典型的なのが、夕飯の用意ん時に「そこのナイフとって」と言われた霧香が 何気なく「武器としてのナイフも扱える」ことを示したシーン。 ここ、気付いたミレイユが霧香をじっと見つめる時間がすこし長い。 この clue をさりげなく通過するだけの余裕が脚本屋になかったらしい。
「日々の糧、すなわち天のめぐみよ。ちょっとは美味しそうに食べたらどう?」けっこう美味しそうに食べてるような気がするけど、 「美味しいわ」という言葉が ぜんぜん「美味しそう食べてる」ようには聞こえないにもかかわらず、 ちゃんと「そんなことを言われるのは心外だ」と聞こえるとこにウケました。 桑原法子けっこー上手になったなあ。
「美味しいわ」
「.... ぜんぜんそう見えないわよ」
「そう?」
「そうよ」
当時の関係者の面影があってそれで ... ということだと、 昔のノワールの面が割れてたってことになるのでそれはない。はて。
いろいろ難しいトコなんですが、 「ノワール」という単語よか御仕事を優先したってことでしょうか。 最後まで聞いてあげたってとこが妥協点だと :-)
ミレイユは正しく(?) 相手の銃の弾切れを待ってそれから圧す、 という形を作ったので仕事の仕方に無理が少ない。同じような形が作れるかぎり どんだけ仕事しても大丈夫でしょ。そういう意味では確かに信頼に足る殺人代行業者。
霧香も銃の力量とか体術センスそのものは相当なものながら、 でも身を隠しながら進むということをしてるので 敵の探知能力と銃の腕に全幅の信頼があるわけでもない。 実際、背後からの敵に気付かんかったし。
探知をあるていどサボれる(さぼって危機に陥ってもどーにかもなる) という暗黙の自信がある形を取ってるけど、 で、銃を間にいれて首が締まるのを防いだってのは確かに凄いんだけど、 この時に部長さんが銃でも持ってれば霧香は死んでいた。 部長さんが銃を持っていなかったというのはノワールの仕事でなく 単なる偶然だから、この仕事が無事に済んだのは偶然にすぎず、 とても自信を裏付けるほどの力ではない。
こーゆー仕事の仕方してたらそのうち死ぬぞ > 霧香
撃ち合いになるミレイユのほうが殺し方イマイチに思うんだけど、 そういう意味では確かにミレイユが
「あんたの殺し方っていつも下品ね」と宣うのもわからんでもない。殺し屋が自分の命を危険に晒しちゃいかんでしょう、やっぱり。 標的に集中するでもなし無表情に 1 発だけ撃ちこむというやりかたは むしろ「上品」な部類に入るだろうけど ...
「『なべて世はこともなし』か」
暗殺の御仕事の依頼は無かったと (^^;
良い感じではあるんだけど、 このテの諧謔に親しむには、もすこし脚本屋さん側にも こういうのを描いて楽しむ余裕みたいなもんが欲しいな。 Mr. X@『アルジェントソーマ』みたいに。