日本人の新しい生き方(ハッピーリタイヤメント) 



東京家政大学教授樋口恵子さん(日経新聞1997/2/25より抜粋)



「ばっかり人生」はやめよう  多くの日本人はこれまで、いわゆる「ばっかり人生」を歩んできました。男性は仕事ばっかり、女性は 家庭ばっかり、子供は勉強ばっかりで、年をとった老人はヒマばっかり。  これは見方を変えると、人びとが時代や社会から与えられた役割に依存して生きてきたことを意味しま す。とにかく昔から日本人は「外圧」に弱い。  でも今日は、人生五十年時代ではありません。いま日本人の平均寿命は女性が八十三歳、男性は七十六 歳。しかも四十歳を過ぎた二人に一人以上が八十五歳以上まで生きている。子供の還暦を共に祝える人が んどん増えているのです。  これからは自分のセカンドライフを自ら選択し、自ら決めて生きる時代です。自己選択や自己決定のな いままに年をとり、ヒマナ毎日が続くと、ぼけが早まるのはもちろん、アルコール依存症などの老人が増 える危険性もあります。

やりたいことにお金を使う時代
 そうならないためにも、ばっかり人生に早く別れを告げて虹色の「レインボー人生」を生きていただき たい。仕事にボランテイア、趣味、勉強ーー七色とはいかないまでも、誰にだって数種類の人生があるは ずです。  自分がやりたいと思ったことは、あきらめないで志を貯めておく。その実現のために使うお金は 人生の投資です。目的のない貯蓄より、目的のある消費の方がいいに決まっています。  もちろん、目的のためにお金を殖やしたい場合には、精一杯、貯蓄なり運用なりに励んで下さい!�$=$l$b レインボー人生の貴重な一項目になってくれます!


五十歳にして知る我が天職  ひとの人生など、どこでどう変わるか、わかったものではありません。五十代から六十代で始まる本格 的な人生だってある。事実、私も五十歳にして天職を知るにいたったクチです!  ジャーナリストや評論家としてものを言ったり書いたりするなかで、自分は自己顕示欲の強い一匹狼だ と思っていました。ところが五十歳にして、ひょんなことから「高齢社会をよくする女性の会」の代表と なり、組織の運営や政策提言にかかわるようになったのです!  これがやってみると、以外に面白い。もっとも効果的な提言をどのようなイベントにのせて社会にPR していくか、それを仲間と考えるときが、いま最も血沸き肉躍る瞬間です。  いつどんな人生がわからないのだから、老後などという考え方はもはや捨てるべきではないでしょうか。 夫や妻が大往生してから次の人生を考えるというのも、もう古い。

好きなことを存分に楽しむ  思い立ったとき速やかに行動に移し、試行錯誤はむしろ楽しむ。これが高齢社会を迎えた日本人の新し い生き方だと思います。もちろん各人の置かれた事情によって、さまざまな制約はあるでしょうし、優先 順位もかんがえなくてはならないでしょう!  でも、自分の好きなことが見つかったら、思う存分他の楽しむようにしてください。


テーマ目次のページへ戻る

最初のホームページに戻る