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1.RIKO−女神の永遠−−RIKOシリーズ− 2.聖母(マドンナ)の深き淵−RIKOシリーズ− 3.月神(ダイアナ)の浅き夢−RIKOシリーズ− 5.窓際の死神 7.小袖日記 9.やってられない月曜日 10.いつか響く足音 |
夢より短い旅の果て、愛より優しい旅の空、風のベーコンサンド、さまよえる古道具屋の物語、ねこ町駅前商店街日々便り、草原のコック・オー・ヴァン |
●「RIKO−女神の永遠−」● ★★ 横溝正史賞 |
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1997年10月
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柴田よしきさんについては、ミステリという面ではマイルドという印象を持っていたのですが、本書を読んでぶっ飛びました。 残虐な輪姦シーンを映した裏ビデオが出回る。しかもそれは、複数の男たちが少年たちを犯すというシーン。 数多いミステリ作品中でも、事件のショッキング性という点では群を抜いていると思いますが、読み始めて直面したのは、事件よりもっとショッキングな内容が本作品には含まれていること。 ハードな警察サスペンスであると同時に、性愛小説としても絶賛を浴びたというのは、当然のことでしょう。 ※偶然でしょうけど、誉田哲也作品に登場する女性警部補=姫川玲子と、似るところがある一方で実に対照的。キャラクター像を読み比べてみるのも一興です。 |
●「聖母(マドンナ)の深き淵」● ★☆ |
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1998年03月
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“RIKO”シリーズ第2弾。第一作「RIKO」の印象が強烈でしたので、続きも読みたくなりました。 前作で苛酷な宿命に翻弄された観のある女性警部補・村上緑子、本作では一児の母となり、下町の辰巳署に移動。事件の少ない署のため穏やかな日々を送っている。安藤明彦とは籍を入れていないものの、一つ家族のような日常という設定。 ヤクザが操る麻薬+売春の闇世界、同性愛、そして母性を問う物語。そして捜査に当たる緑子を再び魔の手が襲う。 なお、今や同性愛、性同一性障害という事柄は今さら驚くようなものではありませんが、本作の刊行は13年前。そうした問題が取り上げられるようになった初期の頃だったのかなぁと、時代・社会の変化を改めて感じます。 |
●「月神(ダイアナ)の浅き夢」● ★★ |
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2000年05月
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“RIKO”シリーズ第3弾。 前2作では、女性の性、性愛という要素がストーリィの前面に出ている観がありましたが、本作品においてそれは薄い。 同時に、警官を辞めるというのは本当に自分の望みなのか、何の為に自分は警官であることにこだわり続けたのか、全篇を通じて緑子が自身に問うストーリィともなっています。 ※なお、本ストーリィでインターネット上の情報が重要な鍵となりますが、緑子はじめ大方の捜査員は不案内。98年刊行のストーリィですからねぇ、あの頃はそんなものだったかも。 |
●「ワーキングガール・ウォーズ」● ★★ |
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2007年04月 2023年01月
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「働く女の本音と弱音をリアルに描いた、本格“負け犬”小説、誕生!」というのが、帯の宣伝文句。 主人公は「37歳、入社15年目、独身バツなし。恋人・人望ともにナシ・・・」という墨田翔子。 ※1.この“負け犬”という言葉、どこから出てきたのか。酒井順子さんの「負け犬の遠吠え」? ピンクネイル・ジャーニー/ペリカンズ・バトル/リバーサイド・ムーン/ホリデー・イン・ディセンバー/ブラディマリーズ・ナイト/バイバイ、ロストキャメル/ワーキングガール・ウォーズ/エピローグ |
●「窓際の死神(アンクー)」● ★☆ |
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2008年02月
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もし会社の窓際に座っている同僚が死神だったら・・・。本書はそこから書き起こされた、ブラック的な内容の寓話。 本当にもし死神が自分の魔の前に現われたら、いったいどうするでしょうか。 幕前/おむすびころりん/幕間/舌きりすずめ/幕後 |
●「所轄刑事・麻生龍太郎」● ★☆ |
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2009年08月 2022年07月
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私は未読なのですが、本書の主人公である麻生龍太郎は、柴田さんの代表作である警察小説“RIKO(村上緑子)”シリーズに登場する名脇役の私立探偵なのだそうです。 事件は基本的に、所轄警察署が扱うものらしく、地味なものばかり。 主人公の麻生龍太郎、ほんのつまらないことでも、気になったことは面倒くさがらず地道に調べようとする刑事。 5篇の中では、主人公の地道な捜査姿勢がとりわけ生き、かつ少女に対して向き合う優しさの感じられる「割れる爪」と「雪うさぎ」の2篇が、特に私は好きです。 大根の花/赤い鉛筆/割れる爪/雪うさぎ/大きい靴/エピローグ |
●「小袖日記」● ★☆ |
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2010年07月
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不倫相手に捨てられて死んでやろうかと思っていた主人公、雷に撃たれたショックの所為か、なんと平安時代の女性の身体にタイムスリップ。 ホームズ役の香子にワトソン役の小袖という平安朝探偵コンビ。その2人が、源氏物語の元ネタとなる現実に起こった事件(?)を鮮やかに謎解きしてみせるというストーリィ。 平安ミステリということでは諸田玲子「髭麻呂」も面白かった。同作品の主人公は元々平安時代の人物であるが故に、平安時代の雰囲気をもっと楽しめた観があるという点で、本書とは好一対。しかし、どちらの作品も色事ばかりにうつつを抜かしている男共より女性登場人物の方がしっかりしているという展開に、男性としてはやや首をすくめながら読書するばかり。 プロローグ/夕顔/末摘花/葵/明石/若紫/エピローグ |
●「朝顔はまだ咲かない−小夏と秋の絵日記−」● ★★ |
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2010年09月
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高校1年の時イジメにあって以来ひきこもりとなっている小夏。その小夏の元に度々通ってくる元同級生で現短大生の秋。 ヒキコモリの小夏に対し、天真爛漫なイマドキ娘の秋。対照的な性格の2人ですが、ヒキコモリだからといって小夏が暗い性格という訳ではありません。なんとなく外に出る気がなくなった、というのが小夏の弁。 冒頭の「ひまわりの誘惑」は、よくまぁこんな真相に気付いたものだと呆れるばかり。「黒い傘、白い傘」の真相もこんなことだったの?と呆れますが、いいなぁ、コレ。私は好きなパターンです。 ひまわりの誘惑/黒い傘、白い傘/さくら、さくら/朝顔はまだ咲かない/見えない人/窓を閉めて/新学期−エピローグ− |
●「やってられない月曜日」● ★★ |
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2010年07月 2023年03月
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主人公は、人気ある出版社にコネ入社して8年になる高遠寧々。 若いのに恋人がいなかったら不幸、なんて余計なお世話というもの、喜びは人各々なんですから。私も一人で読書している方が楽しかったし(苦笑)。 営業社員相手に突っ張って喧嘩したり、うつ病で自殺した社員の不倫相手とその娘に誤解されて逆上したり、社内イジメに義憤を感じたりと、オタクな寧々であっても結構忙しい。 やってられない月曜日/誰にもないしょの火曜日/とびきりさびしい水曜日/甘くてしょっぱい木曜日/それでもうれしい金曜日/命かけます、週末です。/またまた、やってられない月曜日〜エピローグ |
●「いつか響く足音」● ★☆ |
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2012年05月
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私が小学生だった頃、近所に大型団地が完成しました。 各篇で主人公となるのは、借金の督促に追われ無一文で友人の部屋に逃げ込んできた元キャバ嬢の鈴木絵理、離別していた父親の部屋に絵理を受け入れた元同級生にして現キャバ嬢の川西朱美、嫁にあれこれ口出した結果孫も息子も嫁も失った塚田里子、三度結婚し2回も夫と死別(1回目は離婚)して孤独になった宮前静子、野良猫の写真ばかり撮っていて薄汚い印象のカメラマン=米山克也、そして一人暮らしの老人=仲島。 何故彼らは団地で暮らし続けるのか、団地を居心地良いと感じたのか。 最後のブルガリ/黒猫と団子/遠い遠い隣町/いつか響く足音/闇の集会/戦いは始まる/エピローグ |