽日でしか見られない表情だなぁって思いました。

 「去年はたいへんなことがたくさん起きました。台風や地震など人間の力ではどうしようもないことがあったなかで(アルバムに)"Why can't we be friends?"―俺たちは友達になれるはずだ―という名前をつけられたことはすごくよかったと思っています」という発言から【Why can't we be friends?】へ。ボーカルなしでどうなっちゃうかなと思っていたけど、吹いてない人が持ち回りで歌ってました。タイトル通りみんなが友達になってしまいそうな、あったかくてなごんだ1曲でした。

 まったりとこれで終わるのかしら?と思いきや、〆の1曲は【Blowin' in Rhythm】でした。やっぱ最後にひと踊りしたいもんねぇ(客の勝手な都合)。後半のブッチャーさんのギターソロ(♪チュイ〜〜ン)が忘れられない。ラストに向かってなだれこんでゆくなかで独り踏みとどまって弾きまくるブッチャーさん、かっこいいっすぅ。

 3時間近く経ってるとは思えないぐらい充実したライブでした。大興奮してしまったワタクシは帰り道でもにまにまが治まらないアヤシい人になってました。あはは。すまぬ>同行者。
 もうすぐ次のツアー、今度はどんなライブになるんだろうな。楽しみで仕方ないワタクシでございます。むふふ。