『機動天使エンジェリックレイヤー』 #5 の感想

ver 1.01 (Apr 30, 2001)

粗筋
みさきの今度の相手はパワー重視。キックの直撃を恐れてみさきはポイントを稼ぐことに徹していた。 鳩子はそんなみさきを見つめ、信じてもらえないヒカルを哀れに思う ──
概観
「大会が始まったとたんに内容が薄くなった」と前回書いたとたんに内容が充実した。 ええ試合で、身震いしました。このまま鳩子主役で行っちゃってください(をい)。
アバンタイトル
気付いた時ちょうど始まる時刻だったもんで初めてリアルタイムでも観たが、 アバンタイトルのぶんだけ見落とした。
で、ビデオでここだけ観たが ... なんて説明の煩いアバンタイトルだ。 これが無くても鳩子の想いはみさきへの態度だけあれば足りる。 まあ 2 度観たらそらそーかもしれないし、順番によっては、てことかもしんないし、 鳩子より強い人、てのを説明する必要があったのかもしれないが。

ところでだな、休みの日に鳩子が押しかけて、「1 日休むと取り戻すのに 3 日かかるの」 と言われてレイヤーの部屋を開けるって問題があるぞ。「3 日かかる」のは本来プレイヤー全員に平等やろ? 個人でレイヤールーム持ってる連中に比べりゃ鳩子の行動はまだマシだが ...

控え室
... この競技、男女別、だったりするんでしょーか。身長体重年齢の区別ないのに?
みさきとヒカル
はじめて怯んだのが「ヒカルを傷つけたくない」にあるってのがとても良いっす。 つーか、これ忘れてたら怒ったと思うけど。ってあれ? この件、感想のほうには #1 に書いちゃったからまだ表に出してないんか ...

ただ、少し歪んでるか? 「直撃してもそれほどでなかった」んやろ? したら、パワー級つうても見掛けだけ ... と論理は繋がるんじゃないかと思う。 掠っただけでふっとんだ、てことからして、 「直撃してもそれほどでない」というネタのほうがミスかな? ブロック出来る ... という話に繋がってるようにみえて、そのわりに怯んでるから、 話が繋がってないし。

信じる
信じてないつーか、直撃を恐れて懐に飛び込まないとかいった ヒカルの動きを制限するようなことをすれば成長の限界点は低くなる。 「自分のできることしかどーせ出来ない」のに、さらに制約をつければそら勝てん。 ... と平たく書けばこーゆーことなんだろうが、 平たく書かないと納得しなかったりして。「信じる」みたいな抽象的かつ宗教的な言い回しは嫌い。

... ええ、おもいっきり日々実感してますとも。 「信じないこと」をベースに置くことでどれほど非効率、非能率になるかってことは。 それを覚悟してのポリシーではあるけどさ。 あ、だからツボにハマったんか、今回の話。 信じることができるなら信じてやれよ、俺には出来なかったことだから ── てことで。

みさきの方針
「ポイントを稼ぐ」というのは初心者が採る戦略じゃないっすね。 ハイレベルになればほとんどそういう闘い方になるにせよ、 公式戦もまだ 2 つ目の素人がンなことしていてはこれから先の伸びしろがなくなる。

闘いを通じて吸収する ... でなく、闘い方を先にデザインしておこうというのは どっちかってーと頭の回る人間の発想ではないかと思うが、どーかな。未来を予測する能力てな大切だが、 こーゆーワナに陥りやすい、と。 この場合、自分の方針が歪んだことを自覚しやすい(意識的にやってるから)ので、 今回のラストのように鳩子に言われて気付かない ... という形にはならんと思うけど、そーでもない?

まだまだドーンとぶつかって、ドーンと負けてりゃいいんだと思うけどね。 で、たまたま勝っちゃった、てので十分。 勝ち方が偶然であることをうしろめたく思う必要はない、どーせ偶然でしか勝てないんだし。 「必然」ということなら、エンジェリックレイヤー始めて数週間のみさきは負けて「必然」。

みさきからみて自分が勝って必然、みたいな勝ち方ができたとしても みさきの内心の問題だけだろーしな、ってことまでが今話か ... なるほど。

前回、せっかくスピード重視型の闘い方を教えてもらったんだから、今回のパワー重視(遅い)のバスケスに 使ってみてもよかったんでない?
つまり、速度に乗せて死角から体当り、とか。運動エネルギー最優先で :-)
そういう闘い方のほうが、「素直に伸びてる」という感じになって、 なんとなくポジティブでふんわりなみさき向き? 今回のみさきは本人の気質にしてはかなりネガティブであんまり直視できんかった。 これだけヘコますためには、もすこしネタふりが欲しかったかもしれない。 前回たとえばヒカルが腕をケガするとか。前回は「完勝」に近かったから、 勝ったことをうしろめたく思うにはちと弱いと思う。

鳩子
おもいっきり鈴鹿に愛情そそいでますねぇ(鳩子/鈴鹿とみさき/ヒカルの同一視)。 CLAMP がこの手の幼稚園児をよく使うのはこのあたり(愛情表現の率直さ、単純さ)が目的でしょうか ... と書いた時点ではまだアバンタイトル観てなかった。なんつーしつこい描写やねん。 で、鳩子の練習のシーンともう一人のやつのシーンは例の二つ並べて対照で表現てやつですか。 ほんとにまたやってら。

ところで、テーブルに肘ついてケーキ食べてはいけません。御行儀わるいです。 目上の呼び方もそーですが、こーゆーこともちゃんと教育しましょう > 虎太郎ちゃん。

「なぁ」
ED のかぶせ方がすばらしすぎて聴き落とかけた(つーかリアルタイムでは聴き落とした)が、 みさきのラストのつぶやきの「なぁ」に乗せた感情、ちょっとずれたような感じがする。 つぶやくタイミングの遅れは鳩子の言葉の理解が遅れたことと解釈して、 みさきは自分の戦い方を自覚してなかったってことになるのだけども、 したら「不安」(鳩子に対して中立)でなくて「疑念」(他虐的)か「弁明」(自虐的)あたりになるんでは。

鳩子に言われて、で、鳩子が立ち去っていって「なぁ」と呟くまでの数秒間、 みさきってば何を考えていたのか、あるいはその数秒後にいったい何を(とりあえず)結論づけたんだ? これだけ遅れたタイミングで呟やかせてなお何にも結論づけてないので、 みさきがかなり「バカ」に見える。

今話のみさきはどちらかといえば頭の切れる描写だったので、 みさきの人物モデルにちょっと齟齬感があった。

今回、この一言
「もしかしたら、この大会で鳩子ちゃんと闘えるかもしれないねっ」
「まさか。... 本気でそう思ってるの?」
... このテのブレークスルーは どーせいつかどこかで通過するもんなんで、ほんとは鳩子が悲しんだり怒ったりすることじゃない。
実際、虎太郎は同じように眉を顰めていてもみさきに忠告できなかった。

ゲームの表層的な目的にあわせてポイントを稼ぎにでればそりゃあ勝率は一時的にせよ上がる。 けど、全員が全員それをしてない理由というものがあり、それを潜り抜けた先に、 ゲームの奥深さとか面白さとかいったものが広がっている ... なんてことはまだ知らなくていいんだと思う。このあたりの心の狭さつーか余裕の無さ、 純粋さが鳩子の年齢からくる限界、なんでしょう。んー可愛いっす。

鳩子が感じた怒りに応じて、 みさきのコペルニクス的転回がそのうち来るんだと思うけど、 このあたりの恐怖感とかブレークスルーがかっちり書かれた話ってあんまりみないんで、 ちゃんと描かれてるといいな。

ま、でも次回描かれるのはとりあえず、みさきに裏切られた思いの鳩子の挑戦っすか。


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