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2.絢爛たる影絵−小津安二郎− |
●「純情無頼−小説阪東妻三郎−」● ★★☆ |
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2005年2月 2002/03/08
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阪東妻三郎という役者については、時代劇の人気役者として名前を知っているだけで、作品を見たことはありません。 何故田村高廣さんのファンかというと、単に性格俳優という以上に、にじみ出てくるような深みのある笑顔、温かさが、何とも魅力的だからです。阪妻という人は、それに加えて端正な美男という要素を持っていたらしい。そうだとすれば、もう壮烈な名優としか思いようがありません。 一抹の哀しさを感じるのは、田村4兄弟の長男・高廣さんと阪妻さんの関係。弟3人と父親・阪妻さんが普通に近い父子関係だったのに対し、高廣さんの少年時は阪妻さんが常に緊張を孕んでいた時期であったこともあり、父子の関係(会話)は常に間に妻(母)を介在してのものだったそうです。 |
●「絢爛たる影絵−小津安二郎−」● ★★ |
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1985年5月 2002/03/30 |
「純情無頼」を読んだ後、本書も面白いですから是非、と勧められて読んだ本。 「純情無頼」で描かれた阪東妻三郎が、稀有な役者であっても、人間的には判り易かった人物であるのに対し、小津安二郎という人はとても判り難い。そのことがまず印象づけられます。だからこそ、本書は評伝ではなく、小津安二郎論になっている、と思うのです。 読後残ったのは、小津作品が今なお評価される理由、その作品の裏にある小津という人の生々しさ、を知り得たという思いです。 (3部の題名と論じられた小津作品名) |