詐欺事件の被害者が、さらに、詐欺に遭う
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国際ロマンス詐欺
独身の紗香(42歳)さんは、結婚式の費用として、700万円を、恋人、
外国人の彼に預けていました。ところが、最近は、彼からのメールが少なくなり、結婚式もいつになるかわからない、という状態になってしまいました。
紗香さんが、結婚式について、メールをしても、返事がなくなりました。国際ロマンス詐欺でした。
彼に不信を抱いた紗香さんは、ネットで相談しました。相談に乗ってくれたのは、○○法律事務所の事務局長でした。そこで、紗香さんは、○○法律事務所と契約し、着手金77万円を支払いました。
事務局長は、初めのころは、話を熱心に聞いてくれました。紗香さんは、弁護士と直接話をしたいので、弁護士との話を求めました。その結果弁、弁護士と2回話ができました。
しかし、一向に騙されたお金は戻ってきません。事務局長から、説明もありません。
紗香さんは、弁護士会に、紛議調停の申立てをしました。紛議調停
弁護士会では、○○法律事務所の代表弁護士が出頭しました。その時点で、700万円は、シンガポールにありました。
紛議調停委員が、「お金を取り戻せる可能性があるか」と尋ねると、弁護士は曖昧な返事をしました。お金を取り戻せたことがあるのは、何件くらいかの質問に対しても、明確な回答はありません。
その弁護士は、77万円のうち、約半分の35万円を返還する解決案を提案し、その旨の調停が成立しました。
弁護士詐欺の疑い
現在、○○法律事務所に対する類似調停は、10件以上あります。ロマンス詐欺、投資詐欺の犯人から、お金を取り戻す事件の着手金取り戻しの紛争です。
外国にあるお金を、その国の弁護士の関与なくして、取り戻すことはできません。〇〇法律事務所は、シンガポールの弁護士と業務提携していません。日本の弁護士ではシンガポールから700万円を回収できません。それを可能なことを前提とした○○法律事務所の委任契約書は、詐欺の疑いがあります。着手金詐欺です。弁護士報酬の説明義務にも違反しています。
代表弁護士は、日本の最高学府出身です。しかし、学歴で弁護士を信頼することは、誤りですね。
○○法律事務所は、弁護士1人につき、従業員5人です。従業員は、弁護士の名前を使ってSNSで顧客を集めています。
弁護士が懲戒処分に
最近、類似事例で次のような広告がありました。
懲戒処分の公表
本会は下記会員に対して、弁護士法第57による懲戒処分をしたので、お
知らせします。
記
被 懲 戒 者 〇〇 〇〇(登録番号54318)
登録上の事 務 所 東京都港区西新橋1−6−12
アイオス虎ノ門1003
SSC法律事務所
懲 戒 の 種 類 業務停止6月
効 力 の 生 じ た 日 2025年11月4日
懲 戒 理 由 の 要 旨
1 被懲戒者は、令和5年3月20日から同年5月7日にかけて、いわゆる国際
ロマンス詐欺等につき、4名の被害者と被害金の回収を目的とする委任契約を
それぞれ締結するに際し、いずれの被害者との間でも、事情聴取、事件処理の
見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用等の説明を自ら直接行わず、も
っぱら事務員に行わせた上、これらを含むその後の被害者への対応を適切に行
うべきことにつき、事務員に対する指導・監督をしなかった。
2 被懲戒者は、令和6年2月1日、投資詐欺被害につき、懲戒請求者 A と被害
金の回収を目的とする委任契約を締結するに際し、懲戒請求者 A からの事情聴
取並びに委任契約の内容、弁護士費用及び事件処理の見通し等の十分な説明を
行わず、また回収見込みに疑念があるのに懲戒請求者 A に合理的判断を行う時
間的余裕を与えず着手金を送金させ、さらに弁護士に支払った金額以上の成果
を得られない可能性があるとの説明をしていないにもかかわらず、説明を受け
たとする本会宛の「報告書」の項目にチェックするよう求めた。
3 被懲戒者は、令和5年5月12日、懲戒請求者 B が被った仮想通貨取引を騙
った詐欺被害につき、事件の見通しや回収見込みにつき十分な説明をすること
なく、かつ十分な回収が得られる可能性が低いにもかかわらず、被害金に比し
て高額に過ぎる着手金を請求し、これを受領した。
4 以上の被懲戒者の行為は、いわゆる非接触型詐欺事件においては、回収は極
めて困難であり、それとの関連で弁護士費用についても費用倒れになるおそれ
が大きいことから、事件の見通しや解決に至る道筋、弁護士業務の内容、弁護
士費用等について十分に説明を尽くした上で受任すべきであるが、被懲戒者が
受任にあたりそのような説明をしたことは認められず、しかも、その説明も被
懲戒者が直接行うことは殆どなく、大部分は事務員に行わせていると認められ、
弁護士職務基本規程第29条に違反し、弁護士としての品位を失うべき非行に
該当する。
2025年11月20日
東 京 弁 護 士 会
会 長 鈴 木 善 和
2025.10.11