目標を持った生き方 
(ファッションプロデユーサー 石津謙介氏記)


 「人生4毛作論」で充実・金・物欲捨て”人欲”を 
(日本経済新聞1997年3月21日夕刊より抜粋)



 生き方というものはそ簡単に見つかるものではない。農業で2毛作というものがあるが、私は人生 を4毛作に分けて考えている。  つまり、人間の1毛作を二十五年単位でとらえるわけである。この世に生まれて子供から大人の境 を超える時期が二十五歳。社会に出て結婚や子供の誕生、そしてサラリーマンなら課長や部長になり 、人生の桧(ひのき)舞台にたつのが五十歳。この五十歳で大体人生の基礎が固まる。  そして五十歳から七十五歳までが収穫の時期だ。気持ち的には「ああ、ここまでやった」という安 堵(ど)感を得、少しはゆっくりしようかということになる。私の経験で言うとこの時期は貯めたお 金をどんどん使った方が良い!


 私はいま八十六歳だが、よく長生きの秘訣を聞かれる。私の長生き術は金欲と物欲を捨てること。
こらまでの人生に未練がなければ価値観を変えることで、この二つの欲は捨てられる。  ただ、生きがいという点では、どうあっても捨てない欲がある。それは「人欲」である。男性なら 「女欲」、女性なら「男欲」というが、晩年になってもこの「欲」だけは失いたくない。一緒にお茶 を飲む、話をする、旅行をするといった簡単なものだが、これが大変な生きがいになる!



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