|
|
「永善堂病院もの忘れ外来」 ★☆ | |
|
北関東の田舎町にある永善堂病院。 亡き父親の永善治が診療所を開設し、現在は地域の基幹病院となった永善堂病院を担っているのは、脳神経外科医である長男=壱吾、院長であり神経内科医の次男=将弐、副院長であり心療内科医の三男=誠と、それぞれ性格もバラバラで個性的な三兄弟。 本ストーリィの主人公である佐倉奈美は、ある事情から勤めていた会社を退職し、東京の実家からここ茨城の祖父母の元に。そこでひょんな成り行きから、永善堂病院の<認知症専門外来>で看護助手として働くことになります。 そんな奈美が、もの忘れ外来で様々な認知症患者と出会い、様々な経験を重ねながら、自身も変わっていくというストーリィ。 こう紹介すると筋のすっきりした作品のように思えるのですが、実際の内容はかなり盛り沢山。 主人公の奈美自身、ここまで色々な葛藤を抱えてきたことが語られますし、永善三兄弟にもそれぞれに抱えた鬱屈があることが次第に明らかになっていきます。 そのうえに、様々な認知症の患者たちの人生も語られ、奈美、そして永善三兄弟もそれぞれに絡み合うといった複雑な構図。 それぞれに読み応えありとは言えるものの、テンコ盛り過ぎて、ややまとまりを欠いたのでは、と思うところあり。 結局、奈美自身の成長という形も、はっきり捉えることはできなかった気がしますし。 1.私はここにいる/2.真実を見抜く目/3.誰がための記憶/4.往くものはかくのごとく/エピローグ |