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「くたばれ地下アイドル」 ★★ | |
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いつの間にか定着していた“地下アイドル”という言葉。 知る人はよく知るし、知らない人はよく知らない、地下アイドルとはそんな存在ではないでしょうか。 地下アイドルとは何者? そしてどんな存在? 本作はそれを、様々な角度から実証的に描いた短篇集。 アイドルという言葉は小泉キョンキョン辺りから定着した言葉だったでしょうか。その言葉が一つの定型モデルのように独り歩き始めたのは、身近な存在から大ブレイクしたAKB48からではなかったと思います。そしてその先に“地下アイドル”という亜種のモデルが登場した、という次第。 さてその実態は?というと、ドルオタにでもならない限り判らないものかもしれません。 本作は地下アイドルもしくはアイドルたちを、同級生、当人、無関心者、その子供たち、ファンという様々な角度から描き出す趣向が新鮮に感じられて楽しい。 ・「くたばれ地下アイドル」:同級生がアイドル男子だと何が変わるのか・・・。 ・「犬は吠えるがアイドルは好き」:2人組ユニットの女子アイドル=希と蘭、それぞれを交互に第一人称で描いた篇。ファンから観た2人のアイドル像と本人たちの意識とのズレが面白い。 私としては5篇中、最も楽しく読んだ篇。 ・「君の好きな顔」:親友同士でも、ドルオタと非ドルオタでこういう違いが出てくるか、という面白さあり。 ・「アイドルの子どもたち」:元アイドルの子どもというレッテルを貼られてもがく様子が感じられます。 ・「寄る辺なくはない私たちの日常にアイドルがあるということ」:“ドルオタ”とはどんな存在? 本書の総決算的な篇。 渡辺優「地下にうごめく星」に続く地下アイドル小説。 それだけアイドル、地下アイドルという存在が大きくなったという証しでしょう。 趣味ということでは理解できますが、実生活や仕事まで二の次でドルオタであることが第一になってしまう、ということにまで至ると、どうもなぁーと思います。 くたばれ地下アイドル/犬は吠えるがアイドルは続く/君の好きな顔/アイドルの子どもたち/寄る辺なくはない私たちの日常にアイドルがあるということ |