HAL WILLNER

 ハル・ウィルナーはミュージシャンではなくプロデューサーですが、彼が作り上げたコンピレーション・アルバムの数々はどれも彼のセンスの良さが伺い知れるとってもすばらし傑作です。人選の豪華なこともありますが、そのユニークな様でいて的確な人選と練りに練ったアイデアにトータルな構成力で、1枚のアルバムをこの上ない作品に仕上げています。


「Amarcord Nino Rota」Interpretations of Nino Rota's Music From the Films of Federico Fellini  (1981 Hannibal Records)

 フェリーニのすべての映画音楽を作曲したニーノ・ロータの作品集。
ジャズ系の人たちを起用したシリーズ第一弾。オープニングとエンディングにはジャッキー・バイアードのピアノ・ソロを配し、このアルバムのハイライトでもあるカーラ・ブレイ・バンドの「8 1/2」、このアルバムがレコード・デビューのビル・フリゼールのギター・ソロや、スティーヴ・レイシーのサックス・ソロに、ロン・カーター、ケニー・バロンのベテランにジョージ・アダムスやマルサリス兄弟を起用したウイリアム・フィッシャーによる初期作品のメドレー等々。少々渋めの人選ですが、内容はとても素晴らしく曲間などにも細心の工夫がされています。


「That's The Way I Feel Now.」A Toribute To Thelonious Monk
  (1984 A&M Records)

 ジャズ・ピアニスト、セロニアス・モンクのトリビュート・アルバム。
シリーズ第2弾は、前作でも参加していたカーラ・ブレイ・バンド(ジョニー・グリフィンと共演)やスティーヴ・レイシー(ギル・エヴァンス、エルヴィン・ジョーンズと共演)の他、ドナルド・ファイゲン&スティーヴ・カーン、ドクター・ジョン、トッド・ラングレン&ゲイリー・ウインド、クリス・スペディング&ピーター・フランプトン、ウォズ・ノット・ウォズ、ジョー・ジャクソン等々、ジャズにこだわらずバラエティーに富んだ人選で、個性的なモンクの曲をさらに個性的で面白い演奏にして聴かせてくれます。


「Lost in the Stars」The Music df Kurt Weill
(1985 A&M Records)

 劇作家ベルトルト・ブレヒトとの共作「三文オペラ」等の作曲者として知られるクルト・ワイルの世界。
私が最初に聴いたこのシリーズ第3弾のアルバムは、唄物ということでこれまで以上にバラエティに富んだ人選がなされています。主な人を挙げるとスティング&ドミニク・マルドウニー、ザ・フォウラー・ブラザース、マリアンヌ・フェイスフル&クリス・スペディング、ヴァン・ダイク・パークス、ジョン・ゾーン、ルー・リード、カーラ・ブレイ&フィル・ウッズ、トム・ウェイツ、エリオット・シャープ、ダグマー・クラウゼ、トッド・ラングレン&ゲイリー・ウインド、チャーリー・ヘイデン&シャロン・フリーマン等、とにかく人選もさることながらどの曲も素晴らしい出来で、私の愛聴盤。


「STAY AWAKE」Various Interpretations of Music from Vintage Disney Films
(1988 A&M Records)

 おなじみウォルト・ディズニーの世界。
聞き慣れたナンバーからちょっと変わった選曲まで沢山の曲をうまくメドレーにまとめたこの作品には、ビル・フリゼール&ウェイン・ホロヴィッツ、マイケル・スタンプ、ロス・ロボス、ボニー・レイット、トム・ウェイツ、スザンヌ・ヴェガ、シド・ストロウ、アーロン・ネヴィル、ベティ・カーター、シンニード・オコーナー、サン・ラ、ハリー・ニルソン、ジェームス・テイラー、リンゴ・スター等の参加で、ひと味もふた味も違ったディズニーの世界を演出しています。眠らないでも一編の映画を夢で見たかのような余韻を残してくれます。


「weird nightmare」meditations on mingus
(1992 COLUMBIA)

 ジャズ界でも強烈な個性を発揮していた怒れるベーシスト、チャールズ・ミンガスの瞑想。
今回は今までのオムニバス的アルバム作りとは全然違いアルバム通して基本となるメンバーを変えず曲ごとにアレンジャーを変えながら一大スペクタル巨編に仕上げています。その基本メンバーはArt Baron,Francis Thumm,Bill Frisell,Don Alias,Gary Lucas,Michael Blair,Greg Cohen,Henry Threadgill となってまして、この他にヴォーカリスト等、超豪華な顔ぶれが並び、びっくりします!
夢魔のジャケはフェリーニの映画の一場面ですね。すばらしい。

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