東光寺だよりNo10・1997年4月号

磐余山・東光寺

〒633 奈良県桜井市大字谷381-1
tel&fax 07444-6-2410


****  今月の和尚の詩  ****

                *** 東 光 寺 だ よ り ***                 第10号  1997年4月号                                 <今月の和尚の詩>    ■ 成  就 ■                           山内宥厳  成長する  成功する  進歩する  生きていくとは  今日ではない明日のなかに  なにかを賭けて待ち受けるものだ  自分の果たせなかった夢を  こどもにまで託したりして  ラジオしかなかった過去から  マイカーとパソコンを操る  未来都市の今日まで  半世紀以上を  いつもあしたになればとおもいつつ  ぼくもまた生きてきた  惨憺たる破壊を重ねた時代をあとに  変化と進歩と豊かさとが待つあしたに向かって  手に入れてしまえば  夢見ていたものも  多くの不都合や不合理や矛盾があって  原発からやってくる電気のしたで  そんなものはなくてもいい…から  それはないほうがずっとよかった…まで  ひとは意見を闘わすようになった  釣った魚に餌はいらぬとむかしよく耳にしたが  釣られてなんでも手にいれたはずのぼくらは  見えない釣り人の餌を嗅ごうと  電脳の箱たちを今日も凝視めている
             ■ 時の流れゆくさきに ■                             山 内 宥 厳  悲憤慷慨するということばがあるが、最近の世相を眺めていちいち心底からむかつい たり腹を立てたりしていたらからだがもたない。怒りはなによりからだに毒である。  幸か不幸かいまの日本人は怒ることを忘れてしまい、まことに従順な冷淡族がふえて きた。  政治に不満があるからといって、プラカードとはちまき装束で国会を取りまくような いきどおりをぶちまける人種はいなくなった。かとおもえば宮沢賢治の流行がまさか行 動にまでおよんでいるわけでもないだろうが、神戸に地震、北に油が流失したと聞けば 、行ってボランティアをやったりする。  阪神大震災以来、日本人の新しい行動様式がうまれてきてボランティアは一種の流行 のようにも見える。  流失油はところによってはボランティアの接待に疲れるので、お断りしようという町 もでてきたくらいである。  一貫しているのは政治家や官僚たちで、庶民がボランティアなどといって走り回って いるのを尻目に、返済の見通しもない借財予算を奪い合ってはだれかの懐を肥やしてい る。バブルを産んだバブル政治には歯止めがない。  岡光次官が莫大な保釈金を支払って(よくもってるものだね)出てくるところを先日 テレビで見たが、平然としていて、さすがに根性が庶民とは違うと感心した。  服で顔をかくして車にかけこむような恥ずかしげな様子など露なしである。  恥を知るなどという心はとっくに死んでいる。バブルの虚栄が育んだ分厚い面の皮で レベルはかの尊師なみ。  見ているほうもあんなもんだろうと思って嘆かわしいとも思わない。  人間は如何にあるべきかなどと考える前に、上部構造の人間はいかなる行動をする生 き物であるかの実例をいやというほど積み重ねて見せられてきて、諦観をしっかりと日 本人が身につけたのが投票率に反映している。  だれがどこへ人間を導こうとしているのか。  自然とか共生とかのことばが飛び交うのが世界的な現代の風潮だが、ことばが流れて いるということは、反自然、反共生が加速しているという現実があるからである。  反自然の象徴は原爆(原爆も使わなければ安全です?)と変わらない原発の存在で、 こんご二十数万年間にもわたって密閉管理しなくてはならない放射能廃棄物を作り続け ようというのだから、言語に絶する楽天思想である。  自然の営みで分解できず、天文学的時間を待っても安全なんかにはまず縁のないもの を作り出すなどは狂気の沙汰だ。時代は変わり人間はかならずや変節する。  あの密閉空間に反対する邪魔者を閉じこめておけ、なんていう暴君が出現しないとい う未来の保証などどこにもないし、現代人と隔絶して新生した人類が将来あらわれて、 なにも知らずに蓋をあけて研究しはじめるかも知れない。われわれが古代史研究と称し て二千年にもみたない先祖の墓暴きをしているみたいに。  人間界とはそうしたものだ。  原発の事故なんかの右往左往ぶりを見ていると、上から下まで管理能力を全く失って いることが明白で、「ことなかれの秘密主義」に徹していて、事故をかるく見せかけて 【ああいわれればこういおう】という姿勢だけが一貫共通している。  何十万年にもわたって持続する管理能力が人間にあるだろうか。  原発はいずれすさまじいダメージを受ける事故が近々起こるだろうという予測をもっ てわれわれは生活を送るべきだろう。 
       

ビッグニュース

             山内幸子著【二人ヨーガ・楽健法】ライトプレス社刊                    ベストセラー←No2→入り                 東京・ナワプラサードのベストセラー           朝日新聞4月6日(日)読書欄によると楽健法の本がナワプラサード           でベスト2の売れ行きと紹介されました。ただしここの書店は精神世界           やエコロジー、自然療法などの書店とか。何万冊と売れるベストセラー           とは違いますので、ちょっと安心です。ビックリニュースでした。                        
  

 *** 春 う ら ら *** 

                           岡 嶋 美 恵                           久々に嬉しい便りが舞い込みました。  「遠く阿讃山地は白く輝いているものの、南向きの大きな窓の外では白梅がポツリポ ツリと開いており、朝には山鳥がつがいでやってきます。  山あいの産院には春遠からじの感が一層強くいたします。2月×日男児が無事産まれ ました。  偶然出合った助産婦さんに思い掛けない程自然の有様を学ばせて貰いました。  50才過ぎの素朴で利発で誠実な助産婦さんとの出産で、ひとつひとつ確かめるような 納得のいくお産となりました。  胎盤も卵膜もへその緒も自分の目であるいは手で確認させてもらい、話してもらい、 多分スピード量産、お医者様のご都合が優先し勝ちな病院では考えられない程素晴しい 経験でした。  宏明と命名しました。三男坊らしく既に踏まれたような顔をして出てまいりました。  宜しくお願い致します。――中略――ここの食事はとても普通でおいしいです。  帰ったら家族にちゃんと食べさせなければと思います。  つくづく、とりあえず御報告迄。                                産院にて、M子」  今でもこんなすばらしいお産もあるのですネ。  いつも前向きで今で云うプラス思考優先の彼女への神様からのプレゼントかも知れま せん。  彼女は第1子の現在中学生のお兄ちゃんがまだ幼稚園児だった頃、次の子が欲しいの だけど授からなくてと私の教室にやって来た人です。  三年余りも頑張ったのですが妊娠する気配もなく、あきらめかけていた折、第2子を 授かり可愛い女の子を出産しました。  臨月のこぼれ落ちそうなお腹をかかえ、カンカン照りの真夏陽の中を汗びっしょりで 3キロ余りの道のりを予定日寸前迄通って来られた人です。お産も軽く母子共元気で家 族はもちろんのこと友人知人皆んなが よかったよかったと大喜びしたことでした。  蝶よ、花よと可愛がられた女の子は大甘ちゃんで3才になってもママのオッパイにぶ ら下がっていました。  その頃M子さん一家はご主人の東京転勤で川崎市に移り住むことになりました。  川崎市とはいえ、郊外の山手の方は緑も多くまだ自然がいっぱい残っていてM子さん 一家は全員その地をとても気に入っていました。  二駅先に安くて品物のいいストアがあるので女の子の手を引いて買物に出掛け、一駅 手前で降りて一駅分歩いています。  時々小鳥のさえずりが聞こえ、風がさわやかでとても気持がいいですよという便りが 届いたこともあります。そのうち、全く思いも掛けず第3子の男児を授かり、その地の 老練の助産婦さんにまるで魔法をかけられたような感動的なお産をしましたとの便りを いただきました。ほどなくして6ヶ月位の坊やを抱いてご主人の再転勤で故郷の地に帰 ってこられました。  この坊やがそろそろ2才になりましょうか、かって大甘ちゃんだった女の子はすっか りしっかり者の幼稚園児になり“わたしはネ、伸クンのアネ(姉)”と自己紹介してま す。この度の三男坊は第4子です。  今日本では1組の夫婦の出産率が1.43人とかで2020年代には、日本の人口は 6000 万人になるだろうと危惧されているそうです。  ですからこの度の彼女の出産は快挙だと心より拍手を送りたくなってしまうのです。  私は一応ヨガの指導者ということになっていますが、本当のところは教室の皆さんに 教えられることばかりなのです。皆さんに育ててもらっていると申しましょうか。  M子さんの便りの終りの部分に“ここの食事はとても普通でおいしいです”とありま す。  今各家庭でこの普通でおいしい食事をなさっていらっしゃる方が何人おいででしょう か。今は、フツーがとても難しい世の中で、大抵はお手軽に流されてしまうか又は健康 志向過剰でこりすぎているかのように思えます。   イスラムの古い言い伝えの中に“怒って食べるものはみな毒に変ってしまう”という のがあります。  大勢で楽しく食べれば薬膳になりましょう。  私は以前お遍路さんで阿波路、讃岐路を何度か歩いたことがあります。  四国路の春は桃源郷かと見まがうばかりに桃の花が咲きみだれ、菜の花が風にゆれま るでタイムスリップしたような、のんびりした風景で、いのちの洗濯が出来ました。  桜井の東光寺山にも、四国路より少しおくれの春がすぐそこまで来ていることでしょ う。裏山の灌木の林が芽吹く頃はそこらあたりに春の香りがたちこめて思わず深呼吸を 楽しんでしまいます。  又磐余堂のまわりには黄色い小っちゃなタンポポの花がいっぱいいっぱい咲きますよ ネ。山頂の不動堂の石のお不動様は、いかつい体とお顔をしていらっしゃるのに何故か ユーモラスで つい こんにちわ とお声を掛けたくなります。  表参道の石段から本堂の前庭、奥庭にかけて散在する八十八ヶ所お地蔵様はとてもや さしいお顔をしてらして、ほほえんで迎えて下さいます。  Spling has come.皆さん東光寺山へお出掛け下さいませ。  自然を楽しみましょう。  そして何てことない会話を楽しみたいですネ。  風はまだまだ冷たいのですが陽射しはうんと明るくなって参りました。  春遠からじです。      【追伸】  先だっては岡山でおもいがけず久々にお目にかかれてうれしうございました。  先生はお顔が小さめで立体的構造でしょう、それにあのフアッションですから、私は “あっロシア人が入って来た!”と思いましたよ。  お顔色が透明感があって、お声がはっきりしてらして、あゝとてもお元気なんだなと 思いました。  パソコンという特効薬の故でしょう、多分。  先日は早速に楽健寺からおいしいパンを届けていただきまして有難うございました。 久しぶりにおいしいパンをいただいて大満足、朝食が楽しみなこの頃です。  最近、とみに市販のパンの質が落ちてきたと思われます。  楽健寺パンしかお口になさらないから、おわかりないかも知れませんが、生クリーム 入りとかカルシューム入りとかダブルソフトとか、うたい文句が派手になるに反比例し てベタベタパンばかり。  パンのまずさをカバーすべく?コーンマヨネーズだとかをぬりたくったり、トッピン グと称するパン用ふりかけのコマーシャルを見ているだけで気持わるくなってきます。  前号の先生の記事を読んで教室ではパン談義に花がさいています。  先生がパンを作り初めて四半世紀もたった今頃になってやっと気づいたかのように。                     合 掌               
            *** フォーカシング入門 ***                 土 江 正 司  あなたは「内なる声」に耳を傾けたことがあるでしょうか。それとも「内なる声」 が 存在することさえ気づかず、知識や常識や、(自分または他人の)頭で下す判断 に頼っ て日々を過ごして来たのでしょうか。  フォーカシングとはこの「内なる声」に耳を傾けることに他なりません。その声は 「自然語」で語られています。  自然語とは生物、無生物、動植物を問わず、自然界 に存在するあらゆるものが共通に 話すコトバ、いやコトバ以前の情報の塊です。  だ からフォーカシングができるということは、まず第一に自分の内なる声が理解でき 、そればかりか他人の内なる声や、自然界のあらゆるものが発している怒声や囁き 、慟 哭や微笑を理解できるということなのです。  「内なる声」というときの「内」とは、心と身体が未分化に複合している、「心身 の 真ん中」を意味し、場所的にもそれは、「胸やおなかの辺り」を指しています。  この「真ん中」は常に何かの「感じ」を持っており、それが私たちの言葉や行動の 源 泉となっています。   例えば、真ん中がさわやかで、気持ち良い状態のとき、私た ちは笑顔がこぼれ、周り の人にやさしくなれて、足取りは軽く、言葉も穏やかにな ります。逆に、真ん中が重苦 しい感じのときは、顔は暗く、足取り重く、周りの人 に無関心であり、否定的な言葉が 頭の中を渦巻きます。真ん中がとげとげしている ときは、顔に怒りの表情を浮かべ、理 屈に合ったことをしゃべっているようでも、 言葉が攻撃の武器と化しているのです。  この「真ん中の感じ」(または「内的雰囲気」と呼んでもよいと思いますが)のまま に生活する分には、私たちは「自己一致」していると言えるでしょう。  つまり内 的雰囲気と外側に現れる言動が一致しているわけです。ところが社会生活を 送る私 たちは、真ん中にとげとげした雰囲気を持ちながらも笑顔を見せなければならな か ったり、重苦しい雰囲気を持ちながらも陽気に振る舞わなければならなかったりする ことがしばしばです。この自己不一致に自分で気づいていればまだ救われるので すが、 多くは気づくこともなく、ストレスで心身をすり減らしながら生活している のです。  といって、子供のように、重苦しいときは重苦しいままに、とげとげしているとき は、 とげとげのままに振る舞うのでは、社会的不一致によりやはりストレスがたま ります。  しかし、真ん中がさわやかであれば、無理なく自分らしく振る舞っている だけで、自 己一致も社会的一致も同時になされるのですから、自然に笑顔になり、 元気いっぱい働 いたり遊んだりできるわけです。  また、真ん中のさわやかさが、あなたのベースの状態になっているなら、ときどき 重 苦しさや、とげとげがやって来たとしても、ちょうど天気に晴れやくもりや雨や 風や雷 があるようなものだ、雲の上には太陽が照り輝いているのだと、軽く受け流 す余裕もで きることでしょう。  そして私は思います。どんな人の真ん中にも太陽が照り輝いているのだけれど、それ を覆い隠す雲が私たちに太陽の存在を気づかせなくしているのだと。ですから、 さわや かさとは、常に真ん中の太陽に気づいている状態、太陽からエネルギーをも らい、生か されていると気づいている状態のことを言うのです。  そして雲は自我意 識から生じるものです。  つまりフォーカシングは自我のコントロール、仏教やヨー ガでいうところの「滅我」 に大きく貢献するものです。  それではフォーカシングのやり方の概略を説明しましょう。まずは「間を置く」段 階 です。楽に座って、ゆったり呼吸をします。今、何が気になっているでしょうか。  思い浮かぶ一つ一つをイメージの中で箱や袋に入れて、部屋のあちこちに置いて やり ます。  次は「真ん中の感じ(フェルトセンス)に迫る」段階です。          間を置いた後の真ん中 の感じに気づいてみましょう。  重苦しいですか、とげとげしてますか、それともさ わやかでしょうか。  その感じは、どれくらいの大きさであなたの内側に存在してい るのでしょうか。  重さや色や形はどうでしょうか。それは先程間を置いた何と関連 があるのでしょうか。  ここまでは自分一人で行うことが可能ですし、ここまででも十分意義のあるフォー カ シングと言えます。ここからは傍にトレーニングを積んだ聞き役(リスナー)が いた方 がうまく行きます。  リスナーの誘導により、真ん中の感じに対して様々な働きかけを行い、感じをさわ や かな方向へ変化させて行きます。これが「フェルトセンスのシフト(変化)」の 段階で す。シフトが止まったら、その感じを「自分のもの」として受容します。これが「受容」 の段階です。この時点で、真ん中はすっきりさわやかな感じになっています。  感じだけではなく、体の疲れや、肩こりまでが消えてしまうこともよくあ ります。  そしてここまでのフォーカシングによって気づいたことを再確認し、従来の行動パター ンを変化させる必要があるかどうか、リスナーと共に検証するのが最後の「行 動化の段 階です。  フォーカシングを意識しなくても、一人静かに座って目をつむって楽にしているだ け で、「内なる声」は雄弁に語り始め、あなたに気づきを与えて、さわやかにさせ てくれ ます。  頭が邪魔さえしなければ、心には素晴らしい自浄のエネルギーがある のです。  フォーカシングは、このエネルギーを利用した心理療法と言えるでしょう 。                          【パタンジャリヨーガ研究所@松江】  
                  ★東光寺の月例祭☆           4月20日 (日) 11時・弘法大師護摩           4月27日 (日) 11時・不動明王護摩              病気平癒護摩加持祈祷            電話Faxでも受付しています。              護摩申込受付中。3千円から。            添護摩は一願につき一本 2百円。          ・家内安全・病気平癒・交通安全・商売繁盛・         東光寺と楽健法にご縁のかたはぜひお申し込みください。            ご祈祷のお札をおくらせて頂きます。                              ** 今月の教室 **          4月26日(土)午前中病気平癒の加持祈祷。         午後1時から東光寺寺子屋・説法・を行います。        昼食接待。天然酵母パン試食していただきましょう。            4月27日(日)・楽健法講習会・          11時から不動護摩祈祷。1時から実習。       講習会費、5000円 電話で事前に申込んでください。            
            ◆天然酵母パンの四半世紀◆                        山内宥厳  食品に黴が生えてきたら食べられないということは常識だが、パンにももちろん黴が生 える。  現代のケミカルイ−ストで作られたパンは、防腐剤を使っていてもあまり日持ちしない 。もちろん防腐剤の使用量を増やせば、黴が生えないようにできるが、防腐剤は生き物を 殺す目的で作られた毒薬で、食品添加物としてのの許容量は厳しく決められている。  市販のパンは夏場だとその日のうちに食べてしまうべきで、保存料をいれなくては三日 ももたない。  パンは足の早い食べ物だと思っていて間違いはない。  しかし、楽健寺の天然酵母パンはけっして足のはやい食品ではなくて、日持ちがきわめ ていい。 夏場でも一週間は黴がやってこない。  天然酵母パンを試行錯誤しながら作りだして、はじめに気付いた不思議が、なぜ町のパ ンは足が早く、天然酵母パンは日持ちがいいかということであった。  もちろん天然酵母パンには、食品添加物は一切使ったりはしない。  楽健寺で作るパンはリンゴ、長芋、人参、玄米ごはん、砂糖、塩、小麦粉、水、でこれ らの材料ををジュ−ス状にして味噌よりやや柔らかく調整し、醗酵させる。  これをパン種とよんでいる。  醗酵のスタ−タ−はいつも前回のパン種を一定量残して次回に加えていくのである。  いちばん最初はどうするのか?とよく聞かれるが、小麦粉は「水一/粉一」の割合であ らくまぜて三〇度Cで一夜以上保温すると醗酵してくる。  これに上記の材料をいれて、醗酵させるのを何回もくりかえして醗酵力の強いパンだね にそだてていくのである。  醗酵がさかんにになるとパン種はぶくぶくと泡をだして、顔を近づけると、プ−ンとア ルコ−ルのいい匂いがしてくる。そうすればパン種は出来上がりである。  パン種に使った材料の糖分を酵母が分解して、アルコ−ル醗酵している証拠で、こうい う香りがしないとパンも美味しくない。  パン種が酸っぱい香りになったりすると、酸味の強いパンになってしまう。  こうしてうまく醗酵したパン種をもとに、ドウ(パン生地)を捏ねる。  このドウをまた醗酵させる。  醗酵時間は2時間10分以上かける。  これを第一次醗酵というが、この作業がケミカルイ−ストだと、添加物を使わないと 45分かかり、醗酵補助剤を使うと、時間は好きなように短縮できるのだ。  30分でも15分でも最短7分までも短縮が可能なのである。  天然酵母パンの2時間10分以上の醗酵というのは、酵母という微生物が、与えられた 栄養物を分解して、別の化合物に変化させている時間なので、この行程を経て、酵母は分 裂をくりかえして爆発的に数を増やし、酵母自身も高蛋白質の栄養食品と育っていくので ある。  ケミカルイ−ストの場合は、使った材料を時間をかけた醗酵によって、別の化合物に変 化するというプロセスが手抜きされて、単に酵母がだす炭酸ガスを利用して水で捏ねた小 麦粉を膨らませているだけで、醗酵ではないのだ。  天然酵母パンになかなか黴が生えず、市販のパンにすぐ黴が生える理由は、じつはこの 醗酵が本物であるか、膨らますために炭酸ガスを利用するだけのインスタントであるかと いう差に秘密がある。  醗酵とは、使用した材料を微生物のはたらきによりまったく別の化合物に変化させるこ とであって、小麦粉を水で捏ねて膨らませパンのかたちに焼きあげることをいうのではで はないのである。  ケミカルイ−ストのパンにすぐ黴がつくのは、酵母が材料を膨らませただけで、分解し て別の化合物に変化させていないためで、じつは黴も酵母も同じ栄養を培養基として育つ ため、天然酵母パンのように醗酵が十分に行なわれた場合は、微生物の栄養を酵母が分解 してしまって黴のための栄養が残っていないからである。  醗酵によって材料を別の化合物に変えていくことを、醗酵がすすむというわけで、いい 味わいに醗酵してくることを熟成するともいう。こうして熟成させた、ふかい味わいとフ レ−バ−(かおり)をもったパンが天然酵母パンと呼ぶ資格を獲得する。  天然酵母パンといって売られていても、ケミカルではない酵母菌をつかった似非(えせ) 天然酵母パンが増えているのは残念である。  その手のパンやケミカルイ−ストパンではこのかみしめるほど深くなる味わいは絶対に でてこない。   自然にものが育つには、必要な時間を必要としているので、人為的に自然の営みを短縮 などするといいものはつくれないのである。  パンだけの問題ではなく酒、味噌、醤油、漬け物など醗酵食品といいながらも検証に耐 えないものが市場で巾を利かせているのが現状である。  参考資料/楽健寺の天然酵母パン4半世紀(3)へ東光寺だより11号           ==== 東光寺だより第10号おしまい ==== topにもどる

  ■天然酵母パン/ページへもどる                     

感想をお寄せください!

名前:
e-mail:
タイトル:
メッセージ:



目次へ

アーユルヴェーダ

アーユルヴェーダ
プロフィル
・Vow・編集部
セキセー株式会社のホームページおそうしき

老齢化時代の家庭看護案内・My Doctorのホームページ