星への旅立ち (1) 序章
Akira Yamada 山田 明(福岡県行橋市)氏記

私が主催するメーリングリストの会員であって、食道癌との闘病の後、
昨年暮れに亡くなった山田明さんの「星への旅立ち」という144通の
メールを集めた本が電子ブックで出版されましたので、紹介します。

  故山田  明さんの「星への旅立ち」の電子出版を購入される方は
EBOOKのホームページURL:
http://web.ibsinc.co.jp/ebook/ から以前は可能でしたが、現在は無理のようですので、
柿沼まで申込をして下さい。

  料金ですが、販売価格500円+CDR代350円+送料150円で計1,000円です。

  故山田  明さんの「星への旅立ち」の紹介は上記 CDR の「はじめに」に
書かれれている内容で下記に引用させて頂きます。

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                            「はじめに」

「星への旅立ち/山田明著」ですが、「星への旅立ち (1)序章 <その1>」
から始まる山田明さんの作品は、Happy Senior Life Net(HSLN)
メーリングリストURL:
http://www.asahi-net.or.jp/~by7m-kknm/happysln.htm

で会員数約400名に近いシニア(原則として50歳以上のメーリングリスト)
へ送信されたメールの内容です。

  「平成8年から平成11年4月で癌を患って完治せぬまま進行性と思われ
る癌細胞をかかえた自宅静養の生活も、ひと区切りの3年を終わりました。
4年目にはいった今、私はそろそろ本格的に終焉の準備を進めています。
その一つが、この「星への旅立ち」の作成です。」と山田明さんがメール
で書かれています。

  そして、この内容の一部は1999年6月29日夕方5時25分から12チャン
ネル(テレビ東京)で放映されました。その後、山田明さんは「星への旅立ち」
を書き続け、 1999年12月5日に他界される5日前の11月30日までのメール
数は144通に達しました。その内容は本当に癌とたたかいながら生き続けた
山田明さんの貴重な体験談で、本当に私達の死ぬまでの生き方の参考になる
作品内容であると思います。

  山田 明さんの訃報を知った時のメーリングリストの会員からの「お悔やみ」
のメールが非常に多かったことと、今回の電子出版への期待が大きいことから
も、メーリングリストの会員に与えた影響力は非常に大きかったと思います。

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星への旅立ち (1)序章 <その1>
   標題に示す 「星への旅立ち」を考えるようになったのは、98年(平成10年)
夏でした。別に体調が悪い時期ではありませんでしたが、「生と死」を度々意
識するようになって、ちょっぴり悩んだことが一つありました。

   私は人よりは、この世に別れを告げるときが幾分早く来るだろう、それを受
けいれることに不安や恐れはない、既に子どもは独立成長し、5人の孫たちも
健康で素直に育っている、家族と社会への責任も十分果たしている、だから
もうこの世に大きな未練もない、別れのときがいつ来てもいい、そのようなこと
を考えていたのでした。

  そして、私が旅立ったとしても、妻や子ども、3人の姉妹は分別ある大人だ
から 少し早い死に一時悲しむことはあっても、諦めもし直ぐに立ち直れるだろ
うから心配することもないだろう。しかし未だ幼い5人の孫に私の死の意味を

分からせるにはどうしたらよいのだろう、ちょっぴりこの世の未練があるとすれ
ばそれは孫との別れである。孫に私の死の意味を納得とまではいかぬとして
も、美しく一つの物語のように理解させたい、と思ったのでした。

  私は私の死についての孫対策をいろいろ考えました。一つの答が「星への
旅立ち」でした。8月のある日の未明、私は外に出て星空を見上げました。
東、南、西、北。 一巡しながら私の星を見つけようと目論んだのです。
大きな名のある星ではない。小さな、それでいて少しは輝いている星、そんな
星を探しました。

  南の空、割と地上近くに私の星を見つけました。旅の目的地をその星にする
ことに決めました。それはさそり座の赤い星アンタレスのやや右下にある小さ
な星、たぶん2等星でした。



星への旅立ち (1)序章 <その2>
   前回述べたように、孫へおくるお別れメッセージを意識しながらタイトルを
「星への旅立ち」としました。孫へのメッセージは、私の存在が地球から消え
たあと、星に移り住んだおじいちゃんが孫に語りかけるコトバで綴っていく
ことにします。それは、たぶんこの文の最後に付属することになるでしょう。

  さて、この文をどの時点から書き始めるか…、この旅はいつから始まるのか
を考えてみました。通常の旅であれば、旅を思い立ち、目的地を考え、それ
を決めて、準備にかかったときから旅は始まるのでしょう。目的地、日程、所
持品、目的地までの移動の手段など、いろいろの計画を立てるとき、旅は既
に始まっているのでしょう。

  とすれば、私が「死」を意識し、この世から去っていくことに思いを馳せたと
きが、この旅の始まりになります。あるいは、「死」を意識するに至るまでの
経過も旅のうちに入るかもしれません。

  次に「旅立ち」、つまり「旅の出発日」はいつになるのでしょうか? それは、
私の命の終焉のときが、星へ旅立つ日となるのでしょう。しかし、終焉の日ま
で意識と思考力、気力、文をつくる体の機能は保てそうにもありません。
とすれば厳密に言えば、「旅立ち」のその日までのことは書けそうにもありま
せん。「旅立ち」の少し以前まで(意識、気力、能力が保てる日まで)のこと
を書き続けることにしましょう。

  次に、何のために、どのようなことを書くのかを考えてみます。書く目的は、
私がこの世に存在した証(あかし)を残すことです。見る人、読む人は特定し
ません。読む人が誰もいなくてもかまいません。私に「生」がある間の私だ
けの自己満足に終わってもいいのです。ですから、よく言われるように自費
出版などで広くおおやけにする気はまったくありません。希望としては妻や
子と孫には、あとあと読んでもらいたいと思っています。

  では、どのようなことを「生」の証として書こうとしているのか、それは、「死」
を意識する中で、何を考え、何に思いを巡らし、どんな行いをしたのか、私の
思考と行動の軌跡を残したいと考えます。

  それに、過去および、これから変わりゆく日々の「生」のありさまも残してお
きたいと思います。とりあえずは、病に気づいたころからの、私の心象の移り
変わりを、時間経過の順にそって書き連ねていきます。

  何を書こうと意図しているのかを説明したところでこの序章を終わり、次回
から本論に入っていきます。


  故山田  明さんの「星への旅立ち」の電子出版を購入される方は
EBOOKのホームページURL:
http://web.ibsinc.co.jp/ebook/ から以前は可能でしたが、現在は無理のようですので、
柿沼まで申込をして下さい。

  料金ですが、販売価格500円+CDR代350円+送料150円で計1,000円です。
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