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過ぎ行く時 〜 土地を買って家を建ててみました 〜
委託先 数あるハウスメーカー・工務店からパートナーをどのように決めたか

与件:居住地と建築地が遠隔であること


2022年4月時点の居住地は神奈川県横浜市。
購入した土地は北陸地方の富山県。
家が完成するまでは神奈川県横浜市で生活し、家が完成してから富山県に引っ越します。

神奈川県横浜市と富山県はJRの北陸新幹線を利用しその距離420.7km、乗車時間2時間40分、乗車券と座席指定特急券を合わせて13,510円。
往復すれば5時間以上の乗車、27,000円ほどの費用。
この負担は大きいです。

またハウスメーカーを決め、契約し設計が完了し着工合意するまでの工程。
着工して引き渡しを受けるまでの工程。
住み始めてから家を維持していく工程。
各工程で委託したハウスメーカーと打ち合わせをしていく必要があります。

そして建物だけでなく、外構(敷地の仕切りであるフェンス、門、アプローチ、カーポートなど)の設計・工事も必要です。
ステークホルダーは最小限、コミュニケーション・パスは極力1つにしたいと思いました。

というのも私はコンピュータ業界に職を求めた「でもしかサラリーマン」でした。
1985年頃は朝から晩まで深夜まで朝まで、完全週休1日制で日曜日は休日出勤するプログラマ。
そして会社を変わりながら「なんちゃってシステム・エンジニア」、「なんちゃってプロジェクトマネージャー」みたいな役割に変わっていきました。

思い出の一つで1990年代。
1990年代といえばネオダマ(ネットワーク・オープンシステム・ダウンサイジング・マルチメディア)という言葉が流行っていました。
当時、企業のコンピュータシステムといえば大型、ホスト・コンピュータの世界でした。
ホスト・コンピュータの著名なメーカーで思い出すのは日本IBM、富士通、日立、三菱電機など。
いずれのメーカーも数多くのプロジェクトを成功させ、物凄いシステムを構築していました。
ところが当時の業界誌の一つ「日経コンピュータ」には特集「動かないコンピュータ」記事が毎号のように連載されていました。
どんなに凄いメーカーでも。
どんなに優秀なプロジェクト・マネージャー、システム・エンジニアでも。
成功・失敗の差は紙一重だと思います。

またシステムはソフトウエアだけではありません。
ハードウエア、ネットワークもあります。
それらが一つになり初めて使えるシステムが出来上がります。
各々専門、得意とする会社があります。
またその会社もその会社の社員だけでなく様々な協力会社と多数の社員と協業しています。
それらを管理しプロジェクトを推進するのは本当に大変です。

やはり建築業界も同じようです。
一つの建物も色々な会社や職人の方々が協業し建てていきます。
そして外構も色々な会社や職人の方々が協業し造っていきます。
建物と外構という2つのくくりにおいても、建物着工前に先行で外構の工事、建物の工事、そして外構工事。
それを素人の、そして現場から420キロ離れた遠隔地に住む素人が管理していくのは至難の技です。
最初に建物だけ建てて住み、外構は後から工事する段取りもありますが、それはそれで落ち着きません。
それ以上に建物と外構は調和(ハーモニー)が大事だと思います。
そこで建物と外構を一括で受注し管理出来ること。それがメーカー選定での重要な項目の一つと考えていました。


横浜市内の住宅展示場での絞り込み

近所の横浜市内の住宅展示場に出展しているハウスメーカーと工務店。
関東地方、神奈川県地区だけを営業エリアにしている会社は候補から外しました。
富山県内の住宅展示場にも出展しているハウスメーカーと工務店。
両方に出展しているのは2社しかありませんでした。
富山県内の住宅展示場に出展していないものの営業エリアにしている会社もありました。
富山県を営業エリアにしていない会社は外した結果、残った会社は片手もありません。
大手と言われているハウスメーカー。
中堅と言われているハウスメーカー。
ローコストと言われているハウスメーカー。

鉄骨住宅か木造住宅か。
もう30年以上、鉄筋コンクリートの集合住宅に住み続けています。
生まれ育った1950年代に建築された今も現役の実家は木造住宅でした。
あの木の柱、廊下の床の木の板などを思い出すと木造住宅が良いかなと思い木造住宅を扱うメーカーに絞り込みました。

2022年4月10日(日)

緊張しながら住宅展示場へ。
住宅展示場に建てられた数々の家。
外観からは違いがわかりません。

景品欲しさに予約して営業トークの渦に溺れるのも嫌だなと思い、予約無しで、

見学させて頂いて良いですか?

と飛び込み見学です。

まずはテレビのCMでよく見る木造住宅の大手と言われているハウスメーカーに。
中年夫婦、若人夫婦など数組、打ち合わせをされています。
幸いにも空いている営業がいないということで常駐されている事務員の方から簡単に一通り説明していただきました。
大手と言われるだけあって内装が立派、素敵な展示場の家という印象でした。


次にテレビのCMでよく見るローコストと言われているハウスメーカーに。
スマップ、好きですから。
若い子供連れの夫婦が何組か打ち合わせをされています。
あの若さで家を持とうとするとは立派なものです。
予約無しでしたが営業から一通り説明していただきました。
内装はやはり立派なのですがカジュアル感が強いという印象でした。

どちらの展示場でもアンケートに記入し、簡単な希望をお渡しし、どのような感じになるかプレゼンをお願いしました。


2022年4月17日(日)

まずは大手と言われているハウスメーカーに。
初日は予約無しで見学したので営業不在でしたが、この日は営業と。
アンケートに記載した住所から国土地理院の情報やGoogleマップのストリートビューなどの情報。
お渡ししてある簡単な希望に対し、あてはまりそうな事例を交えながら、キャッチボール。
なるほど、百聞は一見にしかず。いえ、何の勉強もしていないに等しい私に色々と教えてくれました。
それでは持ち帰って、機会がありましたらまたお会いしましょうと展示場を後にします。
流石、大手と言われているハウスメーカーの次に繋げるプレゼン、ラフな予算感の大きさに流石は大手だと思わせてくれました。


2022年4月23日(土)

次はローコストと言われているハウスメーカーに。
アンケートに記載した住所から国土地理院の情報を探したのですが情報が無く具体的な提案は出来ないとのこと。

あら、そうなのですか。それは残念です。


老人だからローンも組むのに手間がかかりそう?
ましてや遠距離で面倒な客?
そう思われたのかもしれません。
ローコストと言われているこのメーカーには相手にもされなかった!

という印象でした。
縁が無かったのでしょう。
さよなら、タマちゃん、タクヤくん


あっという間に横浜の住宅展示場の候補は1社に絞り込まれてしまいました。

この候補もこれから先、縁がなかったら他にもメーカーはあります。
富山県の展示場の中から探すことも可能です。
場合によってはやはり家を建てるのを止めても良いですから気楽です。


富山県内の住宅展示場での絞り込み

横浜市内の住宅展示場での経験。
Webサイトでメーカーを絞り込み。

2022年5月4日(水)

そしてその往復の負担軽減から短期で見極める必要があるため北陸三県で展開するグループ会社の一つに予約を入れ、ゴールデンウイーク期間の2022年5月4日(水)に訪問しました。

流石に予約を入れてあったせいか、きちんと準備されてました。
住宅展示場とは別に近くにある宿泊体験できるモデルハウスも案内してくれました。
印象は横浜市内の住宅展示場のテレビのCMでよく見るローコストと言われているハウスメーカーのカジュアル感も無く、流石は北陸三県でトップを維持するメーカーだけあります。
アンケートに記入し、簡単な希望をお渡しし、どのような感じになるかプレゼンをお願いしました。

2022年7月9日(土)

そして1か月後の2022年7月9日(土)に富山の工場で提案をいただきました。
この予算感だとこれ位の建物になるというのがわかりました。
予算を増額するとともに改めて希望を伝え、一度、提案をお願いし展示場を後にします。


2022年8月5日(金)

担当営業さんと設計士さんが横浜まで来られるとのことで紹介した貸し会議室で最終提案を頂きました。


メーカーの比較

No.項目横浜市で打ち合わせするメーカー富山県で打ち合わせするメーカーコメント
1. 担当営業SNSで
「優秀な営業さんを紹介します」
「優秀な設計さんを紹介します」
と耳にしましたが、優秀とは何をもって優秀というのでしょうか。
経験豊富で、新しい情報に敏感で、より良い提案をしてくれることでしょうか。

冒頭に記載しましたがコンピュータ業界ではどんなに著名な大手であっても問題となったシステムはあります。
どのような優秀な方でも成功か否かは紙一重だと思います。
周りを巻き込みながら何か忙しそうに見せながら在籍し続けるのも優秀の一つです。
難しいものです。

どちらの会社の方も誠意をもって対応していただき、どちらの方も一緒に家づくりをして頂ける方だと思いました。
2. 設計士 担当営業が間取りなどプレゼン。

担当の設計士とは契約後に対面したため、提案時に提示された間取りなど設計士がどのように関与していたかは不明。
唯一、プレゼン資料の中に設計士の捺印があり、プレゼンにおいても何らかの関与はされていたと思います。
営業に同行する設計士が間取りを作成しプレゼン。

誠意をもって対応していただき、一緒に家づくりをして頂ける方だと思いました。
比較対象外
3. 提案の受け方 申し込み金として5万円を支払う必要がありました。
この5万円で土地の測量はもとよりスウェーデン式サウンディング試験で地盤調査まで実施します。
その結果から地盤改良の必要性有無も含めてた提案がされました。
提案に向け土地の測量が無料でされました。 契約に至らなければ横浜市で打ち合わせするメーカーへ支払った5万円が無駄になるようにも思えますが、契約に至らなかったとしても5万円で地盤調査をしてくれます。

5万円で土地の測量はもとよりスウェーデン式サウンディング試験で地盤調査まで実施するのは良いと思いました。
この結果を次のメーカーでの打ち合わせに活かせますから有益だと思いました。お勧めです。
4. 提案内容 平面図、パース図、3D

当初からパース図、3Dでのプレゼンはやはりイメージを思い浮かべやすかったです。
平面図 わかりやすさからいくと横浜市で打ち合わせするメーカーの方が良かったです。
5. 外観 このメーカーの売りの一つ、寄棟屋根の平屋。 最初は切妻屋根の2階建てを提案頂きました。
そこで寄棟屋根の平屋を希望したところ希望通りの提案を頂きました。
どちらの会社も魅力ある提案を頂きました。
6. 間取り 希望通り平屋で。
このメーカーの売りを要所に。
最初は2階建てを提案されましたが平屋を希望したところ希望通り平屋の間取り提案。 どちらの会社も魅力ある提案を頂きました。
7. 設備 標準仕様とオプション仕様が明確でした。
打ち合わせしながら決定していくとのことでした。
標準的なものは決まっているようでした。
郵送するカタログで選択していく進め方のようでした。
わかりやすさからいくと横浜市で打ち合わせするメーカーの方が良かったです。

そして420キロという距離をより意識することになりました。
8. 外構 グループ会社の外構担当の会社が担当し、あらかじめ伝えた希望を含めた提案でした。 このハウスメーカーの範囲は建物のみで、別途、外構業者を選定する必要がありました。
その選定をいつ行い、どのように打ち合わせを調整しながらその仕様を決めていくのかは確認できませんでした。
わかりやすさからいくと横浜市で打ち合わせするメーカーの方が良かったです。
多分、グループ会社に外構担当の会社を持たないハウスメーカーや工務店の方が殆どだと思います。

やはり420キロという距離をより意識することになりました。
9. 性能 住み継ぐ視点:長期優良住宅の認定(ローンは組まない、贈与も受けないのでその恩恵は小さいですが)。
売る視点:優良ストック住宅推奨協議会(スムストック)に参加(都心でもないので今も将来も購入しようと思う人がいるのか不明)。
貸す視点:JTI 一般財団法人 移住・住み替え支援機構に参加。
耐久性:3
耐震性:3
省エネルギー性:4(断熱性能等級:5、UA値0.6以下=ZEH基準
一次エネルギー消費量等級6(20%削減)
高気密高断熱
耐震性、高気密高断熱

(補足 2024年1月追記)
2024年お正月(年末年始) テレビで新商品のCM「
断熱等性能等級7、
耐震等級3、
60年長期保証システム
」が流れていました。
大手と言われるハウスメーカー各社が中心となり作成された基準や制度もあり、横浜で打ち合わせをするメーカーの方がその記載は多かったです。
10. 富山の気候・風土への理解 質問・疑問は都度、富山支店に確認されていました。 北陸三県を地盤にし、本社も富山県であることから富山の気候・風土に適した提案でした。 圧倒的に富山県で打ち合わせをするメーカーに軍配はあがりました。

しかし横浜市で打ち合わせするメーカーは全国規模で営業展開し、地域ごとに標準仕様も決めていることもあり富山県で打ち合わせをするメーカーにポイントを付けるほどの差は感じませんでした。
11. 体制 グループ会社で進めるため外構工事も一括で請け負い、現場監督が外構を含めてプロジェクト管理するとのことでした。 このハウスメーカーの範囲は建物で、別途、契約する外構業者との調整などは担当する営業が頑張るとのことでした。
これは会社としてではなく施主の不安や負担を軽減するために担当営業個人が努力されることと認識しました。
当初から施主として建物と外構は一括で発注したいこと。施主が建物側と外構側の調整・管理するつもりはない考えでした。

プロジェクトの立案、計画、そして管理として横浜市で打ち合わせするメーカーにポイントが付きました。
12. 打ち合わせ方法
コミュニケーション
着工合意までは横浜支店が担当し、全ての打ち合わせは横浜市内で可能でした。
着工後は富山支店が担当し、基本メール、Webサイトでのやり取りとなります。
着工合意まで富山のハウスメーカーと郵送ならびにメールが主となる連絡手段でのやり取りになります。 やはり420キロという距離をより意識することになりました。

プロジェクトの立案、計画、そして管理として横浜市で打ち合わせが可能なメーカーにポイントが付きました。
13. 見積金額 当初、想定した予算感よりも高め 当初、想定した予算感内 どちらも資金面で対象から外す必要はありませんでした。


最終選定理由

どちらのメーカーの「担当営業の方(No.1)」も誠意をもって対応していただき、どちらの方も一緒に家づくりをして頂ける方だと思いました。

建物のその「外観(No.5)」、「間取り(No.6)」、どちらのメーカーもメーカーの特色を活かした良い提案を頂きました。
もちろん多少の好みはありましたが、それが絶対的優位になる、それが絶対的な決め手にはなりませんでした。
どちらの提案で進めても望む家にして頂けると思いました。

どちらの営業の進め方、提案内容も良かったです。

そのように思い続ける中、最終的に何を確信もって決めたのか。
それは2005年頃にアメリカの非営利団体「PMI」がまとめた「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」でプロジェクトの管理というものを学びなおし、資格PMP(Project Management Professional)を取得しながら仕事をしてきた私としてはやはり「体制(No.11)」と「着工合意に至るまでの打ち合わせ方法とコミュニケーション(No.12)」でした。

最初に提案を受けてからメーカーを決めるまでの間、契約してから着工合意に至るまでの「打ち合わせ方法とコミュニケーション(No.12)」と「体制(No.11)」を常に考えていました。

富山県で打ち合わせするメーカーと直接、顔合わせたのは計3回でした。
その間、何通もメールをやり取りしていますから、対面で打ち合わせをする横浜市で打ち合わせするメーカーとの情報量に大きな差異は無かったように思います。
しかしながら会話とメールのやり取りの手間の差、時間差は必ずあります。

もし対面で打ち合わせをするならば北陸新幹線を利用し片道、時間にして約3時間30分、約13,000円の交通費が生じます。

その結果、残念ながら契約から着工合意に至るまでの間の「打ち合わせ方法とコミュニケーション(No.12)」をあれこれ想像すると420キロの距離は埋められませんでした。


もし私が最初から富山県に住んでいたならばまたその比較する項目と結果は変わってきたかもしれません。




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