豊かなシニアライフを送るために 
(日本精神病院協会名誉会長 斉藤茂太氏記)


 何事もプラス志向で 
(日経新聞1997年3月21日より抜粋)



 晩年になって一番大事なのは生きがいである。定年後も楽しく、生き生きと生活している
人は一部例外はあるが、大体現役時代に友人が多く、本業以外にきちんとした趣味を持って
人が多い。つまり、人生を前向きにとらえ、どちらかといえば社交型の人間である。趣味は
「仕事」だという人はだめなわけで、やはり何らかの趣味を持ちたい。  現役を離れ、定年
後の生活にスムーズに入るには現役時代に肩書のない生活をしてみるの
もよい。例えば
肩書のない名刺を作ってそれを使ってみる。今は肩書で生活している人が大
部分だが、
定年後はこの肩書は消えてしまうわけだから、早いうちから肩書きのない生活に
慣れて
おくこともひつようではないかと思う。




 定年は人生の通過点で、マラソンに例えれば水の補給地点である。ゴールまではまだ30
40年という長い年月を走らなければならない。
 そこで重要になってくるのが対人関係であ
る。自分の女房や友人と良好で平和な関係を続
けるには100%主義を捨てることだ。これ
は相手にこうあって欲しいという心の要求水準
のことだが、私は70%主義を貫いている。
100%にする努力は大事だが、あまり要求水
準が高すぎると挫折する。神様でなければ
100%は絶対無理なので、現実を真摯に受け止
めて付き合う。そうすれば、ストレスをそ
んなに溜めずに楽しく暮らせるはずだ。
 また人間には適度なストレスが必要で、これが
なくなると意欲も気力も失せてしまう。
 いずれにせよ、日本では悲観論者よりも楽観論者
の方が長生きが多い。これからのシニア
ライフは何事もプラス志向で考え、好奇心や挑戦
心を持って生きたいものである。




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