東光寺だよりNo11・1997年5月号

磐余山・東光寺

〒633 奈良県桜井市大字谷381-1
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****  今月の和尚の詩  ****

    あ し も と                         山内宥厳   このごろ   育てるとか養うとか飼うとかいうと   かなり傲慢にものいってるぞとおもう   こどものことでも   植物のことでも   マニスのことでもだが…   ひとが地球に生きて当然にふるまい   太陽や大地や海が   保護者顔をしないように   ぼくの身のまわりのいのちたちも   与えられた当然の所を得ているのだ   ことしもらった数本の苗木を山に放した   インド生まれの菩提樹は   異風土のせいでか失敗つづきだが   マロニエとユリノキは   春陽のなかで無為の活力を得て   夕方には   もう朝とは見違えるように伸びている   ああいのちはかくなるひとすじのながれ   とぼくは納得する   野の草や鳥を見よ   と聖書にあるが   いのちはたまたま所をおなじくして   そこで一緒に生きることになっただけ   となりあって生きてくれるいのちたち   敵も家族もまたそうだろう   世の頑迷なおとこたちよ   おれが養ってるなどと驕るなかれ
           いのちはひとつ                           山内宥厳  ながいあいだ凍結していたペルーの事件が結末をむかえた。  人質になってしまったひとたちも関わった国家も降って湧いた災難だったが、テロに対す るに平和な手段の和解なんてものはあり得なかったろう。  しかし為政者はかれらが要求していた問題をこれで帳消しにしてしまってはならない。  殺してしまったら要求していたことを黙殺してしまっていいものではなく、たとえば監獄 のあまりにも非人道的扱いがあるなら実際に改善するべきだろう。  テロの再発を防止するには、生活が豊かになって不満が解消されることが根本の対策であ り、死を賭して訴えた魂に対する鎮魂の回答でもあろう。  いのち乞いをしていた武装集団のメンバーもいたとかいわれていて、テレビではそれを殺 したのを釈然としないみたいな意見をいうひとも見かけたが、仏教的にいってもやむをえな い帰結というべきであろう。  因をつくれば果は避けられないものである。  非情とか無情は世の常で、武装集団の連中は見通しがきわめて甘かったわけである。  プロの恐さというものを知らずに、武器を振り回しさえすれば要求が通ると考えていたの だろう。  しかし、プロがアマをみくびって失敗することも史上数多い。  ベトナムで苦杯をなめたアメリカや、アフガン侵攻をしたソ連、最近のロシアのチェチェ ンへの侵攻も相手を小国、アマだとたかをくくってみくびって失敗したケースだろう。  むだに死んだ多数のいのちの墓標と荒廃した国土が、疲弊の象徴としておろかしい戦争の あとに残される。  釈尊の伝記をひもとくと、釈尊でも防止出来なかった釈迦族の滅亡といわれている悲惨な 戦争の伝説がでてくる。  釈迦族の隣国コーサラ国の王子だったヴィドゥーダバが、少年のころに母の国である釈迦 族へ遊びにいったとき、お前の母は釈迦族の王女なんかではなくて、召使いの女が産んだい やしい女だといわれて屈辱をうける。  釈迦族はコーサラ国から王女を妻妾にと要求されたとき、見下しているコーサラに王女は やれぬと召使いに産ませた女を王女といつわってやったのである。  母の国へ里帰りした王子は、そのことを揶揄され、王になったら釈迦族を皆殺しにすると 決意する。  王位を簒奪したヴィドゥーダバが、兵をひきいて釈迦族を攻撃しようとするのを、釈尊は 三度までは思いとどまらせたが、ついにとめることのできない運命であるとあきらめ、釈迦 族は虐殺され滅亡してしまうのである。  王子の祖父にあたるマハーナマンは敵陣をおとずれて、自分がこの池に潜っている間、一 族を逃がしてくれと懇願し、みとめられて水にもぐったが、浮かび上がってこないので探さ せると、水中の木の根に長髪をくくりつけて死んでいたという。  釈尊はただ眺めているほかなかったのである。  因縁の働くところ、いかなる聖者も方向転換はできないという伝説に思えるが、現在の人 類が進化して寛容なたましいを獲得するためには、いのちに囲いや区別があるのではなく、 ともにたったひとつのいのちを生きているという実感をもてる時代になる必要があるだろう。  鉄は武器を産んだが、コンピューターは武器を放棄させ、第三文明はコンピューターを通 じて真に世界に伝播するだろう。  わが予感である。     トップにもどる

カット/中西康郎

          

*** 祈  る ***

                          岡 嶋 美 恵                        『禍福はあざなえる縄の如し』とか申します。  二月に入ってあちこちから嬉しいお便りが舞い込んだり、なつかしいお顔に出逢えたりして ルンルン気分だった私は、三月に入ったとたんシュンとしてしまいました。  それは月初めの日曜日のこと、早寝早起をモットーとしている私がいつになく夜遅くまでテ レビをみていました。  11時を少し過ぎた頃でしょうか、私の心臓がドクンと大きな音をたて、目が点になってし まいました。  交通事故のニュースです。   現場写真がアップで画面一杯にひろがっています。  即死したのは私が赤ん坊の頃からよくよく知っている一人の若者でした。  彼はうちの息子と5日違いで生まれ、母親同志は竹馬の友、偶然にも産科の病室が同じ部屋 でした。以来おそまきの新米母親同志何かと相談し合い頼りにしあって子育てをして来たので す。  彼・H君と我が家の息子は全く対照的でした。  すぐに体調をくずして入退院をくり返すひ弱な息子に比して、H君は風邪一つひかずどんど ん背丈が伸び体重が増え、元気そのものまるで金太郎さんのような男の子でした。  成長してからも親思いの働き者で自力のみで大学を出ましたが、卒業と同時期、数年来患っ ていた父親が亡くなり一家の大黒柱として家を支えて来たのです。  母親自慢の出来のいい孝行息子だったのです。  【生者必滅・会者定離】は仏教の根本原理です。       そんな言葉は知っていても不意打ちを喰うと『なんでこんなことに!!』とただオロオロして しまうのです。  『とても葬儀などに顔が出せない。私の心臓がこわれてしまうわどうしよう』とくり返しつ ぶやくだけ。  そうだ49日が済んだらお線香をあげに行かせてもらおう、と思いつつ暦をみていた私は又 もやショック。49日の法要の日は彼の誕生日にあたるのです。  この世の中は理屈だけでは説明しきれない何かの力が働いているようです。  法句経の中にこういう言葉があります。    【わたしには子どもがいる。     わたしには財産がある。     愚かな者は、そういって心を悩ませる。     けれど私だって、ほんとは私のものではない。     だったらどうして子供がわたしのものだろうか。        財産がわたしのものだろうか。】  たしかに法句経にいうように子も財産も自分のものではないのです。  何かからある時期恵まれているもので、やがてそれは取り上げられてしまうでしょう。  借りているのかも知れません。借りたものはいつか返さねばならないのです。  頼りには出来ないのです。  頼りになるのはそれらを一時にせよ貸して下さる    「大いなるもの」だけではないでしょうか。  このように瀬戸内寂聴尼は法句経をやさしく、わかり易く説いて下さっています。  私達はこの大いなるものを見失わないためにも、日々をあくせく過ごし、心を千々に乱し自 分の自分であって自分でないような、心もとない暮しから抜けださなければと思うのです。  【人身受け難し、仏法会い難し】という言葉もあります。  人間に生まれわずかながらも仏法に出逢えた私は幸運な人の部類に入るのかも知れません。 しかし慰めることばもすべもない友の不幸をおもえば、居ても立ってもいられない。  胸に迫ってくる痛みは、ものは思いようぐらいですまされるような、なまやさしいものでは ありませんでした。  とりあえずお香を焚き、彼のことに思念を集中して座りました。  般若心経を唱え、家族の上に心を残して逝ったであろう彼のことをなにとぞよろしくと阿弥 陀様にお願いすることしか出来ない私でした。  このような哀しみから救われるために仏法は説かれたのでしょうか。  そのためにひとは祈りをささげるのでしょうか。  あってはならないことが起こらないために祈るのでしょうか。  ほんとうに借りていたものをお返ししただけでしょうか?  納得しがたい思いとたたかいながら祈るのです。   合 掌                                                                      【童游山/楽健寺@岡山】 トップにもどる
  【天然酵母パンの4半世紀(3)】              

無視されるもの

                           山内宥厳  天然酵母パンをテーマにこの文章を綴ってきたが、現代のパンイーストによるパン作りの方 法論、思想は、ただパンにかぎらず今日の食品産業、農業から、工業、医学、にいたるまで現 代科学の思想、方法論の上に成り立っている。  科学的な思想方法論は二十世紀の人間生活の土台を強固にかためて、それなくしては今日の 先進諸国の発展は約束されなかったろう。  しかしこの発展の陰には、非情なまでのおおきな犠牲が払われてきたのである。  科学は、根源的に大切なものにたいして、思考を深めてきたのではなく、目先の方法論や技 術の発展に汲々としてきた。  人間のくらしのありかたが、本来如何にあるべきかという考察などなしに、いきなり先進技 術や新しい食文化などを旧来のくらしのなかに持ち込むと、一時は何かが良い方へ変わったか に見えても本質は生活を根底から破壊してしまっていることが多々ある。  そういう例は枚挙に遑がないが、いま日本中のこどもたちを苦しめているアトピー性皮膚炎 にしても、その一例である。  アトピーという言葉は《なんだかよくわからない》という意味のギリシャ語だそうだが、ア トピー性皮膚炎は、敗戦後の日本の食生活と環境の急変の結果もたらされた病気であることは 間違いない。  戦後の日本人は西洋人の食生活に比して、肉食の不足、牛乳の不足が叫ばれて、高蛋白質、 高カロリーの食品を摂取することを盛んに奨励されて、肉食大好き、牛乳、卵大好き、野菜大 嫌い人間を大量生産してきた。  アトピー性皮膚炎はまさにその真っ只中に育った世代と、その二代目世代の不幸な産物であ る。明治生まれ、大正生まれ、昭和一桁から戦争中に生まれた世代には、アトピー性皮膚炎は ほとんどない。  ちなみにインド、ネパール、スリランカのこどもたちには、アトピー性皮膚炎などという病 気はほとんど見られない。アメリカも多くはないということだ。  世界中の国について、アトピー性皮膚炎の有無を調査したら、なにがアトピーをもたらした かということは、たちまちはっきりするに違いない。  アトピー性皮膚炎は、多様な生活の変化によるストレスと、とりわけ動物性蛋白質の過剰に よって、筋肉の硬化を招き、血液と体液の循環が阻害されて、強い便秘を伴って、不浄物を十 分に排出できなくなり皮膚から、湿疹として不浄物を排出しているのである。  私は楽健法を長年提唱し、その普及に努めてきたがそこで出会った多くのアトピー性皮膚炎 のこどもたちは、例外なく上記の状態を示していて、楽健法で筋肉をゆるめて循環をよくして やり、食生活を意識的に変えると、短時日で回復するものである。  どうしてこれをアトピーなどと名付けて平気で首をひねっていられるのか、現代医学の無知 蒙昧とでもいおうか、不思議極まる不幸な眺めである。  食生活がおおくの病気の引き金になるということは知っているが、東洋医学の食の考え方や アーユルヴェーダ医学の食の考え方と、現代の西洋医学的立場の食の考え方は大巾に異なり、 現在われわれにあたえられて指針としている栄養学は、栄養はおおく摂るほど良い、という大 原則にのっとっている。  食べなければ病気になると考える。  高栄養のものを、バランス良く食べたら健康で、白人にも互して遜色のない身体を作り得る と奨励しつづけていまだやまないのが現実である。  これは、欲望充足を優先するという考え方で、多く食べて、他人よりより大きく、早く大き くな〜れという思想である。  佛教の教える食べ方では、腹六分目などというが、セーブすることよりも、与えることと与 えられることを優先する日本のような社会では、物も胃袋もつねに満タンにせずには納得しな いのである。粗食の効用など迷信扱いである。  食べたいだけ食べて、やりたいことをやり、病気にでもなれば、そこは都合よく医者が引き 受けて治してくれる。  基本的にそんな考え方で暮らしている日本人に、粗食で小食などということを説くような、 食生活についての東洋医学的な考察は無視されて一笑に付される。  癌による死亡が年々増えていっても、こどもの成人病が増えていっても、原因は顕微鏡のな かに発見すべきことがらで、環境も含む食生活など問題とはしない。  医師であれ患者であれ、ほぼ同程度の意識しかもっていない。  いろんな病気の特効薬を研究するが、おなじような環境に暮らしていても、病気にかからな い人とかかる人との差はどこにあるのかは考察しようとしない。  世界の長寿国などといって日本人は良好な健康な生活を送っているように思っているが、こ れはつかの間の錯覚、幻想である。  年間の死者数が何倍にもなる多死時代は目前で、医学はその在り方を根底から問い直さざる をえない時が訪れるだろうと、悲しいかな私の見通しは明るくないのである。 トップにもどる
          【短信・おたより・往来】        ▲天然酵母パン種の管理の方法▼  信州も桜が見頃にとなりその他の花も一斉に咲きそろって良い季節となりました。  毎回東光寺だよりを楽しく読ませていただいております。  和尚さまの詩が好きです。  ひとりで納得してそうだわと思い読んでおります。  今月号は楽健パンがのっていて、うれしく読みました。  昨年六月三日にいただいた酵母を大事にして、現在も健在です。  せんだっては 電話で教えていただいた通りに保温してやりましたら、良い匂いがするよう になりました。ありがとうございました。  パンも少しは上手に焼きあがるようになり、友人たちに試食してもらったりして、「おいし い」と言われるようになりました。  佐藤美和子さんからも上手になったとほめられましたが、一寸気をよくしすぎたのと、馴れ で油断したためか、酵母だねが醗酵しすぎでしょうか、酸っぱい味になっておりびっくりしま した。  応急手当としてハチミツを多い目にいれましたが、甘みのなかに酸っぱい味が残っていまし たので、リンゴ、人参、玄米ごはんと水をいれ、ミキサーをまわし種のなかにいれました。  粉はいれませんでした。  種が盛り上がって来てるので、大丈夫かな?と思っているところです。                      ---以下略---  【柳田幸子@長野県】   <アドバイス>  パン種作りのこつは新しい新鮮な材料をたっぷり使って、残しておいたスターターをすこし いれて醗酵させると酸っぱくならずよいパン種ができます。  前回に残しておいたパン種の分量が多いと、もったいないからと思って、加える材料のほう がスターターより少ないということについなりがちのようですね。  そうしますと酸味が増してくるのです。  パンだねはたっぷり作ってあまったらお好み焼きに使ったり、味噌汁の具にパンだねいりの 団子をつくっていれたりして酵素をおおいに利用しましょう。  水で薄めて野菜の畑にいれてやっても、地味が肥えてきます。  パン作りは回数がふえるにつれて失敗しないようになってきます。  パン作りが面白く楽しくなるともう一人前です。自前のパンはとてもうまいですね。【宥厳】  ■天然酵母パンページへ
           

シャルマ教授の健やか人生講座

 シャルマ先生に人生講座を開いて頂く企画をたてました。  ヒンズーの占星術で占っていただき、トリドーシャの診断もしていただいて、あなたの運命 と体質に合った瞑想と、内面的な安定と向上のための生活指導をしていただきます。  詳細は同封の案内状をご覧ください。  人数制限がありますので、早めに申し込んでください。
  ホームページ@インターネット  毎月の東光寺だよりには定期的にアクセスしてくれている愛読者が何人もいることがメール でわかりました。  アーユルヴェーダのホームページにはシャルマ教授の朝日カルチャーセンターでの講義のレ ジュメを英語と日本語でのせています。  アーユルヴェーダの勉強にインドへ留学したいという問い合わせなどもはいっています。  高松の詩誌、しけんきゅうも128号からそっくりホームページを開設しました。  編集のさやまりほさんが、オアシスで入力したものをDos変換することに成功して実現しま した。  ぼくの過去の作品も順次アップしています。  インターネットはさかんのようにいわれていますがこなせるひとはまだわずか。  未来の未知の能力を秘めたまま叩かれたりしています (+_+;
  【 一年たちました 】  このサイズで東光寺だよりに取り組んで一年が経過しました。  なんだか光陰矢の如しを自分で組み立てているような質の時間でした。  経費がかかりすぎることに気づいてオフセットを入れたりして節約を工夫しましたが、収入 に見合わぬ企画を遂行しているわけです。  隔月にしようかなどとも考えていますが、いますこしやってみます。  振替同封いたしますので購読の申込の継続、またはご寄付をご志納いただけるとありがたく 、よろしくお願いいたします。  千五百円ではひとりあたりの実費に満たないので、二千円に改めます。  消費税便乗ではありません。感想などお送りください。
            東光寺の月例祭       5月21日 (水) 11時・弘法大師護摩加持祈祷       5月28日 (水) 11時・不動明王護摩加持祈梼          毎週(土) 午前中病気平癒護摩加持祈祷                             今月の教室         5月24日(土)午前中は病気平癒加持祈祷        午後1時から東光寺寺子屋・説法・を行います。       楽しい談話をしながらいろんな勉強をしましょう。              楽 健 法           5月25日(日)・楽健法講習会・           10時から講義。1時から実習。          講習会費、5000円。昼食接待します。        人数は8名までです。早めに予約してください。             申込 tel&fax 07444-6-2410       e-mail  be5y-ymnu@asahi-net.or.jp       ==== 東光寺だより第10号おしまい ====
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