競売で建物を買い受けたが、残留物がある
弁護士(ホーム) > 不動産法律相談 >
2015.12.16mf
相談:不動産
競売でマンションを競落し、代金を支払いました。ところが、室内に残留物があります。
鍵を交換し、残留物を処分してもよいでしょうか。残留物の所有者は誰であるか明確ではありません。
弁護士の回答
一番まともな方法は強制執行です。
競売でマンションを買い受けた人は、裁判所に引渡命令を申立、執行官に引渡の強制執行をし、残留物があれば、競売します。強制執行は、執行官が現場に1時間くらいいる間に完了する必要がありますので、2DKのマンションでも人夫を10人くらい要します。結構費用がかかり、40万円前後必要です。
そこで、できれば、任意に明渡してもらうか、残留物処分につき承諾書をもらう方法が適当です。明渡料は、ケースバイケースですが、50万円くらいが相場でしょう。
残留物が強制執行妨害目的で置かれた場合は、それを指摘し、明渡料は、もっと安くできます。
引渡の強制執行もせず、任意の明け渡しもせず、自分で鍵屋を呼び鍵を交換し、残留物を処分する方法もあります(自力救済)。この方法だと後で、損害賠償請求をされるおそれがあります。そのような判決もあります。
そこで、最低限の手続きとして、部屋に入り、残留物の所有者を調べ、引取るよう催告する必要があるでしょう。
下記判決の事例では、買受人は、代金を納付した翌日に残留物を処分しています。引取りの催告もしていません。乱暴ですね。
判決
- 東京地方裁判所平成14年4月22日
判決(出典:判例時報1801号97頁)
平成9年8月5日、被告が、本件不動産を落札し、本件不動産について売却許可決定を受け、同年9月9日に、代金を納付して本件不動産の所有権を取得した。
被告は、平成9年9月10日、本件不動産について引渡命令の申立てを行うことなく、本件不動産内に入り、残置されていた動産を廃棄処分にした。なお、被告は、原告花子に対して、本件不動産に残置してあった動産について引取りの要請、催告を行わなかった。
裁判所は、処分された物の損害100万円、慰謝料200万円(仏壇、神棚等も処分された)、弁護士費用30万円の合計330万円の損害賠償を認めた。
東京都港区虎ノ門3--18-12-301 弁護士河原崎弘 03-3431-7161
2010.8.8