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1.夏の庭 2.春のオルガン 3.ポプラの秋 4.西日の町 5.わたしのおじさん 6.くまとやまねこ 7.岸辺の旅 8.夜の木の下で 9.橋の上で |
「夏の庭−The Friends−」 ★★★ |
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1994年02月 2001年05月 2003/08/31 |
仲の良い小学生3人の、一夏の物語。 スティーヴン・キング「スタンド・バイ・ミー」の児童文学版、という気がします。 山下がおばあさんの葬式から帰ってきます。「死んだ人ってどんななんだろう」、河辺とぼく(木山)にとって重要な問題になってきます。そんなことから3人は、近所でもうすぐ死ぬんじゃないかと噂されている一人暮らしの老人を見張ろう、ということになります。 |
「春のオルガン」 ★★ |
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2008年07月
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「夏」「秋」と読んできて、今回が湯本さん2作目の「春」。 いずれも題名に季節が冠されているのは、季節の移ろいと思い出には重なるものがあるからだろうなぁと、改めて感じます。 “春”となれば生命の息吹を感じるものですけれど、本書の「春」はちと違う。「夏」「秋」にあったようなほのぼの感も見られず、小学校を卒業したばかりの主人公・トモミの周囲は、陰鬱なことばかり。 隣家との争い、家に帰ってこない父親、母親の無表情。そして、自分が怪物になった夢ばかり繰り返し見ること、等々。今やトモミの仲間は、弟のテツだけ。そんなテツに誘われて外を出歩くようになったトモミは、ノラ猫の溜まり場、そこで餌をやるおばさんと知り合うことになり、ついには捨て置かれたバスの中で暮らそうと考えるようになります。 暗い雰囲気に戸惑いを覚える程でしたが、その分終盤の感動は大きい。トモミの苦悩はたったひとつの後悔からですが、そのひとつのことが少女には自分で解決できない。そんな少女の苦しさ、感情の揺れ動きを、本書は丹念に描き出していきます。 |
「ポプラの秋」 ★★ |
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2003/09/29 |
父親を交通事故で亡くした6歳の千秋は、母親と2人でポプラ荘のアパートに越してきます。 本書に登場するおばあさんは、決して子供に優しかった訳ではありませんし、人好きのする性格でもなかったようです。 懐かしさと安らぎに充ちた、大切にしたくなる一冊です。 |
「西日の町」 ★★ |
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2005年10月 2003/10/09 |
気付いてみると「夏の庭」がおじいさんとの話、「ポプラの秋」はおばあさんとの話、そして本作品が実祖父との話。主人公との関係は徐々に近いものになっているようですが、そこまで考えるのは穿ちすぎでしょうか。 離婚した母と2人、北九州の町でアパート住まいする日々。学校にも上手く溶け込めないでいる主人公にとって、突然現れて同居し始めた、母の父親“てこじい”の印象は、とても強烈なものだった、というストーリィ。 |
「わたしのおじさん」 ★★☆ 画:植田真 |
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僅か80余頁。文章が少しと、広々とした絵がたくさん織り込まれている、すぐ読み終わってしまうような薄い本ですけれど、素敵な一冊です。 主人公の小さな女の子「わたし」は、広い草原を歩いていって青いシャツの男の子、コウちゃんに出会います。 本書の世界を描いた植田さんの画が、また素敵なのです。 植田真:1973年静岡県生。雑誌「イラストレーション」の「ザ・チョイス」98年度グランプリ受賞。書籍装画、挿絵、CDジャケット等幅広く活躍。 |
「くまとやまねこ」(画:酒井駒子) ★★★ 講談社出版文化賞絵本賞 |
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絵本です。 大事な友達であることりに死なれたくまは、ことりを箱に入れて何処へ行くにも持って歩くようになる。 大切な人の死、深い悲しみ、そこからの新しい一歩。 大切な人を失ったとき、忘れた方がいい、という言葉はどんなに残酷なものであることでしょう。 酒井さんの絵は、白と黒を基調とした霞んだような絵。その分、姿より心を見ていた気がします。また、所々彩色されている赤い色がことのほか際立って感じられました。 |
「岸辺の旅」 ★★ |
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2012年08月
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瑞希(みずき)が優介と結婚して9年、失踪していたその優介が3年ぶりに戻ってくる。 死に別れるとは、それがどんな形であろうと、遺された者にとっては突然というものではないかと思います。 これまでの作品とは、趣向を異にした長篇小説。厳粛で幽玄なストーリィは、中々の味わいです。 |
8. | |
「夜の木の下で」 ★★☆ |
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2017年11月
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ずっと胸の中に抱えてきた悔い、心の痛みを今も残す出来事を回想する、という内容の短篇集。 深夜の孤独さとひんやりとした冷たさを快いと感じるような短篇集、お薦めです。 |
「橋の上で」(画:酒井駒子) ★★☆ |
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絵本です。 |