●「透明人間の納屋」● ★ |
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2009年02月 2012年08月
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“かつて子どもだったあなたと少年少女のための−ミステリーランド”シリーズ(講談社)の第1回配本作品。 主人公・ヨウが9歳、F市で暮らした頃の思い出というストーリィ。離婚して母子2人暮しとなり、遊び相手もなく孤独だった主人公にとって、隣の印刷会社、真鍋さんとの交流だけがすべてだった。真鍋さんは主人公に、広大な宇宙のこと、宇宙人のこと、透明人間のことを語り、皆平等という理想的な国で暮らす希望を主人公に語ってくれます。 |
●「犬坊里美の冒険」● ★ |
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2009年08月
2006/12/25
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司法修習生、27歳の犬坊里美が活躍する司法ミステリ。 堂々と司法試験に受かった実力の持ち主だというのに、司法修習のため岡山にやって来た犬坊里美は自信無げでまるで弱々しい。 この犬坊里美、自信がないと言っては泣き、先輩弁護士や被疑者に怒鳴られては泣き、窮地にはまればまた泣きべそをかくといった、呆れるくらいの泣き虫。 正直言って事件の謎は、大したことはありません。ストーリィの真ん中くらいのところで真相は見えてしまいますから。 |
3. | |
●「進々堂世界一周 追憶のカシュガル」● ★★ |
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2011/05/22
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世界放浪の旅から戻ったばかりの京大医学生・御手洗潔が、京大を目指して浪人中のサトルを相手に、放浪中の体験談を語る、という趣向の連作短篇集。 いずれの篇も、旅情と哀切感に満ちていて、印象的です。 特に後半2篇にはサスペンスティックな要素もありますが、その物語に入る前に、曼珠沙華や桜の花について京都の街を散策しながら語り合うといった、導入部分に味わいがあって、何ともいえない余韻の残る連作短篇集に仕上がっています。 ※島田荘司さんのミステリ作品は読んだことがないので知りませんでしたが、御手洗潔とは、デビュー作以来の島田作品における名探偵とのこと。本書に登場するのは、若き日の御手洗潔という設定だそうです。 進々堂ブレンド 1974/シェフィールドの奇跡/戻り橋と悲願花/追憶のカシュガル |