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1.真夜中のパン屋さん−午前0時のレシピ− 2.てのひらの父 3.真夜中のパン屋さん−午前1時の恋泥棒− 4.真夜中のパン屋さん−午前2時の転校生− 5.真夜中のパン屋さん−午前3時の眠り姫− 6.真夜中のパン屋さん−午前4時の共犯者− 7.真夜中のパン屋さん−午前5時の朝告鳥− |
●「真夜中のパン屋さん−午前0時のレシピ−」● ★☆ | |
2012/02/26
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都会の片隅、駅から少し離れた住宅街の中にある一軒のパン屋“ブランジェリークレバヤシ”。 真夜中のパン屋に美味しいパン、性格も立場も異なる3人に加えて風変わりな客たち、というシチュエーションがまず楽しい。 “まよパン”シリーズ第1作である本書、粗削りな面はありますが、個性的なシリーズとして今後の巻が楽しみです。 Open/Fraisage−材料を混ぜ合わせる−/Petrissage & Pointage−生地捏ね&第一次発酵−/Division
& Detente−分割&ベンチタイム−/Faconnage & Appret−成形&第二次発酵−/Coupe−クープ−/Cuisson
avec buee−焼成− |
●「てのひらの父」● ★★ | |
2014年04月
2011/12/23
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主人公の柊子が現在暮しているのは、築75年の木造一軒家。大家であるタマヨさんが一人で住んでいるのは勿体ないと、女性専用の下宿屋とし朝夕食事つき。名付けて“タマヨハウス”。 題名といい本の表紙絵といい、児童小説のような印象を受けますが、上記のとおり中身は女性3人+老管理人という4人のあくまで大人のストーリィ。 トモミさんのキャラクターに味わいがあって、温かく、楽しい家族小説に仕上がっています。私好み。 |
3. | |
●「真夜中のパン屋さん−午前1時の恋泥棒−」● ★☆ | |
2012/03/09
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“まよパン”シリーズ第2弾は、長篇の趣向。 本シリーズ、時代小説にある長屋もの市井小説シリーズの現代版、と言って良いのではないでしょうか。 題名の付け方からすると本シリーズ、長く続くもののようです。 Open/Melanger les ingredients & Petrir la pate−材料を混ぜ合わせる&生地を捏ねる−/Pointage & Tourage−フロアタイム&折り込み−/Decouper des triangles & Fermentation finale−カット成形&最終発酵−/Cuisson avec buee−焼成− |
4. | |
「真夜中のパン屋さん−午前2時の転校生−」 ★☆ | |
2013/01/02
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“まよパン”シリーズ第3弾。 主人公の篠崎希実も早や高校3年生。その希実のクラスに変わった転校生が現れます。趣味は腹話術だと言い、何とアンジェリカという金髪の腹話術用人形を抱えている。しかもそのアンジェリカ、特技は霊視占いだといい、隣席となった希実にさっそく「君に災いが近づいている」と警告。ついつい無視できず、その言葉を真に受けてしまった希実ですが、まさかこの転校生がこんな面倒事に希実を引きずり込もうとは・・・・。 ちょっと奇妙な人々の間に起きる悩み、トラブルをめぐるパン屋“ブランジェリークレバヤシ”3人の奮闘ストーリィに留まっていればそれなりに楽しめるのですが、本書ではその枠をはみ出してしまったという観あり。そこまでいったらもう、本格的事件ですよ、高校生の希実にとって危険過ぎますって。 Open/Fraisage & Petrissage−材料を混ぜ合わせる&生地を捏ねる−/Pointage & Rompre−第一次発酵&ガス抜き−/Divisions & Detente−分割&ベンチタイム−/Faconnage & Appret−成形&第二次発酵−/Cuisson−焼成− |
5. | |
「真夜中のパン屋さん−午前3時の眠り姫−」 ★★ | |
2013/11/03
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“まよパン”シリーズ第4弾。 沙耶と家族の関係、そして沙耶の恋人と母親の関係だけでなく、希実と母親の律子の親子関係にまで波及していくストーリィ。 一言で表すなら、希実が一歩前進し次のステップへ大きく踏み出したと言える巻。 ※暮林は不在ながら弘基、ソフィア、斑目等々、希実を囲む登場人物は相変わらず賑やかで、家族物語的要素も備えているところが本シリーズの魅力でもあります。 Open/Fraisage−材料を混ぜ合わせる−/Petrissage & Pointage−生地を捏ねる&第一次発酵−/Tourage & Faconnage−折り込み&成形/Cuisson−焼成− |
「真夜中のパン屋さん−午前4時の共犯者−」 ★★ | |
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“まよパン”シリーズ第5弾。 まず驚いたのは、本巻の分厚さ。シリーズものの巻として 560頁という厚さは驚異的です。 そして本巻の内容そのものの、頁数に比例して濃いというか、複雑極まりなし、というか。 冒頭、入院した母親=律子と希実の再会から本書ストーリィは始まります。入院中の世話はチチに頼んだから大丈夫というハハの言葉に、希実は呆然。 実は希実、前に戸籍謄本を調べ、「門叶樹(カドノタツル)」という人物が自分の父親であることは承知済。でも今更、何で? さらに、三回忌で美和子の墓参りをした希実たちの前に、黒スーツにサングラスという怪しい中年男「榊」が現れます。 その榊は後日、希実に対し「君、お家騒動に巻き込まれているんですよ」と告げる・・・・。 律子と美和子との経緯、律子と門叶樹との経緯、等々これまで明らかでなかった詳細な事情がすべて明らかにされていく巻。 それにしても、本巻での一番重要な事柄にかかる真相が二転三転、さらに四転まで?、といった印象。まるでサスペンス・ミステリさながらの展開です。 ※私としては、門叶樹という人物に好感。一方、篠崎律子という女性の来し方については切なさを感じざるを得ません。 本シリーズは、午前5時までの物語、という想定だった筈。とすれば、最終巻の直前巻として、背景事情をここで明らかにするという展開は必然的なものであったと思います。 Open/Reveiller−天然酵母を起こす−/Melanger & Petrissage−材料を混ぜ合わせる&生地を捏ねる−/Pointage & Murir−第一次発酵&熟成/Faconnage & Appret−成形&第二次発酵/Cuisson−焼成− |
「真夜中のパン屋さん−午前5時の朝告鳥−」 ★★ |
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“まよパン”シリーズ第6弾にして最終巻。 前作にて希実が母親の律子と再会、そして律子の死と一つの区切りがついた観があり、本巻は主要登場人物のその後を描く、エピローグ的な内容となっています。 意外だったのは、柳弘基が“ブランジェリークリバヤシ”を辞めていて、さらに弘基と希実が付き合いだしていたということ。 何かともに、しっくりこないなぁ。 しかし、希実や弘基にとって“ブランジェリークリバヤシ”は変えるべき場所であり、行き場所のない人にとって受け入れてもらえる貴重な場所であるということに変わりがない、ということはファンとして嬉しいことです。 ・最初の篇の主人公は班目裕也。今や妻の綾乃と娘の百葉子という3人家族。綾乃の双子の妹である佳乃がマタニティブルーであるため、多賀田と佳乃が暮らすシンガポールへ家族3人で向かいます。 ・次の篇はソフィア。恋人である安田光と別れようとしますが。一方、母親の倫子のたっての望みを叶えようとハワイ島へ。 ・柳弘基。転職して今はパリにあるパン屋店長。その弘基の周囲には、エマという仏美人、美作孝太郎が纏わりつき・・・。 ・篠原希実。志望の国立大学に合格して入学したものの、何と部屋にヒキコモリとは・・・。今は立ち直りましたが、内心にはいろいろな問題を抱えていて・・・。 ・最後の篇は、やはり暮林陽介が主人公。 さて、何故“真夜中のパン屋”なのか。その理由は本シリーズの最初の方で説明されていますが、実は・・・・ではなかったか、と希実が暮林に問い掛けます。 どうぞお楽しみに。 本シリーズは本巻で完結ということですが、いつか、5年後、10年後の彼らに再会できるといいなぁ、と心から思います。 Open/Melanger−材料を混ぜ合わせる−/Petrissage & Pointage−生地を捏ねる&第一次発酵−/Tourage & Faconnage−折り込み&成形−/Cuisson−焼成−/Closed |