どれだけ偉くなれば正一位をもらえる?

 

 日本の位階制度は聖徳太子の冠位十二階に始まります。701年の大宝律令で正一位から従一位、正二位・・・という位階制度になりました。これが現在まで続いています。

 現在は正従の一位から八位まで、計16の位階に分かれています。いまは死後しかもらえないと言うことだが、勲章とだいたい比例しているので、この勲章をもらっていればこの位とだいたい推定できる。

 位階の説明はこのページがわかりやすい。勲章についてはこのページ。このおじさんが勲章をもらったので作ったらしく、自慢が随所にほとばしるが、わかりやすいことはわかりやすい。あと、誰は勲何等とかやって遊んでいるのがここ

 公家についてはこの位階、わかりやすい。役職と比例しているから。太政大臣なら正一位、左右大臣は従一位というように。平安以降の時代になると武士だの大名だの政治家だの文化人だのがそれぞれの基準で位階をもらうようになり、なんだか分からなくなってしまった。

そこでここでは時代、ジャンルをごちゃごちゃにして、有名人のもらった位階を列挙し、業種、業績との関係を探ってみました。(平安以前はわかりやすいので除く)材料はインターネットであっちこっち検索して探しました。

正一位 豊臣秀吉 徳川家康 岩倉具視

まさに位人身を極める。この中で生前にもらったのは秀吉だけ。岩倉は生前は従一位。現在これがもらえる見込みはまず無い。

従一位 大久保利通 織田信長 中曽根康弘 徳川慶喜

おこがましいぞ中曽根!確認していないが佐藤栄作、吉田茂も中曽根と同じ勲章なのでこのランクのはず。総理大臣の中でも特に優秀な人がもらうことになっているらしい。
 徳川慶喜は慶応二年には他の将軍と同じように、正二位、大納言、征夷大将軍に任命されている。ところが翌年には辞官納地でいったんすべての官位を剥奪された。その後だんだんと、大政奉還の功績が認められ、旧幕臣の不満勢力をなだめる意味もあって、明治五年には従四位が与えられ、明治十三年にはもとの正二位に復帰。明治二十一年には従一位まで躍進したのであった。

正二位 徳川将軍 大平正芳 児玉源太郎

徳川家は代々、征夷大将軍になると同時に正二位を与えられる。そののち累進する場合もあり、家康、秀忠、家光は死後正一位を与えられている。総理大臣は正か従の二位をもらうのが普通。

従二位 上杉謙信 北里柴三郎 乃木希典 米内光政

初めて学者の登場。湯川、朝永両氏については不明なのだが、ノーベル賞だとこの位もらえる?

正三位 西郷隆盛 山本五十六 柳田国男 塚田十一郎(参院議員)

陸海軍の元帥クラスでここらへん。学者、文化人は飛び抜けた業績でやっともらえる。それに比べると、参議院議員を4期務めただけでもらえるのはなんだかずるい。

従三位 中島信行 津田左右吉 金子正則(香川県知事) 島崎均(参院議員)

知事クラスは正か従の三位らしい。

正四位 坂本龍馬 中岡慎太郎 吉田松陰 東郷正児 井伊直弼 加賀昭夫(秋田大教授)

坂本、中岡、吉田は明治維新の時死者にまとめて贈位されたもの。西郷、大久保と比べるとまるきり死に損である。

従四位 吉良上野介 小泉八雲 古賀政男 双葉山 

スポーツ選手初登場。古賀もここだし、国民栄誉賞をもらうとこの位なのだろうか?

正五位 野口英世 鳥居信二郎(サントリー創業者)

民間会社の社長はやっとこのへんである。官尊民卑。野口は珍しく生前にもらっている。

従五位 蜂須賀家政 石田三成 黒田如水 岩崎弥太郎 相沢三郎(陸軍中佐) 村田義純(日本大学名誉教授)

相沢は永田鉄山を斬殺した以外はこれといって功績のない老中佐だった。中佐クラスだとこの辺なのだろうか?正四位の秋田大教授加賀さん(教授のまま急死)と日大で教授を務め、名誉教授にまでなった村田さんの差にも注目。私学より国立。

正六位 表二雄(養護施設伊奈美園創立者) 関口正(郡山女子短大創立者)

特別施設や学校を創設するとこの辺になるらしい。

従六位 伊貝壮太郎(イチテック社長) 広瀬武夫(海軍中佐)

同じ中佐で広瀬と相沢の差は歳の差なのだろうか?

正七位 和井内貞行(十和田湖開発につくした)

従七位

正八位

従八位

従七位以下では有名人などいない。226事件の陸軍少尉に従八位がいたが、他の人は中尉でも書いていないところを見ると、他の資格でもらっているらしい。(他の人はわざわざ書くのが気恥ずかしかったという可能性もある)あと、確か私の大叔父に当たる人が日露戦争で徴兵され、一等兵だったかで戦死して正八位を贈位されたと記憶している。戦死の値段が正八位ということか。

大久保と中曽根が同格と言うことから見ても、最近は濫発しているようだ。ま、どうせ形骸化してるし、死人にしか与えないから、どうだっていいともいえる。これが平安時代なら、国会議員にみんな三位をあたえていたら、全員参議(今なら大臣クラス)になってしまう。

位がもらいたいなら、文化人は不利。ノーベル賞クラスでやっと代議士と並べる。やはり議員がもっとも有利か。四位は堅い。教授でもいいかも。業績無くとも四位か五位はもらえる。その場合は腐っても国立。私学より一位は上になれる。民間の社長は損。土光敏夫は鳥居さんより上と思うが(確認できず)それは東芝社長でなく臨調のトップという資格でもらった。「長嶋茂雄は、もしもらうとすれば巨人の名選手としてでなくゲートボール協会の会長としてもらう」というジョークはマジなのだ。

結論として言えること。「いい位がもらいたければ役人になれ」

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